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5月20日のサウジアラビア皇太子来日の考察


MBS皇太子の来日について

 5月20日にサウジアラビア王国皇太子兼首相ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード殿下(以下MBS皇太子)が来日するという報道がありました。

 5月20日から23日までの期間、サウジアラビア王国皇太子兼首相ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード殿下(H.R.H. Prince Mohammed bin Salman bin Abdulaziz AL-SAUD, Crown Prince and Prime Minister of the Kingdom of Saudi Arabia)が、公賓として訪日します。

(参考)ムハンマド皇太子殿下の訪日歴
 ムハンマド殿下は、皇太子兼首相として今回初めての訪日。前回は、令和元年G20大阪サミットに際し訪日。

外務省HP

MBS皇太子の来日の理由

 なぜ今のタイミングでMBS皇太子が日本に来るのか、何がしたいのか、この辺りを解説したいと思います。
 今回のMBS皇太子来日について、私はインサイダー情報を持っているわけではありません。そのため、最近の国際情勢を踏まえて、あくまで私がどう考えているか解説します。
 なぜMBS皇太子は日本に来るのでしょうか。2022年に来日を中止したということがありましたが、今回はなぜ来ることになったのか、私の見立てではこれも11月に行われるアメリカの大統領選挙でトランプ大統領が誕生するということを見据えた動きだと思っています。

サウジアラビアとアメリカ

 今、国際情勢で起こっていることは、このアメリカの大統領選挙の影響を受けている、世界の指導者はトランプ氏が大統領になった時のことを当然考えて動いているわけです。これまでバイデン政権の間、サウジアラビアはアメリカの足元を見て中国とビジネスをしたり、ブリックスに入ってみたり、中東のアメリカ離れと言われることをしてきたわけです。弱越しのバイデン政権の時はやりたい放題やってきたものの、もしトランプ氏が大統領になったら、「中国と仲良くやるんだったらもう武器は売らないぞ」とか、「アメリカ自前のシェールガスを掘るからもうサウジから原油買わないぞ」とか、トランプ氏だったらやりかねないことを言うでしょう。

 アメリカは今でもサウジアラビアから原油をたくさん輸入しています。サウジアラビアの原油輸出国ランキングで、アメリカは5位にランクしています。トランプ氏が大統領になったらシェールオイルを更に掘ると言っているので、サウジアラビアにとっては脅威でもあります。また、人民元決済など、ドルでの取引を避けるような国には制裁をするとも言っていますので、サウジアラビアとして、このままだと目をつけられるかもしれないと考え、今のうちに関係を改善しておきたいという思惑があるのだろうと思っています。そのためにまず、日本に接近するということを考えている可能性があるでしょう。日本はアメリカの属国と見られているでしょうから、まず日本と仲良くしておこうという考えがあるのではないかと私は思っています。

 アメリカの大統領選挙というのが今、多くの国際情勢に影響を与えているというのは言うまでもありません。例えば、去年はブリックスが新通貨構想を打ち出して非常に注目を集めていましたが、今年に入り言わなくなったと思います。これもトランプ氏が大統領になるかもしれないということで、大統領選挙の結果を見てからでいいよねという風に考えている国も多いのではないかと思っています。

サウジアラビアのビジョン2030と国際情勢

 こうした国際情勢の中でサウジアラビアはビジョン2030をやっています。総額1兆5,000億ドル、日本円で230兆ものプロジェクトですが、このお金を全てサウジアラビアが自前で用意するほどの余裕はないので、他の国から投資をしてもらう必要があります。この国際情勢ですので中国には頼りづらく、アメリカとの関係を考えると、日本に頼むのがやりやすいということになるのだろうと思います。
 今回も、MBS皇太子が来日し、色々なプロジェクトが発表されると思います。

サウジアラビアの情報

 私はサウジアラビアについては厳しいことを言ってきていますが、こうしたプロジェクト全てがダメだとか、そういうことを言っているわけではありません。実際に日本企業でもサウジアラビアでの事業を受注している話もあり、潤っている会社もたくさんあります。例えば、「NEOM(ネオム)」の中の「The LINE(ザ・ライン)」というプロジェクトが厳しいという話をしていますが、「The LINE(ザ・ライン)」というプロジェクトの中でもきちんと利益を上げる事業を運営できる企業もあるでしょう。契約次第というところもあるかと思います。
 私があえて厳しい話をしている理由は、メディアを含めて、サウジアラビアはすごくお金を持っている、素晴らしい事業をしている、という話が多いですが、もう少し正しい情報を伝えたい、という思いがあります。お金を持っているのは持っているのですが、蓄えは減っている、足元ではこの国、資金繰りが結構厳しいと見られています。サウジアラビアと実際にビジネスをしている企業は、分かっているところも多いと思いますが、日本の一般の方は知らない人も多いと思いますので、そのあたりのことを私は発信しています。

 今回のMBS皇太子訪問でどのようなプロジェクトが発表されるのか、情報が出てきましたら、また解説をしたいと思います。

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