クリスマスの少し前、商店街の前のビルの壁に、誰が作ったかわからない、大きなオーナメントが飾られた。

空のような青い大きな球体に、雲のような白いふわふわ。周りには南国調の鮮やかな赤や黄色の花が、あしらわれていた。

誰だ！こんな季節外れのオーナメントを飾ったのは！
この時期、クリスマス一色にするのが、この商店街の暗黙のルールだろうが！
こんなルールを知らないオーナメントは、取っ払ってしまえ！
商店街の店主たちは怒った。

ところが、どこからともなく、
あのオーナメントは、有名な芸術家の作品である、
と言う噂がたった。

すると、そのオーナメントを見るために、多くの人がやってきて、商店街は更に賑やかになった。

商店街の店主達は、急に態度を変えて、そのオーナメントを口々に褒めて、その素晴らしさを讃えるようになった。

しかしクリスマスの直前、一人の青年が、
これは自分が作ったものだ
と白状すると、オーナメントは、あっという間に取り外されてしまった。

本文ここまで　410文字
これは、たらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

お題は
「ルールを知らないオーナメント」

先日ニュースで、有名なストリートアーティストが道路標識に加えた作品を見て、
流石だなあ…
と思う一方、道路標識にいいの？
とも思った。

多分普通の人がやったら、どんなにすごい作品でも、器物損壊で捕まる(罰金)になるよな。

有名な人の作品か、そうじゃないかで、作品を評価する人は、世の中多い。
だって、実際のところ、よくわからないから。

私は有名な画家の作品でも、良さがわからなければ、やっぱりわからないな、と思う。

有名なだけある、ホントに素晴らしい‼️
と思うことの方が多いですけどね、

好きか嫌いか
それだけ。

それでいいですよね。