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苦手だった「断捨離」。ガチじゃない断捨離だっていいよね

クリスマスを前に「物欲」と「断捨離」の話。

20代の最初に比べて、物欲がなくなった。特に夫と結婚してからは本当に減った。
ロボット掃除機、食器洗浄乾燥機、ホットプレート、ドルチェグスト、ソーダストリーム。ほとんどの物は家に揃っているから、快適なんだと思う。

それどころか、近いうちに引っ越そうと考えはじめて、身軽に引っ越すために「断捨離」をしたくなった。
正直、私は一生「断捨離」と関わることはないと思っていたのでものすごくびっくりしている。「断捨離」と私の間には、すごくショックだった経験があるから。

その経験は10年前にさかのぼる。
私が17歳になるまで、実家はかなり物が多かった。母はLaura Ashleyが好きで、WEDGWOODが好きで、紅茶とスコーンが好きな人だった。

母は不思議な理論にハマっては大きな金額をつぎ込むタイプだった。習いごと以上宗教未満といったところ。

そんな妄信的な母が出会ったのが、こんまりさん。母がこんまりさんと出会ってから1年で、実家からはほとんどのものがなくなった。冷蔵庫、洗濯機、クーラー、電子レンジ、ダイニング机。
残ったのは3人分の布団と、数えるほどの衣服と調理器具。家にあった物の95%くらいは無くなったんじゃないかと思っている。

捨てられたのは生活必需品だけじゃない。
父にプロポーズされた母が結婚の条件として買ってもらったというローラアシュレイのソファ。
100枚以上あった私の幼い頃の写真。絶対必要じゃないけど、思い出の詰まったものもどんどん捨てられた。
当時すでに両親の関係は破綻していたけど、どんどん家から排除される父と私の物を見るのは、現実を直視するようでつらかった(その両親が離婚してまた再婚したので、もう呆れかえっている)。

17年間、物の多い実家で生きてきた私には受け入れがたいムーブ。それが「断捨離」だった。

こんまりさんに非はない。家族の同意も得ずに9割近いものを捨ててしまう人は少ないだろうから。
だけどなにかを恨まないとどうしようもない時期もあった。

その後、母と兄弟たちは「自分で持てる物だけで引っ越す」というコンセプトで、新しい家に引っ越した。新しい家地価は一億近いらしい。高級住宅街に住んでいるけど、家の中にはほとんど物がない。母は化粧もしないし、髪の毛も少年のよう。ミニマリストの方々は見た目が貧相にならないようにされているから、まだいいと思う。母の暮らしは心底不思議な生活だ。兄弟たちは当時まだ幼かったので、今も洗濯機も冷蔵庫もない家で何事もなく暮らしている。ときどき妹から生臭いにおいがするけれど、本人たちがいいと言っているからいいのだと思う。尊敬する。

今あるのは、思い出の物が全くない、住んだことのない実家。
でもいいんだ。今の私には夫と一緒に暮らす自分の家と家庭があるから。私がマイホームに憧れるのは、この経験も関係あるのかもしれない。

こんな経緯で、私は「断捨離」が苦手になった。

それなのに、断捨離やミニマリストのYouTubeを見てるってどういうこと?!自分でツッコみたい。過去の自分が見たら、卒倒しそう。

だけど今、私は「断捨離」「ミニマリスト」の動画を見てる。
だって、できるだけお金を掛けずに身軽に引っ越したいし、クローゼットにたくさん服があるのに「着る服がない」と毎朝思うから。

もちろん母みたいにするつもりはない。家族の同意は欠かせないし、自分の持ち物だけにするつもり。時短家電だって私の生活の強い味方だ。

「なにおれ【少ないものとお金で楽しく暮らす】」というYouTuberさんの言葉が今の私にしっくりきた。

「人によって大事なものは違うので、まずは何を捨てましょうとは言わない」。

物が多くて片付かない家。
思い出すらも断捨離しまくった実家。
きっと断捨離って、この2択だけじゃないよね。私は間が欲しい。

新婚ハイで色々揃えすぎたのは事実。「断捨離」への苦手意識で物を捨てるのがちょっと苦手。
でも、今より片付く家にしたいし、好きだと思えるものを手元に置きたいし、お金も貯めたい。

この上なく苦手なものだったけど、あの頃より私はずっと元気だし自分の足で立てる強さもある。今だから、母とはちがう「断捨離」ライフを送れるのかも。

あの頃の私が、ふわっと成仏していった気がした。

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