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マリーゴールドはプリンの瓶で泳ぐ

「かぁちゃんにあげる!」

小さいクリームパンのような手に握られたビニール袋から、少しぐったりしたマリーゴールドが出てきた。息子が保育園のお散歩の時に「かぁちゃんに見せる」と言って、保育士さんと一緒に摘んできたそうだ。

ボク、とってもいいことをしているでしょう?かぁちゃん大喜びでしょう?みたいな淀みのないキラキラした目は私には眩しかった。私は世のお母さんみたいな、保育士さんみたいな、分かりやすいリアクションができずにいる。

茎がないので花瓶に挿すことはできず、浮き花にしようと思う。でも、うちにはあいにく洒落た皿がないので、ちょうど食べたばかりのプリンの瓶に薄く水を張って入れた。雑な感じで実に申し訳ない。

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「かわいい〜おみずをごくごくのんでいるの!」
息子には好評だったのでよしとする。

いつの間に、息子は『花を贈る』という概念を覚えてきたのだろう。仲の良いとうちゃんには花をあげず、女の人に花が喜ばれると思っているのは、アンパンマンとかその辺の影響だろうか。知らないうちに何かを覚えて、いつの間にか成長していた。

マリーゴールドは思いかけずとってきた縁日の金魚のように、ありあわせの瓶に泳がせられた。お祭りに行けない2021年の夏の終わり、過ぎた時間の早さに目眩がした。


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