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60人のアメリカ人がやってきた①


昨日、60名ものアメリカからのEMBA学生を招き、英語の自社プレゼンを行うという人生でなかなか起こり得ないだろう体験をしたので、記念にその思い出を記録したいと思う。

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きっかけは、アメリカ支社のお問い合わせ窓口に届いた一通のメールだった。


「◇◇大学のEMBA学生達が、日本へのビジネス研修旅行でぜひ御社を訪問したいと申しています。つきましては、アポイント等の調整をお願い出来ますでしょうか。」


という突然の謎依頼が舞い込んだ。

窓口のアメリカ支社の担当者も困ったのであろう、「日本のことはちょっとわからないので、日本に直接聞いてみてください」というやや無茶ぶりな返信と、そのCCにとりあえず私のアドレスを放り込んできたのだった。その大学の所在地も、支社のある都市とは遠くかけ離れた場所にある。


正直なところ、このメールを見て最初に思ったのは、


またかー


という感想。
さほど驚くこともなかった。


なぜなら、私の会社が全世界から注目の人気企業や取材対象の常連だからではなく、会社の名前が平凡過ぎること、そして同名の世界的企業が既に存在しているので、しょっちゅう間違い電話や問い合わせがくるからである。

インドから突然電話がかかってきて「エンジン!ブロークン!リペァアアアアア!」と大声で訴えられるのも、日常茶飯事なのだ。


またEMBAとは、Executive MBA=実務経験15年程度のビジネスキャリアを持つ、社会人経営学修士号の学生達を指す。社会人でバリバリ働きながらさらに経営学を学び、海外研修にまで繰り出すという国際ビジネス専攻の優秀な学生達が、わざわざ東京の住宅街ど真ん中にある我が社からいったい何を学ぼうというのか。


というわけで、今回の問い合わせも完全にその手の間違いだと思い、

「お問い合わせありがとうございます。ですが、私たちはxxxxの製造メーカーです。△△を作っている同名他社ではありません。お間違いではないでしょうか?よく同様の間違いの問い合わせをいただくのですが、今一度宛先のご確認をお願いします。」

と、んも〜おっちょこちょいなんだから!今度からちゃんと調べてよねっの気持ち込めながら、無表情でサクッと返信。


すると、現地は深夜の時間であろうにも関わらず


「いいえ!間違ってなんかいません。私達は本当に、△△をおつくりになっているあなた方のビジネスに興味があるのです!来月に日本に行くので、どうか私達を受け入れ、御社のビジネスについてお話を聞かせてもらえないでしょうか?」


という熱量のこもった即レスが返ってきた。

問い合わせをしてきたのはクリスティンという女性で、大学などの教育機関をクライアントにする国際研修等のコーディネーターらしい。

それがなぜこのTHE☆ニッポンのものづくり中小企業といった感じの小さな会社、そして業界的にもニッチどころではないレベルの会社に突然連絡がきたのだろうか。(※何を作っているかをここで書いてしまうとすぐさま特定出来てしまう。)

時おり、自嘲的にうちは究極のグローバルニッチ企業(=特定のニーズに特化した産業の分野において国際的な展開をしている企業)だよなぁという自負はあったけれど、何がどうしてここに辿り着いたのか。目的は何か。

いやもう、彼らの期待に応えられるかは別として、とりあえず理由が知りたい。


こちらも逆に興味を惹かれてしまったので、一度クリスティンとZoomで詳細を話そうということになった。

…結果として、私はその熱い理由に心を打たれ、60名ものアメリカ人達の前で英語プレゼンを行うことになったのである。



続く

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