パニック障害。

どこから語ればいいのか、
どこまで語ればいいのか分からないが、
正直に綴ろうと思う。

十年を一昔とするならば、
二昔前のことで記憶が曖昧になっている部分もあるが、
記憶の断片を辿りながら、
出来る限り正直に綴ろうと思う。

  • 体の異変。

  • パニック発作。

  • 誤診が続く。そして死を意識する。

  • 心療内科へ。

  • パニック障害とうつ状態。

  • 祖母の介護をするため○○市へ。

体の異変。

体に異変が現れたのは二十四歳、夏のときだ。
夕食にカレーライスを食べた後、
物凄い腹痛に襲われた。
激痛に耐えられなくなり病院に行った。
そして病院で嘔吐し腹痛は治まった。
看護師さんが言うには、
朝食、昼食を食べずに空きっ腹でカレーライス(刺激物)を食べたのが原因だということだ。

それから約二ヶ月後。
愛犬が寿命を全うし老衰のため亡くなった。
その数日後、夕食にカレーライスを食べた後、また物凄い腹痛に襲われた。
激痛に耐えられなくなったのだが、
嘔吐するのは嫌だったので、
眠ればこの激痛も治まるだろうと思い眠りに就いた。

翌日から食事が喉を通らなくなった。
体が食事を受け付けないのだ。
病院に行き胃カメラをしたのだが、
胃が微出血しているとのことで胃薬が処方された。
この症状も数日で治まると思っていたのだが
そういうわけにはいかなかった。
結果を見れば誤診が続くことになる。

パニック発作。

一日中家に籠もっているわけにもいかないので散歩に出かけた。
街に繰り出しデパートの中に入った。
そのデパートの中でパニック発作に襲われた。

鼓動が早くなり、体中が震えだし、
頭が、心が、途轍もない不安感に襲われ、
自分が自分でなくなるような感覚がした。

直ぐさま非常階段に避難した。
家に戻ろうと、その場から離れようと、人混みをかいくぐろうとしても、
パニック発作に襲われ無理だった。
救急車を呼ぶことも考えたが、恥ずかしさが頭を過ぎり、
父に電話し車で迎えに来てもらった。

その足で病院に行った。
そのとき診てもらった先生に、これは精神的なものかと聞いたら、
精神的なものはそうあるものではないから違います、と言った。
ここでも誤診だったわけだ。

誤診が続く。そして死を意識する。

それから内科で胃薬を処方され服用を続けるのだが、
吐き気がして食事も碌に取れず、
パニック発作に襲われ外出も出来なかった。

六十キロあった体重も日に日に減っていき、
五十キロを切ったときまずいなと思ったがどうすることも出来なかった。
そのときの食事は、
朝食・昼食共に食パン一枚と牛乳一杯、夕食にお粥一杯だった。
何とかカロリーを取ろうと、
食パンにマーガリンを多めに塗ってみたり、
ジャムを多めに塗ってみたりもしたが、
体重は減る一方だった。
当たり前だ。成人男性の一日の摂取カロリーが低すぎる。

体重が四十六キロになったとき、死を意識した。
このまま僕は死ぬのかな、と。

心療内科へ。

担当してもらっていた内科の先生は内科長で忙しく、
他の先生に代わりに診てもらうことも少なくなかった。

八ヶ月、九ヶ月経ったとき、他の先生に診てもらったとき、
今処方している薬は日本で処方できる薬のうち一番強い薬だから、
これで効かなければ心療内科に行ってくれと言った。
症状を話そうとしたのだが、それも心療内科で言ってくれと言った。

看護師さんに心療内科のパンフレットを三枚貰った。
どこの心療内科がいいのか聞いたが、
看護師さんからは何も言えないとのことだった。

結局、家から一番近い心療内科(以下、Aクリニック)に行った。
Aクリニックに足を踏み入れたとき、発狂している患者がいた。
当初、僕はとんでもないところに足を踏み入れてしまったと思った。

パニック障害とうつ状態。

先生の診察を受ける前にスタッフが問診をした。
僕はカレーライスを食べて嘔吐したところから話した。
愛犬が亡くなったこと。
食事が取れなくなったこと。
パニック発作に襲われたこと。
一人で外出できなくなったこと。

診察が僕の番に回ってきて診察室に入った。
先生はスタッフが問診をした紙を見て、
いくつか僕に質問して言った。
パニック障害とうつ状態です、と。
パニック障害とは初めて聞く病名だった。
愛犬が亡くなったことも、
原因の一つにあるでしょうと言った。

パニック障害がどういう病気であるかも分からずに、
処方された薬を指示通りに服用した。
一人で外出も出来るようになり、
食事も取れるようになり、
減った体重も一ヶ月で元に戻った。

祖母の介護をするため○○市へ。

パニック障害と診断されて直ぐ、
一人暮らしをしていた祖母が倒れてしまった。
祖母の介護をするべく、
今住んでいるところよりも一軒家がいいだろうということで、
親戚の持ち家である、都心から外れた一軒家に引っ越すことになった。
そして、介護をする上で動物がいた方がいいだろうと言うことで
犬を飼うことになった。
パニック障害と診断されたAクリニックには一ヶ月しか通院しなかった。

東京二十三区外に引っ越してから、
祖母の介護を親戚にバトンタッチするまでの四年半は割愛するが、
一つだけ話しておこうと思う。

引っ越してからお世話になっていた心療内科(以下、Bクリニック)で
眠剤も処方してもらっていた。
元々寝付きが悪かったのだが、
眠れないことが多々有り眠剤も処方してもらっていたのだが、
弱い眠剤しか処方してもらえず、
全く眠れない日が続き、Bクリニックに行こうとしたが、
その日はBクリニックが休みだったため、
総合病院に連絡し、事情を話し、
他の心療内科(以下、Cクリニック)を紹介してもらった。

紹介してもらったCクリニックで処方された眠剤で眠れるようになった。

それで最初にお世話になったBクリニックで転院したいと言い、
診断書を書いて貰い転院した。
転院したCクリニックで処方してもらった眠剤で
眠れるようになったのはよかったのだが、
一ヶ月で体重が二十一キロ増えてしまった。
先生が言うには、薬が効きすぎると副作用が顕著に出てしまうとのことだ。
眠剤を変えて貰い、一ヶ月で体重が九キロ落ちた。
このまま体重は元に戻ると思っていたのだが、
リバウンドして、一ヶ月で十一キロ増えてしまった。
結果、三ヶ月で二十三キロ増えてしまった。

祖母の介護が終わり、元住んでいた家に戻ってきてからは、
またAクリニックにお世話になることにした。
約五年間通院したのだが、ここで薬漬けにされてしまった。

次回、『薬漬けから減薬まで。』に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?