「いっすーくるま」です。単車の事故編⑮

そんな時、友人から意見されたのです。
「男と女の間で、親しければ親しいほど、それは、恋人同士になるんじゃないか」
「えっ!・・・・・・」
私は、この友人の言葉に、高校1年の野球部での想いを蘇らせて貰ったのです。確か、自分は、彼女を見た瞬間に、一目惚れしたはずだった。(親しき男女は、恋人同士なのか)そんな想いを心の中で、何度も、何度も繰り返しました。復学してからの年末年始、私は、地元の友人4人と、車で江の島へ初日の出を見に行こうと計画を立てました。その時、高校からの親しき彼女たち2人も誘いました。計画を煮詰めていくと、車2台で、夜10時に我が家に集合して、さらに、10時30分に待ち合わせの駅に、彼女らを迎えに行き、3人ずつ2台の車に便乗して六本木のスクウェアービル(8階全フロワーが、ディスコ)へ向かい、そこで朝4時まで踊り、4時から車2台で江の島へ向かって、初日の出を拝むという事で決まったのです。当日、新年を迎えたのは、国道246の池尻辺りだったので、車の窓を開けて、街を歩く人たちへ「おめでとう」と叫んで手を振りました。スクウェアービル8階の「ネペンタ」で、「全てを忘れて踊ろうぜー」と踊りまくりました。朝4時、2台の車で、国道246,第3京浜、国道16号を飛ばして、朝6時前に国道134号線脇の駐車場に2台の車が停まったのです。少し仮眠を取った後に鵠沼海岸へ降りて行ったのです。初日の出を拝むため沢山の人達が、海岸を埋め尽くしていました。朝、6時半過ぎ、東の空が赤らみ真っ赤な太陽が、輝き始めたのです。息を抜く瞬間でした。誰も言葉など発しません。太陽の紅が丸い姿を完全に現した瞬間、私たちは、バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ、バンザーイと繰り返して叫んで居りました。すると、周りへとバンザーイが連鎖して鵠沼海岸全体が、バンザーイの連呼と化していました。その後、私たちは、ハンバーグを頬張り空腹を満たして、2台の車に戻って爆睡したのでした。如何せん、全く寝ていないのですから。それから、昼前に起きた私たちは、地元へ向かって車を走らせました。途中、ファミレスで昼食を済ませ、地元へ戻ったのは夕方5時過ぎでした。彼女たちが、自宅へ戻ったあと、私たちも一旦は解散したのですが、夜7時に我が家へ集まり宴会をすることになっていました。私は、例の親しき彼女とこの一時を、本当に楽しく愉快に過ごしてのです。語り合い、言葉を交わし合い、笑い合い、手を叩き合い、バンザーイをし合ったのです。そんな彼女を見詰めているうちに、心の根底から4年前、高校1年の野球部で、初めて出会った瞬間の想いが、込み上げて来たのでした。
(やっぱり、俺は、彼女が好きだったんだ)
新年の仕事始めで、両親と姉が出勤する4日に、彼女へ連絡して勝負しようと、もう、心は、決まって居りました。正月は、例年、親戚や友人、知人が、我が家に集まり昼・夜と宴会が続きます。さらに、百人一首大会で、大いに盛り上がるのでした。飲み疲れが残る中、両親と姉は、仕事始めで出勤して行きました。家に一人残った私は、彼女の所へ何時に電話しようか考えていました。午前中では、(彼女もゆっくりして居たいだろう)、(午後からにしようかな)などなど、いつもの自分らしくなく相手に気を使って緊張していたのです。何故か?親しくなり過ぎてからの4年振りの告白だったからです。午前中、少し勢いを付けるためウイスキーを口にしたのです。午後1時、私は、彼女の自宅へダイヤルを回しました。電話に出たのは、彼女でした。
「この前は、メッチャ楽しかった。ありがとう」
「本当に楽しかったね。こちらこそ、ありがとうでした」
こんな会話から始まり、年末年始のあの楽しかった思い出話に花が咲いたのです。暫くすると、「酔ってるでしょ」との彼女の言葉。「ああ、ちょっとね。実は、これから言うことには、勇気が居るので酒の力を借りちゃった」
「えっ!何を言おうとしているの?」
「俺たち高校1年の野球部で出会ったよね。それから、何でも遠慮なく語れる男女の親しき友人になったよね。それぞれが別な人と恋愛もした。あれから4年が過ぎて、今、やっと気が付いたんだ。君が、ずっと好きだったことを。4年振りの告白です。恋人になってください」
「もう、遅いよ。だって、今、私、彼氏が居るもん」
「そうだよな。でも、良いんだ。別れるまで待ってるよ」
「ええっ!そう言われても、どうすればいいの?」
「別れたら、連絡頂戴ねー」
そう言って、私は、電話を切ってしまったのです。本心を告げて何も思い残す気持ちも無く、スッキリと充実した心で、私は、電話を待つことに決めました。もしかして電話など来ないかもしれません。でも、それでも良いと決めていたのです。今日は、この辺で失礼します。

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