京極夏彦著『虚実妖怪百物語 序/破/急』を読み終えて鼻息荒く書きました。

京極夏彦著『虚実妖怪百物語 序/破/急』読んだ。
1388ページ、ついに読み終えた。
結論として、頑張って読むかいはあるぞ!といいたい。
読書に「かい」を求めるのはあまり正しい態度ではないのだが、ひろくおすすめしたいので「かい」はあるといっておく。
 
なにせ厚い。店頭でみたら、ふつうは怯む。
重すぎて、風呂でも寝床でも読みにくく、落とせば割れそうになる厚さ。
ハードカバー版では、序と破と急、それぞれ1冊ずつだったのだ。
なぜ合本にしたのだろうか。
 
ディアゴスティーニが後の巻ほど売れなくなるというアレなのか。
京極氏の他の長編もそうなのだが、この作品も、頭から最後まで読まないと面白くない。
最後まで読んでね♡という合本なのかなあ、とも思うのだが、なんであれ厚すぎて面白いからこれでいいのだ。
 
本編には、水木しげる大先生をはじめとして、アラマタ氏、京極氏ご本人、他あまたのクリエイターが実名で登場する。
 
虚実なので、どれが虚でどこが実なのか、本人を直接存じ上げない読者としては、さっぱりわからないのだか、無責任にゲラゲラ笑って読む、というのが、この作品に対する向き合い方、ということでいいのだ、と思う。
 
なにせ、テーマは「馬鹿さが日本を救う」だからだ。
 
「姑獲鳥の夏」に始まるあのシリーズでは、売れない作家の関口君が、馬鹿の底辺としてぼこぼこになっていたのだが、馬鹿を用意して話を進めていく手法だとしても、ひどいよなあ、扱いが。
 
※ ここから先、ネタバレ含みます。
 
今回は、登場人物全員から最下位の馬鹿に認定されているという設定の「レオ☆若葉」氏が、関口君ポジションなのかな、と思いつつ読んでいたのだが、結局彼が解決のカギになっちゃうんじゃないのこれ!という展開になり、実際かなりかんばって、結局絵巻の中へ。
妖怪好き冥利に尽きる……のだろうか。
彼にはおいしいものを食べさせて労いたいです。
 
終盤は、妖怪ばかりでなく、漫画、アニメ、特撮交えた大乱闘なので、大変楽しいです。
犬で夜叉だったり、うしおで虎だったり、ガメラが火を噴いたり、ラドンが飛んだりします。
でっかいモニタからでっかい貞子も出ます。
 
途中、ちょっとクトゥルー出た。
微妙な出され加減だった。
納得はいくけど、もうちょっと巨大化してほしかった。
 
馬鹿度としては、『どすこい(仮)』と『書楼弔堂』の中間くらい、やや「どすこい」寄りかと思います。

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