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黄金道路 #7

 私は小さい頃、よくドンドン岩に行っていた。白浜(フンコツ)の自宅からすぐ近くの岩場であった。
 格好の釣り場でもある。
 あのドーンという音を聞いていると、海の底からの地球の叫びに聞こえた。そして、漠然ばくぜんとした不安を抱いたものである。

 そのドンドン岩の手前の小さな水たまりに、トッカリ(アザラシ)の子がはまり込んでもがいていた。
 その子を私は、棒きれで打ち据えてしまった。
 その結果、トッカリの子は死んでしまった。
 当時私の年齢は五歳ごろだっただろうか。貧しい生活だった。少しでも生活の足しにしたい.…、という思いに駆られていたのかもしれない。
 いまでも、そのことを思い出すと、罪の意識とやるせない気持ちで、悲しくなってしまう。

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