~天才がゆえの孤独~映画「マックイーン:モードの反逆児」

天才って…天才って……大変……。神様から「ギフト」をもらうのもラクじゃない。

アレキサンダー・マックイーンが活躍していたのが1992年~2010年あたり。2010年2月11日、自宅で自死していたのが発見されたというニュースに驚いたことを今でも覚えている。

現在のように各ブランドが新作を自身のサイトでアップしたり、インスタでライブをやってくれるような時代ではなかった90年代。テレビ東京で放映されていた「ファッション通信」(解説を担当していた大内順子さんの凛とした語り口と、大きなサンブラス&ボブカットがエレガントで素敵でしたね)や「VOGUE」「エル・ジャポン」「流行通信」などのファッション雑誌で情報を集めるほかない時代でした。雑誌は一冊ゆうに1000円を超えるため、無尽蔵に雑誌を買えるわけでもなく、目を皿のようにして立ち読んだものです。悲しい、悲しい、不便だけど楽しい昭和&平成時代のお話ですね(苦笑)

そんな90年代に活躍していたのがアレキサンダー・マックイーン。ロンドンの労働者階級に生まれたリー(愛称)は、子供の頃からファッションに強く興味があり、そこらじゅうに服のデッサンを描いているような幼少期を送っていた。高校を卒業後、テーラーでのアシスタントを経てフランスに渡り、自力でロメオ・ジリに入り、再びロンドンに戻ってセントマーチンズへ入学。卒業制作がVOGUEのエディターであるイザベラ・ブロウの目にとまってデビューとなった、というのがデビューまでの道のりです。

デザイナーとして1本立ちをしていく時期のリー氏はとっても楽しそう。服を作るのが楽しくて楽しくてしょうがなくて、まるで遊びを止められないやんちゃな子供のよう。まさに神様から「才能というギフト」を与えらた人物だということがよく伝わってくる。「水を得た魚」という表現がピッタリ。

その後はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでロンドンコレクションからフランスのジバンシィのヘッドデザイナー(イギリス人のしかも労働者階級の若者がフランスの老舗メゾンを若くして率いるなんてことなんてあり得ないことであったそうです)に就任。自身の名前を冠したブランド「アレキサンダー・マックイーン」も成功に導いていく。

ブランドのコレクションは年に2回(春夏・秋冬)があり、プレタポルテとオートクチュールがあるので、一つのブランドで年に合計4回のコレクションがある。そこに自分のブランドも――となると合計8回!?それを毎年毎年繰り返していかなければならない。スケジュール管理だけでもオー・マイ・ゴッド!と言いたくなりますね。

さらに超老舗ジバンシィクラスになるとバイヤー・エディター・消費者などなど、かなり厳しい審美にかけられることになる。なぜなら、莫大な金額が動いており、また歴史の重みや各メゾンのプライドなど、強烈なプレッシャーがのしかかってくることは素人でも想像できる。

寝食を忘れるというか削って自らの全身全霊をかけて挑んだとしても、「才能」がない人には乗り越えることはできないし、ましてや人の心を打つ作品ができるはずもない。しかも1着、目ん玉が飛び出るほどの金額を支払っても買いたい着たい!と思わせるほどの洋服なんて才能がない人には作ることができない。

マックイーンが作る洋服はどれも神がかっているように思う。凡人の頭では想像できないデザインが多く、既存の概念を打ち砕かれる感じがする。ただ単純に奇抜なのではなく、どれも目を奪われるほどの美しさ。生で見てみたいし、できれば触ってみたい。こんな衣装を着たら人生変わりそう。

富と名声を手にしていくリー。そうなると、そこに群がり甘い汁を吸おうとする人たちがやってくる。これはもはや宿命なんだろうな。そんな人たちと対峙していくうちに疑心暗鬼になり心が荒み、さらにはスケジュールなどにも忙殺され薬物に手を染めていくリー(他にもいろんなことが重なったんだだろうけど)。そして、最悪の結末をむかえてしまうのです。

NHK「100分で名著」の自省録を見ていて、これだ!と思ったのですが、時間が経ったので忘れてしまったのでNHKの公式サイトより抜粋してきました(*´ω`*)

マルクス・アウレリウスは「人間はいかに生きるべきか」を生涯考え抜いた。富や名声といった自分の外部にあるものにのみに心を動かされると、人間は運命に翻弄され心の動揺を招くという。そうではなく「自分の内を見よ。内にこそ善の泉がある」と説く。自然を貫く理法(ロゴス)に照らして、絶えざる自己点検と内省を通じた自分の立て直しをはかっていくこと。外側にではなく内側にこそ価値があり、それを高めていくことこそが真の幸福であるという。そして真の幸福をつかんだときに、人間は全くぶれることがなくなる。

ほぅほぅ、という感じですね。自分の内が見られれば、いろんなことを乗り越えられるんでしょうが、それが本当に難しい。哲学を学んだ皇帝アウレリウスでさえも自省録として書いているくらいなので、なかなかできないのですよ(;;)

でもって一番言いたいことは「ファッションって本当に楽しい」ということ。吉本ばななさんがnoteのエッセイで「洋服は自分の皮膚の一部」というようなことが書いてあって、首がもげるほどうなずいたわ。お洋服を買うの止められない〜〜。この休みの間にも買ってしまったわ。韓国のブランドREJINA PYOのピンクのパンツとそしてインポートの赤いシャツ。ファミリーセールで格安になってたからね。。来月の支払いが怖すぎる。と言いつつ、LOKITHOの2019年SSが可愛すぎて可愛すぎて…欲しいわ―。MAMEもAKIRA NAKAも欲しいー。どれも高いっ。今も昔も私の悩みは変わらない。本当に欲しい服は高い!!!以上。

#映画 #コラム #感想 #アレキサンダーマックイーン #016

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