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魔女と過ごした七日間


東野圭吾さんの作品。
帯には「記念すべき著作100作目」と書いてありました。
ラプラスの魔女シリーズ第3弾。

ラプラスの魔女シリーズの主人公、羽原円華も活躍するのですが、今回は中学3年生の月沢陸真が主軸となっていると感じました。
また、視点は陸真と、刑事である脇坂拓郎とが交互に展開され進んでいきます。

陸真のお父さん、月沢克司が殺された事からお話は始まります。克司は元警察官。何故殺されたのか。そして、ある施設で陸真は円華と出会います。更にその施設である母娘と対面します。克司と男女の仲だった永江多貴子と娘照菜。陸真は初めて知ります。そして照菜は陸真の妹になると。陸真のお母さんは6歳の時に亡くなっていて、以後陸真は克司とずっと父子で暮らしていたのに、克司が亡くなってから異母妹とその母親と出会う事になります。
これはまだ前半も前半。
ここまででもびっくり展開。中学3年生と言う多感な年頃。頭の中はぐちゃぐちゃになりそうです。
ですが、陸真はお父さんの死の真相が知りたく、冷静となり母娘と向き合います。
更に円華と共にいよいよ本格的に事件解明へと動き出します。

脇坂刑事も警察ならではの視点で円華と永江母娘と出会います。

陸真の父、克司は何故、誰に殺されたか。



ここで一旦、感想から離れますが、マイナンバーカードやNシステムについて。
マイナンバーカードの導入時は、反対意見などもありましたが、今は随分普及しています。
最近では保険証の代わりになるとかで、通院時にマイナンバーカードを提出する機会が増えました。
また、私はまだやった事はありませんが、コンビニで戸籍謄本や住民票などが交付されます。
今後、運転免許証と紐付けとなったりするとか一本化されるのではとの話もちらほら。
変わってNシステム。自動車ナンバー自動読取装置と言うそうです。用途としては事件に関わった車両を探し出すためと言われています。
今回、この作品に、マイナンバーカードとNシステムの膨大な情報を、どう活用しているかと言う大きな疑問と危惧意識を私たちに問いかけているのではないだろうかと感じました。
私の深読みでしょうか?
そしてAIの活用も。
信用し過ぎていないだろうかと。
更には人間の脳の仕組みは、まだまだ解明されてなく、人間の可能性も沢山あるのだとも問いかけているように感じました。


話は感想に戻ります。
中学3年生の陸真にとって、円華と一緒に過ごした時間は刺激的で本当に「冒険」でした。
お父さんの死の真相を知りたい。
それがどんなに危険であっても。
陸真がとある事情で女装し、名前も「リマ」と名乗る事に。
スカートなのに足を開いちゃう所が、スカートに慣れない男の子ならではとクスッとしました。

事件の真相はぜひ作品を読んで下さい。
ビックリしました。

そして、陸真の親友、宮前純也の存在が良かったです。純也が一緒に居てくれるだけで、陸真はホッと出来たでしょうし、純也の明るさに救われたと思います。そして陸真が少し落ち込み「(おれの)代わりはいくらでもいる」と呟いた事に対し、純也は即座に「陸真の代わりいない」と答えます。その時は戸惑っていた陸真でしたが、その言葉は陸真の支えとなり新しい生活へと向かいます。
ハラハラドキドキで、予想外の結末でしたが、読後感は爽やかでした。

そして、途中で挟んだマイナンバーカードとNシステムとAIの活用ですが、このお話の鍵ともなります。
データにだけ頼るのではなく、人間の能力もまだまだ捨てたものではない。
そんなエールにも感じました。


ここまで読んで下さりありがとうございます。


ここのこかくこ著/東野圭吾「魔女と過ごした七日間」


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