見出し画像

「付加価値とは何か」 - 価値を決めるのは顧客 -

商品やサービスの価格を決定する因子の1つである付加価値について整理した内容になります。

付加価値とは

顧客のニーズを正確に汲み取った上でそのニーズを満たす機能や特徴を持たせることで付加価値のある商品やサービスとなるので、付加価値はその付加された部分に該当します。機能や特徴を削ぎ落とすことも「削ぎ落とす」という価値が付加されることになるので付加価値があると言えます。

付加価値があると顧客が感じれば選ばれる商品・サービスになります。付加価値に見合う価格であれば購入されます。

ここで重要なのは付加価値かどうかを決めるのは売り手側ではないことです。買い手である顧客が付加価値であるかどうか判断します。事前の顧客インサイトを細かく分析してから付加価値を売り手側が定義したとしても顧客に選ばれて初めて付加価値となりえます。

価格先行で付加価値を考えてはいけない

経営目標からブレイクダウンして商品・サービスの売上や利益目標が決まる組織では、基本は営業やプロモーションの改善によって目標達成を狙いにいくのですが、どうあがいてもそれだけでは目標に到底到達できないような目標が設定されることがあります。中期経営計画の遅れがある場合はよく見られる光景です。

値上げしか残された手段がなくなると値上げが決定事項になって後付けで付加価値を検討せざるをえなくなります。

そうした中で付加された価値は、改良工数やコストなどが先行して考慮されてしまうため、顧客の潜在的なニーズからずれてきてしまいます。結果的に当たれば美談として語られますが、ほとんどは失敗に終わります。

価格先行で付加価値を考えるべきではないのはこうした背景があるためです。付加価値は顧客のニーズを満たすものであり、究極的には顧客を感動させる(興奮、安心感、幸福感など)ものとしてまずは考え、それに見合う適切な価格を付けるのがやはり正攻法です。

付加価値づくりを再現性のあるものにするには

付加価値のつくりかた」という本によれば、付加価値は構造(仕組み)からつくられるということが書いてあります。

キーエンス社がなぜ付加価値を作り続けられるのかという切り口で、営業や商品開発やマーケティングやバックオフィスに至るまで組織内にある構造のすべてが顧客に付加価値を提供するための構造になっているから付加価値をつくることができるようになっていると語られています。

たしかに必要に迫られてから付加価値を考えるのではなく付加価値を提供する前提で組織が仕組み化されているのは理にかなっていると思われます。

この本での指摘は再現性を持って付加価値をつくり続ける上で(キーエンス社の持続的業績や利益率を見る限りは)的を射ていそうです。

とはいえ、キーエンス社のようなことをどの会社でもすぐに取り組むのはむずかしいため、まずは他社商品・サービスがなぜその値段で売られているのか分析し直すのも付加価値をつくるヒントになります。「くらべる値段」という本が身近な商品の値段とその理由を企業へのヒアリングをもとに整理されているので入り口として良いと思います。

まとめ

まとめると、

  • 付加価値かどうかは顧客が決める

  • 付加価値づくりの再現性は組織の構造に依存する

  • 他社商品・サービスの研究は付加価値を考える上で役に立つ

になります。手始めとしては、どういった要素を顧客が求めているのか、何にならお金を払ってもいいと考えているのか、なぜ他社商品・サービスは売れているのかを常日頃から思考を巡らせながら仕事をするのが付加価値を作っていく上で重要と言えそうです。

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?