人には、春夏秋冬以外に「○○の季節」「〇〇の時期」というような、その人の中に季節があると思う。

それは、「花見の時期」や「食欲の秋」のようにポピュラーなものもあれば、「山菜の時期」や「確定申告の時期」のように特定の条件を満たす人の間でいわれるものもあって、きっと数えきれない。
例えば、私には今まで「イチゴスイーツの時期」「かぼちゃスイーツの時期」があった。

今回新しい季節が増えた。それは、「新じゃがの季節」。

昨年秋から始めた家庭菜園。
まだ季節を一周していないので、季節が変わるたびに新しい発見だらけ。

3月上旬、はじめてのじゃがいもを植えた。
イモ類は初めて。植えてからしばらく芽が出なくて、心配したけれど、次第に土が盛り上がり、元気な芽を出してくれた。
4月には、大きくなりすぎて倒れてしまうくらいだったので、紐で囲ってあげていた。ほかの人の畑のじゃがいもはお利口に自力で立っているけど、うちの子は大きくて太くて自分で立てなかった。
心配を抱えながら、ついに5月下旬。収穫の時期がやってきた。
じゃがいもは腐ってしまうので、梅雨前に取らないといけないらしい。
本当は茎が枯れたら収穫だけど、梅雨が来てしまいそうなので、早めに収穫した。

二時間前まで茎に生えて生きていたじゃがいも。
それは、スーパーで売っている新じゃがとは、全く別物だった。
包丁を入れるとシャリっと音が鳴る。今まで感じたことがないくらいの、生きてるものを切ったんだと実感する手応え。
まずは、半分に切ったものを油で揚げて塩コショウで食べた。
揚げている間に部屋いっぱいにじゃがいもの香りが広がった。
じゃがいもの味が濃くてそれだけで食べられる味だった。

一度この味を知ってしまったら、畑のない生活には、もう戻れない。
そう確信した、じゃがいも収穫だった。

気がついたら家庭菜園は、私たちの暮らしになくてはならないものになっていた。直感ではじめた自分を褒めてあげたい。

これから毎年、5月は「新じゃがの季節」になる。

あなたの季節は、どんな季節ですか？