俳優・古田敦也の軌跡(TBSドラマ"DCU"出演)

東京ヤクルトスワローズの元選手で監督も務めた古田敦也さんが、着々とキャリアを積んでいる。
何のキャリアかといえば、それは「俳優」である。

古田さんは2007年にスワローズの選手兼監督を辞任してから、野球評論家やキャスターとしての活動が多く、長いものの、2021年のヤクルトスワローズの春季キャンプでは、盟友・高津臣吾監督の要請で臨時コーチを引き受け、後輩捕手の中村悠平を含む、選手たちに「古田イズム」を注入した。
そのシーズンでスワローズは20年ぶりの日本一となり、古田さんは影の功労者とも言われた。

古田さんはTBS系のドラマ、"DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜"に俳優として出演する。


本作品は、原案がイラン・ウルマー、サミュエル・ゴールドバーグによる原案を基にしたテレビドラマである。
”DCU”とは、海上保安庁に新設された水中事件や事故の捜査を行う架空のスペシャリスト集団、”Deep Crime Unit(潜水特殊捜査隊)”の略。
従来の海上水域だけでなく、警察の捜査では困難な「危険極まりない日本全国の河川や湖」など、あらゆる水中に潜り隠された証拠を探し、「水中未解決事件」を解決する活躍を描くミステリーである。
本作は海上保安庁が全面的に協力している。

次回、1月23日の放送回となる第2話で、古田さんは北能登の市議会議員、岡部正三を演じる。
議員として地元に多大な影響力を持つ岡部はストーリーのカギを握っており、古田さんがどう演じているのか注目だ。

古田さんは「場違いなのは重々承知していますが、せっかくなので全力でやってみようかと思いました。演技しすぎるとコントみたいになってしまいそうなんで抑え目、控えめを心がけたつもりです」とコメントした。


実は古田さんは球界切っての俳優キャリアを持っている。
ドラマ出演は今回で7作品目になるのである。
これまでも球界から俳優に転じた元選手は少なくない。
イチローさんも現役のメジャーリーガーであった2006年に、ドラマ「古畑任三郎」のスペシャルで準主役でゲスト出演し、田村正和さんと共演するという異例のケースもあった。
古田さんの場合、引退後とはいえ野球解説やスポーツキャスターのほうに軸足がある中で、これほどまでに多くドラマの作り手からのオファーを受けるのも異例だ。
古田さんは解説者、キャスターとしても弁舌巧みであるが、俳優としてもその存在は異才を放っているようだ。
古田さんの俳優としての輝かしいキャリアを振り返ってみよう。

①「NHK連続テレビ小説 ふたりっ子」(1996年10月-1997年3月)

古田敦也にとって、記念すべき俳優デビューの作品であるが、いきなり、NHKでの「朝ドラ」での登場となった。

舞台は1966年(昭和41年)、大阪・通天閣に近い、天下茶屋の商店街にある豆腐屋に生まれた双子の姉妹・野田麗子(菊池麻衣子)と香子(岩崎ひろみ)。
優等生の姉・麗子に対して、妹・香子はやんちゃな性格で、学校では問題児扱い。
香子は通天閣にある将棋センターで賭け将棋を生業とする真剣師の銀蔵に将棋の才能を見出され、将棋に没頭する。
香子は高校を中退して家業の豆腐屋を継ぐことになり、将棋を捨てるが、幼少時のライバル・森山史郎(内野聖陽)との再会および敗北を契機に、プロの棋士になることを決意。
女性初の正式な棋士を目指すため米原公紀(桂枝雀)の弟子となり、新進棋士奨励会に入会する。

時は流れて2001年、香子は上位8人に入るA級八段、史郎は「飛竜戦」を三期防衛して九段になっている。
二人が活躍する将棋界は七つのタイトルを七人の棋士が分散する“群雄割拠の戦国時代”。
古田が扮する毛利元彦はそのうちの一人で、「棋将」というタイトルホルダーである。

