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「すずめの戸締まり」を、観れないけど、観て欲しいワケ

田中慶子さんのVoicyで映画「すずめの戸締まり」のお話しがありました。

私自身、この映画は観れません。
でも、子どもたちには観て欲しいなぁ、と思っています。

今日はそれについて、詳しく書いてみようと思います。

こちらは、あくまでも私個人の体験と意見です。「そういう人もいるんだな」と思っていただけたら嬉しいです。

あと、震災当時の事を書きますので、何かトラウマ等を抱えている方はスルーして頂きたいです。

新海誠監督の映画「すずめの戸締まり」

こちら、ご覧になった方、たくさんいらっしゃると思います。
私は、たぶん、あと10年くらいは観れないと思います。
「震災を連想させる表現がある」という事をレビューで知ったからです

この「すずめの戸締り」。
CMを観て、子ども達と一緒に「観たいねぇ。観に行きたいねぇ」と話していました。
何も知らず、どんな映画かなぁと思ってレビューを読んで、「あ、これは観れないやつだ」と思いました。
震災にトラウマがあるからです。

震災当時の私

当時の私は、娘を出産したばかりでした。娘は生後2ヶ月。ベッドに寝て、ふにゃふにゃと手を動かしている娘を見ていたら、あの地震がきました。

私は被災地からかなりの距離のところに住んでいます。
実際に被災していませんし、安全なところです。それでもかなり揺れました。立っていられなかったです。

とっさに娘を抱きかかえて、揺れがおさまるのを待って、テレビから流れるいろんな状況を見ていました。

刻々と状況が変わって行き、見ているものが信じられず、恐怖でしかなかったです。

いろんな恐怖が押し寄せましたが、一番怖かったのは津波でした。
家から比較的近くに海も川もあります。テレビで、日本列島の絵が真っ赤なラインで囲まれていました。どの地域にも津波が来る可能性があることを示していました。
「日本は島国なんだな」と、どこか変に冷静な自分もいて、その日本列島の映像は今でも良く覚えています。

知人が誰もいないという孤立感

「もしかしたら、ここにも津波が来るのかもしれない」
「どこに逃げれば助かるのだろう」
「どこに、誰に頼れば良いのだろう」

いろんな事をいっぺんに考えました。
移住してきたばかりの私には、地理もほとんど分かりませんでした。知り合いはゼロ。夫と親戚以外に話す人がいませんでした。買い物の時にレジの人とちょっと言葉を交わす程度。
どこに何があるかもよく知らないし、友達もまだいませんでした。

あの時、家には娘と私二人きりで。
産後、夫の実家でお世話になっていましたが、皆外出していました。
生後2ヶ月の娘と私の二人きり。

あの時、私は娘と二人だったけど、独りでした。凄く孤独でした。ただ娘を抱っこしてテレビを見ていることしかできませんでした。動く事が全くできませんでした。
あの時の気持ちをどう表現していいのか、今でも分かりません。

このまま、娘と二人で死んでしまうのではないか。
そこまで考えました。とにかく、孤独で、怖かった。

実際に被災したわけではないけれど

震災当時の映像を見ると、あの時の事が蘇ります。年月が経ってだいぶマシになりましたが、完全に無くなった訳ではありません。

私ですらそんな状況だったのだから、被災された方々の恐怖はどれだけ大きかったのだろうと思います。

それでも、子ども達に観て欲しい

ちょっと前に「fukushima50」という映画がテレビで放送されました。震災の原発事故の映画です。
映画を観るのが好きな息子がこれを録画していて、その週末の昼間から観ていましたね。

「ママ!見て見て!!津波が来る!!」と息子に腕を引っ張られましたが、全く観れませんでした。
「お母さん、怖くて見れない。ホントに怖い。ごめんね。台所にいるね」
と言って、その場から逃げました。

動悸がして、音も聞くのも本当に無理で、その場に居ることは出来ませんでした。

見終わったあと、息子が
「怖かったけど、あの所長さん、凄かった…」
と感想を言ってたんです。

それを見て、
「あ、私はこの映画、絶対観れないけど、子ども達は観て、ちゃんといろいろ感じてるんだなぁ」
と思ったんですね。

息子は震災の翌年に生まれています。
「何にも知らないんだな」と思いました。

怖い思いをせずに済んで良かった、と思うと同時に
私のようにトラウマを抱えている人がいる出来事だという事や、
自然災害の怖さというものを
どうやって伝えていったらいいのかな、と思いました。

子ども達が、いつの日か大きな災害に巻き込まれてしまったら(絶対イヤだけど)
もし、その時が来たら、私は絶対生き延びてほしい。

でも、私じゃ、まだちょっと怖くて、上手く教えてあげられないんです。

子ども達に何かを教えるのは私じゃなくてもいい

私じゃ上手く伝えられない事も、
子ども達が興味を持って、気負わずに学べる方法がたくさんあるはずで。

今回の「すずめの戸締まり」も、子ども達が震災の事を知るためには、とてもいい作品だと思いました。

新海誠監督の映画は、音楽や映像もキレイだし「素晴らしかった」というレビューがたくさんあって、映画が観れない私にはとても参考になりました。

「子ども達が観たら、何か感じるかもしれないな」と思っています。

映画館に連れていけないので、観るのはちょっと先になると思いますが、観て、何か感じてほしいです。

あの時、何があって、どんな人たちがいたのか。
急に日常を奪われるってどういうことなのか。

絶対に、子ども達には体験してほしくない。
でも、知らないままで、人の痛みが想像できない大人にはなって欲しくない。

私は上手く教えてあげられない。
だから、この映画を観て欲しい。

私はそう思います。


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