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月を見てもひとり

人と会ったり、色々と用事を済ませて、買いたい服も見つからず、ちょっと疲れた週末。ごはん作るのが面倒で、お弁当買って帰るのもわびしく、あったかいものが食べたくて、軽く寄り道して帰ることにした。つばめグリルの前を通って、そうだ、ハンバーグ食べたい!と猛烈に思って、でも家族連れが何組も並んでいるから、違う駅ビルの別のハンバーグ屋さんに向かった。わりと入りやすいイメージがあったのだ。
お目当ての店は、前にベビーカー連れの女の人がひとり待っているだけで、すぐに入れそうなので、並ぶことにした。ら、すぐに私の後ろに四人組の学生さんたちや家族連れが続々と。行列はにぎやかで、席はなかなかあかず、ずっとひとりで並んで椅子に座り待つ。前の女の人のところには、後から男の子とパパがやってきた。そのうちに、変な心理状態になってくる。店から出てくる人の中で、同じようなひとり客はいないか、と探すような気持ちになってくるのだ。地味めの女の人…でも後ろから中学生ぐらいの子がついてくる。おじさんがひとり出てきた。仲間、と思いきや、女の子と奥さんが後からまとわりつくようにやってきて、キャッシャーの前で、楽しげに話している。見事に私だけなのだ。
完全にひとりなのは。
だんだん悲しくなってくる。自分だけが取り残されたような、ちょっとみじめな気持ち。
たまの休みにごはんぐらい気楽に食べたい。大人のひとりものが、週末、心安らかにハンバーグを食べられるのは、ファミレスだけなのか…。ささやかな願いが踏みにじられるような心持ちになり、ちゃんと税金払ってるのに〜!と、思わず社会派になりそうになったときに席があき、ようやく私は落ち着いてテーブルについた。
結論、それでもハンバーグはおいしかった。
なんとなく、隣のカップル?と思いきやアイドルの追っかけ仲間同士の話に聞き耳をたてているうちに面白くなってきたし、まわりの楽しげな空気もふんわり私を包んで、もう寂しくは、たぶんない。
それは強がりかもしれないけれど。
私は好きなように振る舞う自由を持っていて、それを大切にしている。
わがままと引き換えの孤独は、ときどき、苦いけれど、それはそれでひとつの風味なんだと思う。 #結婚 #コラム #生活

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