El color de rosa solidario

画像1 急な坂を登って細い階段路地へ入ると、どん詰まりに女主人の家が見えてきた。教わっていたとおり、大輪の見事な薔薇が咲き乱れている。行為の後、女主人が「薔薇色の連帯」と呟いていたこと、ふと頭をよぎった。坂の下から入り口は良く見えなかったが、路地からもペンキ塗りの庭木戸しか見えない。パネル組のツーバイフォー住宅とは不釣り合いな木戸を押し開け、当たり前のように庭へ入った。まだらな芝生へ足を踏み入れると、南向きの大窓から、カーテン越しに居間がみえる。
画像2 立ち止まって玄関を探していたら、見知らぬ若い女が窓から顔をのぞかせた。家を間違えたか、あわてて引き返そうとしたら「まって、まって」と呼び止められてしまう。まいったなと振り返ったら、スウェットにシャツの細い女が「ママの言ってた人でしょ? こっちから上がって」と手招きしていた。舌打ちしかかったあごをなんとか押さえ込み、下唇をかみながら軽くうなずく。急坂を登り階段を踏みしめつつ下心をたぎらせていた俺は、既に帰りたくなっていた。自宅で娘と鉢合わせかよ……。
画像3 踏み石に靴を脱いでリビングに入ると、ゆったりワンピースをだらしなく引っ掛けた女主人がくすくす笑っていた。驚きと不満を隠しきれない俺にソファへ腰掛けるよう促すと、いたずらっぽく目を輝かせて「人前でセックスしたことあるし、できるんだよね?」と問いかける。罠やテストという可能性を思いはかりもせず、俺は「できるけど、彼女の前で?」と返していた。女主人は笑いをこらえながら「そう、いまから。でも、あなたの相手はこの娘よ」と言って、若い女の腰に手を回す。
画像4 女主人は嬉しくてたまらなそうに「大丈夫、形だけの親子だから」と言って若い女を強く抱きよせ、情熱に溢れた口づけを交わした。若い女は女主人の涎を引きながら「セックスの期待に歪むあなたの顔、最高だね」と微笑み、手を伸ばして風呂場へ誘う。ふたりは脱衣所のドアから顔をのぞかせ、俺に服を脱ぐよう命じた。笑いながら「schnell! schnell!」と囃し立てて……。ふと怪訝な顔を見せた俺に、女主人は「大丈夫、薔薇色の連帯」と目配せしながら、威勢よくワンピースを脱いだ。
冷蔵庫 続編:冷蔵庫の扉に映った夏の終わり #短編小説 #小説 #短編 |Morihiro Matsushiro @m_m1941|note(ノート) https://note.mu/mm1941/n/n52b90f05e29e

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