【2021年日本シリーズ展望③】カギを握るDH制

今日から始まる「SMBC日本シリーズ」だが、3つ目のポイントとして、「DH起用」を挙げたい。

“「オリックスはレギュラーシーズンでほぼ毎試合、打順の組み替えていたが、ヤクルトは打順をあまり変えなかった」”

今回の日本シリーズは、第1、2、6、7戦がオリックスのホームでDHあり、第3、4、5戦がヤクルトのホームゲームとなるため、DHなしとなる。

当然ながら、オリックスはDH無しの試合で、誰を外して誰を残すか、ヤクルトはDH有りの試合で誰をDH起用するかが非常に重要な選択となる。

ヤクルト

ヤクルトの場合、DH起用の候補としては、守備にやや難があるサンタナ(右打ち)、今季、代打で無類の勝負強さを見せた川端慎吾(左打ち)、あるいは守備の負担を軽くするためにベテランの青木宣親(左打ち)をDHで起用するという手もある。

川端は終盤、コンディション不良で欠場したことや、オリックス先発投手陣には左投手が多いことを考慮すると、ベンチスタートのほうがよさそうだ。
そうなると、DHの第一候補はオスナだろう。

その場合、ライトのポジションが空くが、宮本丈(左打ち)がよいと考える。
宮本は今季、代打起用や守備固めからの出場が多かったが、代打でも結果を残し、四球も多い。
川端慎吾の影に隠れていたが、9月上旬には一時、代打中心で打率.343という高打率を残した。
シーズン最終戦、雄平の引退試合となった広島戦ではスタメン起用に応え、最終打席では広島カープのクローザー、栗林良吏から今季初ホームランを放っている。
特にライトポール際に大ファウルを打った後、打ち直しでライトスタンドにホームランを打ったのは記憶に新しいところだ。

宮本はプロ4年目を終わってみれば、昨年から出場機会は減らしたものの、62試合、92打席で打率.286、1本塁打、出塁率.395であった。
この出塁率の高さが宮本の価値である。
また、宮本は左打ちにもかかわらず、今季、対左投手には打席数は少ないものの、10打数3安打、打率.300という成績を残しており(対右投手には打率.283)、左投手を苦にしていないところもポイントだ。

だだ、特に第6戦、第7戦、神戸での戦いまでもつれれば、ヤクルトはDH・川端慎吾で巻き返しを図る可能性は高く、先発起用は堅いだろう。

オリックス

オリックスはレギュラーシーズン143試合で打順を130通りも試している。
となると、DH制がなくなる試合では打順の組み替えの選択肢が減るし、「9番・投手」を入れざるを得ないことで、レギュラーシーズンよりも攻撃力が落ちる。
一方、ヤクルトはレギュラーシーズンを通して、「3番・山田哲人」「4番・村上宗隆」をほぼ固定して戦ってきた。

さらに、オリックスがDH無しの試合で誰を外すかとなると、復帰したばかりのラベロ(右打ち)になるだろう。

主軸である吉田正尚(左打ち)はシーズン終盤に被った左太ももの故障や、死球で痛めた右尺骨の影響が懸念されるため、ホームではDH起用になるだろうが、悲願の日本一のためにはビジターの試合でもラインアップからは外せない。
そうなると、吉田は第3、4、5戦ではレフトの守備に就くことになり、負担が重くなるだろう。打撃への影響も懸念される。

さらに、オリックス・中嶋監督からすると、交流戦でしか体験したことがない、投手への代打起用、投手への犠打のサイン、投手交代時のダブルスイッチなどの采配を強いられる。

そうなると、オリックス・中嶋監督としてはホームゲームの2連戦、初戦先発の山本由伸、第2戦先発の宮城正弥で2勝を計算したいところだ。

一方、ヤクルトはDH無しのホームゲーム3試合で、「セ・リーグ」の戦いという自らの土俵にオリックスを引きずり込むができるか、高津監督の手腕が問われる。


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