見出し画像

神戸の冬のまち、押部谷!寒いからこその美味しさと、それを支える肥料づくり。

初めまして。
岩手県盛岡市出身、佐々木純と申します。

神戸にて『農家さんの語り部』としてお野菜を扱っています。

神戸で生まれたのではないですが、
出会った農家さんと畑、そしてそこに流れる空気と時間が大好きで、
大学からずっとこの神戸で過ごしています。

そんな僕が、「八百屋を通して好きになった、神戸のかたち」として、
観光ではまず行かない、神戸市民でも用事がなければ行かない、神戸市西区の畑とお野菜と農家さんについて、綴っていきたいと思います。

プロフィール 佐々木純
『農家さんと食べ手の距離を、もっと近くに。』
そんなことを思い始めたのは24歳の頃。
貯金20万円で新卒の会社を辞めて、個人事業主として別の八百屋でバイトしながらお野菜販売を始めた2017年。
それから5年、元々は縁もゆかりもなかったこの神戸の土地で『農家さんの語り部』としてお野菜販売、お野菜付きシェアハウス(closedしました)、オンライン食卓などを運営する(株)mocchiをやっています。

1. 1年中、果物が獲れる!?食材豊かな地域「神戸市西区押部谷(おしべだに)」

桃、甘夏、ぶどう、梨、柿などなど。
様々な果物が入れ替わり立ち替わりで美味しく実り、年間を通して果物に出会える、とても珍しい地域が神戸市の西区にあります。
それが、押部谷(おしべだに)

画像1

電車だと三宮駅からおよそ1時間弱、車だと40分で、押部谷駅に到着します。


たくさんの果樹園が集まって団地のようになっているのですが、その広さは甲子園球場の20倍 (!!)、西日本でも最大級の果樹団地が神戸の中心・三宮(さんのみや)から車で数十分の近さにあるんですよね。

栽培専用の果樹団地のため一般公開はしていないのですが、直売所にて果物達は購入できるところがあります。

果物は、鮮度が味わいに直結します。
だからこそ、押部谷には「こんなにみずみずしくて、香りと味が濃厚なのか。。。」と驚く体験が、当たり前にある果物大国なんです。

(特に梨は名産地として知られているのですが、直売所だからこそ食べられる完熟した梨を食べた時に衝撃を受けました・・・。)

2. 谷あいの地形を活かした、〇〇が最高にうまい。

そして、ここ押部谷の美味しいものは果物だけではないんです。

地名の通り、谷あいの地形。
朝晩の気温が低く、昼夜の寒暖差が大きくなります。

お野菜全般に言えることなのですが、昼夜の寒暖差が大きいと濃厚なお野菜が育ちやすくなります。
その構造を簡単にまとめると、、、

昼の気温が高い
 ⇨光合成が活発に行われる(高温すぎると逆に効率が落ちるのですが)
 =お野菜の中で生み出される栄養=糖分が多くなる

夜の気温が低い
 ⇨呼吸活動が抑えられる
 =消費される栄養=糖分が少なくなる

ということなんですよね。

つまり、地の利として押部谷では本来の味わいが強い、濃厚なお野菜ができやすいということもできるわけです。

そんな押部谷のお野菜の中で、
僕がダントツで好きなお野菜、それがナスです。

『水分と肥料が大好きなお野菜』
と言われるのがナスなのですが、押部谷の土質は多くが粘土質
つまり、保水性が高いということでナスの栽培に適した要因があるんですね。

こんなところで育ったナス、食べてみたくなりませんか?

3. ナスが大好きになったきっかけは、押部谷の『山﨑さん』。


そんな押部谷のナス。
作っていらっしゃる農家さんは沢山おられるのですが、中でも山﨑さんのナスが僕は好きなんです・・・。


今年は、冷夏、長雨/大雨に見舞われた神戸。

山﨑さんのナスも打撃を受けてしまったのですが、
いつも『手に触れるだけで、絶対に美味しいとわかる』、そんなナスを作られるんです。

がくの際まで色づき、
手に取った時に手のひらにグンっとかかる重さ、
そっと表面を撫でるだけでわかるほどパツパツに張った果肉。

もちろん、味わいも印象に違わず
生で食べればまるでリンゴのような食感・水分量・甘味。
火を通せば、濃密に詰まった果肉がねっとりと舌に広がり、飲み込むことを躊躇ってしまう。

記憶に残る、そんなナスなんですよね!
なぜ、そんな美味しいナスが山﨑さんにできるのか、
その秘密は「肥料」にあります。

4. リンゴのような食感・水分量・甘味。絶品ナスの肥料づくりとは?


そんな山﨑さんのなす。
その肥料作りを行わせてもらったのは冬の頃。

この肥料の配合は、内緒なのよ〜〜

と笑いながらお話する山﨑さんのもと、畑に触れてみたいという方々と肥料作りをスタート。

画像2

数に限りあるスコップと鍬(くわ)。
みんな仲良く交代交代で、肥料を混ぜ合わせていくのですが、これが大変なのに楽しいんですよね!
体全体を使って掘り起こす感じ、まさに童心にかえります・・!

『僕らが食べるお野菜、そのお野菜たちが”食べる”肥料を僕たちが作る』

この肥料を使って育つお野菜たちに自然と愛着が湧きそうな、そんな感覚でしたね。

ナスに与える肥料もご自身で独自で配合し、支柱作りの速さと美しさはもう見惚れてしまうほど・・・。
もちろん、この美味しさの要因を一つに絞ることなんてできないわけで。

画像4


また来年、このなすたちに出会えることを楽しみに、今年の冬を乗り切っていきたいな〜なんて思うのでした。

そんな山﨑さんのインスタはこちら
僕たちと一緒に、畑の様子を、見守っていきましょう。

画像4


では、また次回。

この記事は、こちらのマガジンに掲載されています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?