6月が過ぎ2021年の半分が終わったので、おもしろかった映画を振り返る。映画館でみた作品数は33本でした。1週間に1本ぐらいのペースですね。その中から特におもしろかった10本を絞ってみる。なお掲載順はおもしろかった順ではない。またあらすじや詳しくはFilmarksのレビュー参照。

あのこは貴族

岨手由貴子監督作品。実はこの作品が一番心に残ってるし、長いレビューを書こうと思ってる。シスターフッド作品とされるが、その視点からではなく階級と身体的な振る舞いで述べようと構想している。そのために社会学者のピエール・ブルデューの理論を援用したいと考えているのだが、ブルデューの言っているハビトゥスって結局何？と思い、調べているうちに時だけが去っている次第である。
それはさておき、どうしても生まれ育った階級から自由にはなれない。違った階級の人々とは簡単に手を取り合うことはできない。けれど自分の縛られているものをみつめれば地に足のついた自由を獲得できるし、他者を理解し手を取り合うことも可能になる。そんなことをこの作品で感じました。
門脇麦さん、水原希子さん、高良健吾さん、石橋静河さんが出演していることも必見の理由です。

花束みたいな恋をした

坂本裕二脚本の作品。みにいった「時」がよかった。その後も坂本裕二脚本のテレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」は毎週かかさずみたし、2021年上半期の自分を語る上で大事な作品である。

街の上で

今泉力哉監督作品。おもしろすぎて3回みてしまった。だけどなんでおもしろいのか、うまく言語化できない。それがおもしろいんだよな。映画に流れる時間、広がる空間、展開する人間関係を感じる作品なんだと思う。

くれなずめ

松居大悟監督作品。今泉力哉監督と仲良しで、インスタライブがかなりおもしろかった。
物語においては、過去の書き換え可能性やハイデガーの時間概念がぱっと浮かんだ。
「他者を思い起こす」とはどういうことか示唆に富んだ作品である。

まともじゃないのは君も一緒

清原果那さんがとにかくすごかった。
典型的なラブストーリーが王道の筋道で進むのがとても好感持てる。
好きだから好きというトートロジーを受け入れろ。

すばらしき世界

役所広司の演技が圧巻でしたね。
生活保護受給者がパチンコに行くことや再犯を重ねてしまう人などを簡単にバッシングする人にみてほしい。なぜこぼれてしまうのかよくわかる。
そんな学びのためでなくても、物語がおもしろいので必見の作品である。

ノマドランド

アカデミー賞受賞作品。まず感じたことは学問の最先端（と私は思っている）を映画で表現したためアカデミー賞を取ったのかなと。社会学ではマイノリティ当事者の語りをきく研究が盛んであり（と私は思っている）、この作品でも実際のノマドが出演し語りが登場する。他にも美しい映像表現や演出などアカデミー賞を受賞するに足る理由が十分にあることは言うまでもないが。
ただ資本主義経済とそこからこぼれるノマドの描き方には若干不満。Amazonではキャンピングカーで生活し（つまりハウスレス）有期雇用で働くことが制度化、正当化されている。個人的には家を持たずに働かざるを得ない状況は過酷であると考えるが、描き方としてAmazonのあり方はスルーするし、そうやって働くノマドも自由だからいいんだという感じである。
ノマドを悲惨で哀れな人として描くだけなのは違うと思うけど、なんかなー。監督のクロエ・ジャオさんが優しいんだよね。
総じて1980年代生まれの監督は他者を理解することを優しいまなざしで描くのが特徴（というか自分がこういう作品を好んでみているだけではあるが）だが、それをどう乗り越えるのか自分自身にとって課題である。

アリ地獄天国

就活中にみるものではなかったな。以前からSDGsはきらい、というかSDGsを記号的に消費して、理念を骨抜きにしたり、人権を侵害したり、環境破壊をしたり、過去を反省しない団体や人がきらい。それに拍車をかけた作品である。

JUNK  HEAD

堀貴秀監督作品。監督の創作にかける情熱に圧巻。次回作に期待です。
こんなことしかFilmarksのレビューでもいってない。。。

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

ちゃんと終わったなという印象。まだ消化できてない感が否めない。

まとめ

こうやって思い返すとおもしろい邦画がたくさんあった上半期でした。特に『あのこは貴族』『街の上で』『花束みたいな恋をした』『すばらしき世界』『まともじゃないのは君も一緒』は一生の中でおもしろかった作品と言える気がします。また『トゥルーノース』『アメリカン・ユートピア』『ファーザー』『猿楽町で会いましょう』『海辺の彼女たち』『映画大好きポンポさん』などまだみれてない話題作があるのではやくみたいな～。