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【詩】歩行者Aの物語

物語の主人公になりたかった
舞台の真ん中に 仁王立ち
スポットライトは 君の心

物語の悪役になりたかった
舞台の真ん中に 一人ぼっち
袖の暗闇は 君の心

ぼくは何者でもない
ぼくは何者でもない
ぼくは何者でもない

きれいな台詞も
くるしい台詞も
口はないから

ながれ星より不鮮明に
はしからはしへ 消えてゆく
それが ぼく

戦う主人公を
倒れる悪役を
うしろ姿の逆行を みていた

物語の誰になりたかったの
頭悪い 情熱のない ぼくには
明るく 現実のない 長台詞は
似合わなかった
言えなかった
物語を傍観する 観客になりたかった

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