いろんなことを思い出す眠れない夜に。
入院して20日あまり。消灯時刻(21:00)から起床時刻(6:00)まで、ぐっすり眠れた日は1日もない。
眠れない夜、普段は意識に上らないようなことが頭の中を駆けめぐる。
端的に言えば、今回の経験は
「死にかけた」ということだった。
死ななかった。
集中力が短くなってしまったことも、左目が開けにくくなったことも、ひょっとしたら一生のお付き合いなのかもしれない。でもまあぼちぼち生きていく。
生きるペースを落としなさいということなのだろう。ものの見方を変えなさい、今までのやり方、手順を変えなさいということなのだろう。
無理をしたら傷が痛み出すか、頭痛がするのだろう。孫悟空の頭の輪っかみたいに。やれやれ、私は仏様に監視されているようだ。
仏様、仏様…そっか。
仏様になった彼女。まだ来ちゃだめ、見ててあげるからって言われたんだな、きっと。
あー、まだ小娘たちを育てきってないや。
まだやること残ってるじゃないの、おやりなさいよってことか。
あの子は永遠に25歳のまま。
私はもうその倍以上歳を取った。
James Taylor とCarole King。
入院中はよく聴いた。
特に、「Fire and Rain」と「You've got a Friend」はよく聴いた。
友人の喪失に鎮痛な思いを綴る歌と、友情の温かさを教えてくれる歌。
友人を喪失したときの思いは今も変わらない。だからJames Taylorの「Fire and Rain」を聞くと胸に迫るものがある。
彼の「You've got a Friend」を聞くと救われたような気持ちがする。
Carole Kingがどういう思いでこの曲を作ったのかは知らないけれど、私には「Fire and Rain」のアンサーソングのように聞こえてホッとする。私にとってこの2曲は1つの組曲。
「You've got a Friend」を聞くと彼女からのメッセージのように聞こえる。Carole Kingが歌うと特に。
姓が同じだった。名が読み辛いのも同じだった。それだけで親しくなった。大学のあの坂道で会うといつも話した。彼女は歌が上手だった。合唱団にいてコンサートをするときはいつも誘ってくれた。
卒業してもまたどこかで会えると思っていた。
まだ死んじゃいけないんだなと思う。
ぼちぼち生きて行こうと思う。
学生時代に巡り合った言葉がある。
「人間は自分の人生の独自の意味を充実させる責任がある」V.E.フランクル
責任の重さに潰されそうなることもあるけれど、責任は果たしたいと思う。
間もなく入院生活が終わる。
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