この配役、古田氏にとってまさに「ハマり役」と言ってよいだろう。

古田氏の将棋の腕前はアマでもハイレベルで、かつてスワローズのチーム内で行われる将棋大会でも「名人位」と「王将位」の二冠王を獲ったこともあるばかりか、羽生善治名人と飛車角落ちで対戦したこともある(結果は敗戦)。
日本将棋連盟から1995年に「名誉初段」、2004年には「アマ三段」の免状を送られている。

なお、「ふたりっ子」には、掛布雅之氏と原辰徳氏が本人役で出演している。
時は2001年、掛布氏は阪神タイガースの監督、原氏は読売ジャイアンツの監督として登場する。
なお、このドラマの放送時点(1997年)では、原氏はNHKの野球解説者であったが、2001年10月に本当にジャイアンツの監督に就任する。

②「アストロ球団」(2005年8月 - 10月、テレビ朝日)

原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)に1972年から1976年にかけて連載されたスポ根野球漫画『アストロ球団』(原作:遠崎史朗、作画:中島徳博)である。

古田氏は第1話(第一球)と最終話(第九球)に本人役で出演している。
主演が長嶋一茂であり、古田とは同級生、スワローズ時代の同僚でもある。

(引用)
第一球(前編)/2005年9月9日午後9時9分9秒。夜空を駆け抜ける発光球を目撃した9人のプロ野球選手がいた。その中の一人、古田敦也(本人)は2005年2月、キャンプインを前にフィリピンに住むある人物を訊ねた。彼の名はJ.シュウロ(千葉真一)。病床に伏す、老いたその男は古田に、自分の人生すべてを賭けて作ったアストロ球団の話を始めた。シュウロによれば、アストロ球団とは不世出の名選手、沢村栄治(長嶋一茂)の野球への強い想いが生んだ存在だったのだという。訝しげに思う古田だったが、シュウロの日記に克明に記されていたアストロ球団の話を読むと、俄かに引き込まれてしまうのだった。
--時は昭和47年。巨人阪神戦のマウンドに、事故で入院中の江夏を装い、顔面を包帯で覆った男が立っていた。彼の投球フォームに沢村栄治の影を見た長嶋(神保悟志)ら巨人ナイン。高まる野次。すると男は包帯を取り言った。「俺はアストロ超人、宇野球一だ!」。戦中、フィリピンに出征していた沢村と幼少時代に出会い、沢村から世界最強の野球チーム、アストロ球団を作る夢を託されたシュウロが、その一員として見つけ出したのが、腕にボール型のアザを持つ球一(林剛史)だったのだ。


③「役者魂!(2006年10月 - 12月、フジテレビ)
第6話  古田先生と秘密のバイト涙雨

主演は松たか子、共演は藤田まこと。脚本は君塚良一。

烏山瞳美(松たか子)は、大手芸能プロダクション「ヤナギサワエクスプレス」のマネージャー。
ある日、瞳美はそれまで担当してきた若手俳優のマネージャーを外され、舞台俳優・本能寺海造(藤田まこと)を担当することになる。
本能寺は、「シェイクスピアの芝居しかやらない」と豪語する大御所俳優だが、わがままで頑固な性格ゆえに敵を作りやすく、ヤナギサワエクスプレスの歴代のマネージャーは皆、長続きせず、本能寺は自らの家族からも距離を置かれて孤独な身であった。

ある日、本能寺の娘だと主張する、福田桜子(川島海荷)という、しっかりものの12歳の女子が現れる。桜子の母親が結婚のため海外へ行ってしまったため、父親である本能寺を頼って上京してきたという。

第6話(2006年11月21日放送分)では、桜子が通う小学校で進路相談のため、三者面談に臨むことになり、保護者である本能寺の代わりとして、マネージャーの瞳美が同席する。
その時、桜子の担任の教師・森として登場するのが古田氏である。


④「ガリレオ 第2シーズン」(2013年、フジテレビ)
第四章「曲球る 姿なき侵入者と魔球の謎!遠隔放火」(2013年5月6日)

