もものけつ

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詩集 マンガのように(中原中也賞、小熊秀雄賞落選作)

はじめて宇宙に行ったときはじめて宇宙に行ったとき 窓のそとには地球があった はじめて宇宙に行ったとき 地球はたしかに美しかった はじめて宇宙に行ったとき 船のなかには温泉があった はじめて宇宙に行ったとき お土産なんかも売っていた はじめて宇宙に行ったとき 空飛ぶクルマはもうあった はじめて宇宙に行ったとき 少年ジャンプはまだあった はじめて宇宙に行ったとき 僕はツアーの参加者だった はじめて宇宙に行ったとき あなたは火星に住んでいた 君はかわいい 頬杖ついている君は

    • 「なりたい」の罠

      小学校の卒業文集で、たしかふざけて「総理大臣になりたい」と書いた記憶がある。そんなつもりは一ミリもなかったが。 (大きくなったら)何になりたいか、という問いに答えるとき、いや、答えようとするとき、他者の視線を意識せざるをない自分がいる。 ケーキ屋さんになりたい、お嫁さんになりたい、YouTuberになりたい、野球選手になりたい、等。 全部「他者にどう見られるか」を意識した上での答えにならざるをえない。 「なりたい」という言葉は自意識を孕んでいる。だから純粋な欲望とは言

      • 田舎、ジョギング、小学生

        日課になっているジョギングを終えて、歩きながら家に帰っていると、自転車に乗った小学生二人組とすれちがった。 で、すれちがいざまに、その内の一人が「あいつ……」と言っていた。気がする。 俺のことを言っていたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 ただ言えるのは、このクソ田舎で高齢者以外の人がジョギングやウォーキングをしていると不審者扱いされる可能性があるということだ。 でもそのことを気にしていると運動ができない。運動ができないと健康が……。健康か、不審者扱いか。俺

        • ひろゆきの切り抜きを見て思ったこと。

          最近、ひろゆきの動画をよく見ている。 切り抜き動画で「凡人が好きなスポーツのプロは食える」というようなことをひろゆきが言っていた。野球やサッカーは食えるけどペタンク(フランスでは人気のマイナースポーツらしい)は食えない、と。 これを創作に置き換えた時、凡人が好きな創作は何だろう、と思った。 漫画、アニメ、映画、ドラマ、この辺りがメジャーだろう。 次点で小説やエッセイが入りそうだが、純文学は除かれるだろう。 じゃあ、詩は? 正直、俺は詩を読んでいる人を知らない。正確

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        詩集 マンガのように(中原中也賞、小熊秀雄賞落選作)

          X(旧Twitter)のおすすめ欄をなくす方法

          X(旧Twitter)のおすすめ欄に流れてくるものは面白いものもあるのだが、面白ければ何でもいいのか、と思うくらいには辟易している。 過激であったりセンシティブであったりするものがじゃんじゃか流れてくる状況は、エロ動画を漁っているような、いや、エロ動画を見させられて興奮させられているような感じでとても不快で怖くもある。それでも、エロ動画なので見てしまうという矛盾がある。本能をハッキングされているというか。 そこで「controlpanel for Twitter」という

          X(旧Twitter)のおすすめ欄をなくす方法

          続けること その2

          続きです。 『辛さ』が『面白さ+報酬+理由』を上回る時、それを続けることがむずかしくなる。 だから『辛さ』を小さくするか、『面白さ+報酬+理由』を大きくする。 『辛さ』を小さくするというのは、たとえば書き物であれば、書く量や頻度を減らしたり、自分が目指すものを低く設定したりするということかもしれない。 『面白さ+報酬+理由』を大きくするというのは、新しい方法を試すとか、頼まれたことをするとか、野心を燃やすとか、そういうことだろうか。 肌感覚として、『辛さ』を小さくす

          続けること その2

          『ハンチョウ』のしょぼさ

          『ハンチョウ』という漫画がある。 地下労働施設で働くおじさんが、一日外出券を使い地上に出て、飯を食ったりする漫画だ。 今書いた通り、この漫画の内容はしょぼい。でも面白い。全部読んだわけじゃないけど。 おじさんというのは大体しょぼい。 それはなぜかというと、しょぼくないとしんどいからだ。 しょぼいというのは、スケールが小さいということだ。 なぜしょぼくないとしんどいかというと、大きなものを得るのは大変だし、そもそも無理そうだからだ。おじさんにもなれば、それくらいのこ

          『ハンチョウ』のしょぼさ

          続けること

          何かを続けることは大切だと思う。 続けているといいことがある、とかそういう理由もあるが、続けることは安定のために大切だと思う。 じゃあその何かを続けるために大切なことは何かというと、 『面白さ』『報酬』『理由』だと思う。 たとえば、その何かに『面白さ』がなくても、『報酬』や『理由』があれば続けることは可能かもしれない。 『報酬』や『理由』がなくても、『面白さ』があれば続けられるかもしれない。 これらがそれぞれ十点満点で、合計で三十点満点だとする。 何かには当然『

