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物流マッチングサイトの戦い - 中国ユニコーン列伝4

中国ユニコーン列伝―シェアリングエコノミーの盛衰 の紹介第4弾。これまでの記事はマガジンにまとめてあるので、最初から読みたい方はこちらをご覧ください。

今日の話は宅配物流。荷物を運んでほしい人と、車が空いている人をマッチングさせる物流シェアリングの話。物流版のUberですね。

空のトラックをなくすマッチングサイト

インターネットで荷物を運んでもらうと聞くと、それちゃんと運んでくれるの?と不安になりますが、この事業は意外とまともです。というのも、この仕組で荷物を運ぶのは、普段からトラックで荷物を輸送しているトラックの運転手だからです。

トラックの運転手というのは、「この荷物をAからBまで運んでください。報酬は○円」というような契約で荷物を運んでいます(これは日本でも中国でも同様です)。その結果、Bから戻ってくる時に運ぶ荷物はないのでトラックが空のまま帰ってくる、ということがよくあります。この空のトラックの運転手が、主な運送の担い手なのです。

運転手はたいてい個人事業主なので、空のトラックのまま戻るとガソリン代が丸損になってしまいますが、マーケットプレイスでなにか荷物を引き受ければ、帰りも仕事としてトラックを使うことが出来ます。

そもそもマッチングサイトがない状態でも、荷物の輸送というのは、企業がどこかの会社に依頼すると、その会社が別の会社に依頼し、別の会社は知り合いの運転手に依頼し…というような流れをとっています。物流マッチングサイトは、これの中間を排除して荷主と運転手を直接結びつけるサイトなのです。

既存の物流事業者との戦い

こういう時代の変革をやろうと思うと、どうしても既存の物流事業者との戦いになりがちです。大手ロジスティック事業者は、構内LANからマッチングサイトへのアクセスを遮断する対抗措置を取りました。

これに対して、マッチングサイト側は中国らしい戦いを繰り広げます。数万の代理ドメインを用意して、ブロックしきれなくなるまで取り替え続けたのです。エロサイトかよ。

こうして時間を稼いでいる間に、マッチングサイト貨車幇がシリーズA投資を獲得、他の会社も投資を獲得し始めると、ロジスティック事業者側も次第にマッチングサイトを無視できなくなっていきました。近年では、クラウドソーシング貨物輸送は、ごく当たり前の仕組みとして使われるようになっています。

この記事は

この記事は、中国ユニコーン列伝―シェアリングエコノミーの盛衰 という本の宣伝のために書いてます。

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例えばこの章では、このあと、宅配業務に従事するために必要な許可証がサービスの普及の妨げとなり、政府が姿勢を転換して許可を不要にするまでの戦いや、その後の展開などが書かれています。

ちょっと高い本ですけど、もし興味があれば、ぜひ買って読んでみてください。

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