「ガリレオ」は、東野圭吾氏の推理小説「ガリレオシリーズ」のテレビドラマ化。
主人公の湯川学(福山雅治)は帝都大学の理工学部物理学科第十三研究室に所属する准教授で、天才物理学者。
湯川の興味は、超常現象の原理や正体を解明することであるが、彼の周囲では様々な事件が起き、また難事件の解決が持ち込まれるようになる。
湯川は少ない事実を基に論理的な思考を積み上げて、事件を解決していく。それ故、警察関係者からは「ガリレオ」と呼ばれるようになり、同時に、学生時代の同期や研究室の学生から「変人ガリレオ」と呼ばれている。


https://www.fujitv.co.jp/b_hp/galileo2013/backnumber/213000003-4.html



ある日、湯川学(福山雅治)の研究室に、プロ野球選手の柳沢忠正(田辺誠一)と練習パートナーの宗田祐輔(古田敦也)がを訪ねて来る。
柳沢はプロ野球チーム・アースリーズのエース投手として活躍していたが、昨年、球団から戦力外を通告され、所属球団が決まらないまま浪人生活を送っている。
柳沢の盟友である宗田はバドミントンのシャトルの動きを検証した湯川の論文を読み、柳沢を復活させるためのヒントを得るため、湯川に協力を要請する。

⑤青空ふたたび(2019年8月6日-17日、朝日放送)
第2話(8月7日放送分)


「青空ふたたび」は2019年夏の第101回全国高等学校野球選手権大会の朝日放送(ABC)によるテレビ中継中、試合の合間に放送されていた10話構成のミニドラマである。

ストーリーは、2017年の全国高等学校野球選手権長野大会に出場した長野県軽井沢高等学校硬式野球部の女子マネジャー(当時3年生)をモデルに、廃部寸前の野球部を立て直すまでの奮闘振りを描く。

軽井沢高校・新3年生の小宮山佑茉(田辺桃子)は野球部のマネージャー。
だが、野球部はもともと部員が少なく、3年生が引退すると、部員はついにゼロに。
佑茉は誰もいないグラウンドを整備し、練習用のボールを磨く。
そして、野球部監督の林原(白井哲也)から告げられたのは、野球部の存続のため、部員を探すこと。
佑茉は家族に相談するが、父親(中川浩三)に冷たく突き放されてしまう。誰もいない野球部で、ただ一人戦い始める佑茉ー
佑茉の夢は「単独チームでの夏の地方大会出場!」「夏、1勝!」。

古田氏は第2話(8月7日放送分)に学校の校長役で出演している。
佑茉から野球部部員集めのために校長として直談判を受ける。

「八月は夜のバッティングセンターで。」(2021年、テレビ東京)
 八回「チームリーダー」(2021年9月2日放送)

明里高校2年生で女子硬式野球部に所属する夏葉舞(関水渚)は夏休みの間だけ、伯父・夏葉幹也(「ますだおかだ」の岡田圭右)の経営する「夏葉バッティングセンター」でアルバイトをすることになった。
舞が一人で店番をしていると、毎晩決まって、無精髭を生やした、一人の男がやってくる。
男はバッティングケージにも入らず、ただ、ケージの背後に座って、他人がボールを打つ姿を見つめている。
不審に思った舞がその男に声をかけると、男は「バッティングを見るだけで、人の悩み事が分かる」と豪語する。
彼は伊藤智弘と名乗る元プロ野球選手だった。
バッティングセンターには人知れず、悩みを抱えた女性たちがやってきていた。

伊藤は悩みを抱えた女性に声をかけると、彼女たちはそれぞれ一様に当惑するが、伊藤が「ライフ・イズ・ベースボール」という言葉を発してボールを空中に投げると、なぜか舞たちと共に野球場へ瞬間移動する。
その野球場では、伊藤が野球に譬えた独自の人生論を「野球レジェンド」が登場して再現することで、バッティングセンターにやってきた女性たちの悩みを次々と解決に導いていく。

古田氏は第8話に本人役で出演、監督として登場し、リーダーとはどうあるべきかを伝える。


いかがだろうか?
これを機に動画配信サイトで古田敦也さんの俳優としてのキャリアを振り返ってみても面白いだろう。

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