          イラスト集(電子書籍)を販売しています。

          二、三年前に描いてまとめていたものをずっと放置していて、ようやく電子書籍にしました。 これで一億稼ぐぞ〜!(不可能)(100円ですら稼げるか分からん) 文字は一切なくて、絵だけです。 150ページくらいあるのですが、すぐに読み終わると思います。 Kindle Unlimitedに加入していれば無料で読めます。 もしよければ。 ↓↓↓ https://amzn.asia/d/7TTdjgQ #エッセイ #イラスト #絵 #kdp #kindle

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          時間の感じ方

          一秒は一秒。 一分は一分。 一時間は一時間。 それは変わらない。 でも感じ方は変わる。 一秒が一時間のように。 一時間が一秒のように。 人生なげーな、と思う時、 人生が長いのではない。 人生を長いと感じているのだ。 それは人生みじけーな、と思う時も同じだ。 一般的に、かどうかは分からんけど、 過ぎてほしくない時間は短く感じて、 過ぎてほしい時間は長く感じる。 休日はあっという間に終わる。 カップラーメンの三分を待つのはだるい。 人生is休日が嫌なら、 カップラーメ

          時間の感じ方

          「何かしなきゃ」という焦り

          「何かしなきゃ」という焦りは生物としての本能だと思う。 問題は「何か」が文字通り漠然としていることだ。 漠然としているので、とりあえず興味のあるものに手を出す。 俺であれば、詩を書いてみようとか、小説を書いてみようとか思って、それを実行した。 その原動力はおそらく「何かしなきゃ」という焦りであったが、習慣化すると焦りは後退していったように思う。 習慣化している間は、「何かしなきゃ」と焦ることは少ない。「これをしていれば大丈夫だ」とさえ思っていたかもしれない。 でも

          「何かしなきゃ」という焦り

          表現は一人ではできない。

          中学生の頃から二十歳になるくらいまで、お笑い芸人になりたいと思っていた。 二十歳くらいから絵を描き始めた。 二十六歳くらいから詩を書き始めた。 三十三歳くらいから小説を書き始めた。 俺は表現が好きなのだと思う。 中学生の頃、グループで話しているときに、面白いことを一言でも言えたら、それだけで一週間は機嫌がよかった。逆に面白いことが長いあいだ言えないと、すごくストレスだった。 面白いことを表現できないのは、俺にとってストレスなのだ。面白いことというのは、自分と相手と

          表現は一人ではできない。

          ありがたいのハードルを下げる

          バス停で、スイミングスクールのバスからおばあさんが降りてきた。おばあさんは普通に歩いていた。 うちのおばあちゃんは腰を痛めて歩けない。だからそのおばあさんをうちのおばあちゃんが見たら、きっと羨ましく思うのだろう。 俺は別に羨ましくない。俺だって歩けるから。何なら走ることもできる。 うちのおばあちゃんにとっては、歩けることはありがたいことなのだ。 それをできることが当たり前の人にとって、それをすることのありがたみはほとんどない。できて当たり前なので。 だから恵まれてい

          ありがたいのハードルを下げる

          友達のFacebookにいいねした話

          大学時代の友達が、子供との写真をFacebookにアップしていた。俺はそれに「いいね」をした。 それだけ。 ああ、俺は人の幸せに「いいね」ができるんだ。 それは「いいね」と思った。 「いいね」というのは、する方も「いいねができる(豊かさのある)自分」を感じられる。 「いいね」をすることで、自分の豊かさを確認している感じだろうか。 東畑開人さんの『居るのはつらいよ』だったか。その本の中に「ケアすることでケアされる」みたいなことが書いてあった。それと似ているような気がす

          友達のFacebookにいいねした話

          NHKBS『ワイルドライフ』見逃しがち

          先々週くらいに、たまたまNHKBSの『ワイルドライフ』という野生動物の番組を観て、ものすごく感動した。 ミーアキャットの集団が良かった。とにかく生きるために必死なのだ。なぜってミスれば死んでしまうから。 その姿勢が俺には衝撃だった。ここに書きたくないくらい、その衝撃というか感動を自分だけのものにしたかった。 この番組はすごい。 毎週観よう。 そう思った。 しかしその次の週も、次の次の週も、観るのが遅れた。月曜の午後八時からの約一時間なのだが、大体八時半くらいに気づく。

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          酒井順子『負け犬の遠吠え』感想

          負け犬とは、 「未婚、三十代以上、子無しの女性」のことを言うらしい。 かなり前に書かれた本なので、負け犬しかり、わりとキツめの言葉が使われている。 男性の負け犬は、オス負け犬、らしい。 読んでいて思ったのは、というかこの本に限らずなのだが、女性は負け犬でも友達がいる。負け犬は負け犬同士で集まって、たとえば自分たちの負け犬具合についてそこそこぶっちゃけて話したりしているのだ。 男性はどうだろう。たとえば俺なんかはそもそも定期的に会う友達はいないのだが、会ったとしても「俺

          酒井順子『負け犬の遠吠え』感想