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「自分の感情くらい自分で守ればかものよ」に打ちのめされたというか目を開かされたというか

日本で妹の家に滞在中に、彼女の本棚に見つけた、わたしも好きな詩人茨木のり子さんの「おんなのことば」という小さなブックレット。

なんの気なしに、ぱらぱらと最初の詩を読んで、打ちのめされたような。

見事な言い切りっぷり「ばかものよ」って。

「自分の感情性くらい」という詩なのですが、最後の締めが、

自分の感情性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子「おんなのことば」

すごい。
はい、すみません、そうします。としかいいようがない。

この詩は、1975年、彼女が48歳のときに書かれました。

一番最初から紹介します。

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

茨木のり子「おんなのことば」

はい、おっしゃるとおりです。
「ずっとやりたかったことを、やりなさい」よりずっと手厳しい。

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

茨木のり子「おんなのことば」

はい、そうですね。
友達や家族に対して、傲慢な態度をとっていないか、心より見直します。

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

茨木のり子「おんなのことば」

ですねー。おっしゃるとおり。
志にも達していない、口先だけの気まぐれだった気もします。

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

茨木のり子「おんなのことば」

この箇所は、彼女の「わたしが一番きれいだったとき」という詩も思い出されます。第二次世界大戦中の経験や想いも含まれているのでしょうか。

毅然とした宣言のようにも聞こえます。

そして、最後

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子「おんなのことば」

忙しい、とか、忙しいふりして、自分をかまってないってことはないですか。
自分が喜ぶことって、なんだろう。わかんなくなってないですか。



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