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「経営者目線を持て」はナンセンス

ときどき耳にする「経営者視点を持つべき」という言葉。

会社によっては、社長が従業員に向けて「全従業員が経営者視点を持って取り組んでください」と話したり、
あるいは人事担当者が就活生に「成長したければ経営者視点で考える癖を付けてください」と話したり。

でも、社員に「経営者視点を持て」と言うのはナンセンスではないか、と僕は思うのです。

そもそも『経営者視点』とは何ぞや

って思いませんか?

きっとそれを発言する人には、もう少し具体的な意図があってのことだとは思いますが、受け取る側としては「経営者と同じ視点」以上のことは分かりません。

で、仮に「経営者と同じ視点」そのままの意味だとして、本当にそういう視点で考えられる人がいたら、その人はもう経営者になった方がいいはずです。
というか、僕が経営者だったら、一部の重要な役職のメンバー以外に「経営者の視点」なんか持って働かれたら、相当やりにくいだろうと思います。

結局、「経営者」もロールのひとつでしかなく、経営者視点は経営者がしっかり持っていればよくて、部長は部長としての視点を、現場は現場としての視点を、要するにその立場に求められていることを確実にこなすための視点を持っていれば、組織としてはそれで十分です。

あるいは、一緒に働くメンバーとして「相手の気持ちを考えよう」みたいな意味なんですかね?
だとすれば、もはや「経営者」に限った話ではなくなるので、「いろんな立場の人の気持ちを考えながら働きましょう」とでも言っておけばいいのです。

そういう意味では、「視野を広く」とか「視座を高く」みたいな指示も、ちょっと漠然としすぎていてイマイチだなと思います。

「システム的に考えなさい」が良い

ということで、本来、私たちが身に付けるべきなのは「システム的に考える」ということではないかと思うのです。
いわゆる「システム思考」というやつですね。

つまり、「今、どういう結果を生むシステム(仕組み・構造・機構)になっていて、どういうシステムに変えれば望ましい結果が得られるか」を考えるということです。

もちろん、これを考えるためには、システム全体としての目的・達成したい結果が何なのかを理解している必要があります。
また、どういうステークホルダー(利害関係者)がいて、自分も含めて、彼らがどのように影響し合ってシステムを構成しているかを、俯瞰的に考える必要があります。
さらに、それを理想的なシステムへと変化させようとするときには、ある程度、自分が担当している範囲の外のステークホルダーにも働きかける必要が出てきます。

結果的に、視野を広くしたり視座を高くしたりすることにはなりますが、そういったことは、ゴールや目的にはなりえません。

漠然と「経営者視点を持つようにしよう」とだけ意識している人は、もう少し具体的に、「システム的に考える」ことを意識するようにしてみてはいかがでしょうか。


▼システム思考についてはこちらでも詳しくまとめています▼


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