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「夏へのトンネル、さよならの出口」SFというよりファンタジー映画

Amazon プライムビデオのウォッチリストに入れたあと、リストにあることも忘れていたが、連休中にコミックアプリで多くの無料試読があり、そのタイトルを見てアニメ化(映画化)されているのを思い出した。 Webでコミックを読み始めると「中途半端なタイムワープ?」が気になり、まず映画版を観ることに。 プライムビデオのリンクはこちら。 映画版では主人公以外の周辺人物の描写が薄く(83分なので仕方がない)、視聴後にコミックを最後まで読んでみた。 全4冊、ひと夏の物語。 原作のラ

『無名』 原題「无名」 / 日本公開日に映画館へ(海外では2023年に公開済)

内容はフィクションだが時代背景は史実に基づいており、第二次世界大戦以前の中国事情を少し知っておかないと、話の筋が見えにくいと思う。 王一博推しのらん💚85号さんが、1年前に配信で観た感想を熱く語っている。 映画の内容は、そちらの記事が詳しい。 雑感 「身内がオンラインでチケットを取ってくれたので一緒に行った」が、映画館へ行くまでのモチベーション。でも観始めると130分が短く感じられた。 雨のシーンが多く雨に降られるが故の人物の仕草、全体的にトーンを落とした映像が、スパ

ARGYLLE(アーガイル)/コメディーに全振りのスパイ映画

ARGYLLEは2024年3月1日公開の映画。 ネットで配信も始まっている(多くが有料)。 Appleが2億ドルで権利を獲得したため、Apple Oneでは無料で観られる。 Appleの資金回収は難しそう。 トレーラー 雑感前回の映画感想文からスパイものが続くが、両作品は全く別モノ。 Red Sparrow(レッド・スパロー)は、原作を元CIA職員が書いておりリアリティさを感じるところもあるが、この映画はエンターテイメント路線。 バトルシーンはダンスシーン。 リアルな

Red Sparrow(レッド・スパロー)/元CIA職員が書いたロシアのハニー・トラップ小説原作の映画

2018年制作の米国映画。 原作はこちら。 (読んでいないけど) 原作者の紹介はこちら。 トレーラー 雑感原作はフィクションだが、ソ連時代のロシアにはスパローの養成学校が実在したらしい。 久しぶりに見応えのある映画を観た気がする。 作品として良かったのは、次の2点。 ・誰が策略を組んでどうなるのか、最後まで観ていないと分からず、気を抜かずに観られたこと(主人公を含め、出演者は何度も嘘をつく)。 ・撮影はロシアではないとのことだが、寒い国を(らしく)映像に収めた景色

Nomadland(ノマドランド) " I’m not homeless. I’m just houseless."

原作は、ジャーナリストのジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション。 ドキュメンタリー風の映画。 映画に登場する実在の有名人は、少しカルトっぽい。 ストーリーがあるわけではないので、トレーラーを観ていただければ、この映画の雰囲気は掴めると思う。 雑感アメリカ北部大陸の広大な景色を映し出した映像は「素晴らしい」の一言。 ただ、そこを棲家とせざるを得ない高齢者たちの現実は厳しい。 コロナ禍の間、米国でAmazonが大量に雇用者を増やすニュースを度々聞いたが、それに応募する

レミニセンス(原題:Reminiscence)/SFではなく偏屈なおじさんが怪しい女に執着する映画

ネタバレになるが、ヒュー・ジャックマンが訳ありの女性に惚れて(騙されて)追いかけた挙句、人生を終わらせる物語。 設定がアバウトで非科学的なストーリー。ファンタジーかと言うと現実的な暴力シーンも多く、どちらか言えばバッドエンド。 いろいろな中途半端さが重なっている映画。 トレーラー 感想見始めてから5〜10分経った頃「これは外れたかな?」と感じたが、思った通りだった。 映画が始まりしばらくしても話が進まないし、映像的に見せ場がある訳でもない。独立系の映画ならそれも有りだが

『ザ・ロストシティ』(The Lost City)豪華キャストによるコメディ冒険モドキな映画

たまには何も考えずに(ツッコミ様が無いくらいな)映画を観るのも、気分転換には良いもの。   扉絵は"https://www.facebook.com/TheLostCityMovie/"から。 Amazon プライム他で観られる。 感想文(を、どう書こう?) というくらい、観たあとに何も残らない映画。 それでも儲けは出たらしい。 豪華キャストが、どんな役を演じたかは上げておきたい。 短い出演のブラッド・ピットはともかく、ダニエル・ラドクリフはハリーポッター役以外で、

TOLKIEN(トールキン 旅のはじまり)/「指輪物語」を書き始めるまでの物語

「ロード・オブ・ザ・リング」が有名で、作者トールキンの名前は知られているが、その生涯はあまり語られていないと思う。 この映画は幼少期から家族を持つまでを、戦場(第一次世界大戦)のシーンを挟みながらドラマ仕立てで描いている。 その後は大学教授・売れっ子作家として順風満帆な人生だったようで、映像的には面白みに欠けるからか『ホビットの冒険』を描き始めるところでこの映画の幕が閉じる。 生い立ちとその一生は、wikiがまとまっている(情報が多い)。 予告映像と主役インタビュー

Killers of the Flower Moon / 先住民居留地の石油鉱業権を手にしようと白人が殺人を重ねる物語(実話に基づく映画)

映画館で観ると途中でおトイレに行きたくなる長さだが、その間の映像を見逃すのは勿体無い。 自宅で配信を観るのが得策だと思う。 感想(少しのネタバレを含む)物語として特別な設定がある訳ではなく(実話に基づく話だから)、映像に目を見張る風景が現れることはなく、ストーリーの進行は決して早くはない。 出演者のセリフや行動で観始めの早い段階から物語の行く末が分かるが、それでも3時間を超える映画を観られたのは何故だろう? 起伏のある筋書きはなく、表と裏の顔を使い分ける街の名士(ロバー

ヴァチカンのエクソシスト The Pope's Exorcist / 実在したエクソシストがモデル / エクソシストを職業にしている人がいるらしい

尺もさほど長くなく、サクサクっと観終わる映画。 でも、そんな職業の人が実在していると聞くと…う〜ん😅 感想(映画とエクソシスト)悪魔を祓うまでの時間がさほど長くなく、飽きずに観られた。 ストーリーは「(映画的に)よくある悪魔祓いの話」で、それ以上でもそれ以下でもない。 低予算(1800万ドル)で製作されたため興行成績的には十分潤い、続編の話もある。 最後のシーンでそれを匂わせるラッセル・クロウのセリフが出てくる。 公開当時(2023年)の評判は芳しくなかったらしい。 「

Terminator: Dark Fate(邦題:ターミネーター:ニュー・フェイト)アナザーストーリーの興行成績は芳しくなかったらしい

コロナ禍直前(2019年11月)に公開された映画。 若い頃にシュワちゃんのターミネーターを観ていれば、当時の主演二人が出ているだけで懐かしく感じられるのかもしれない。 感想ターミネーターは自分の小説の最初の方(013.研修3日目 午後の避難訓練 その2)にも出てきており古のキャラクターだが、オリジナル(?)の映画そのものは延々と続編が続き、追いかけていない。   だからなのか、この映画は新鮮な気持ちで観ることが出来た。 ストーリーもREV-9(液体金属ターミネーター)から逃

Alita: Battle Angel(アリータ: バトル・エンジェル)脚本,製作: ジェームズ・キャメロン/名前に釣られて観たけれど… / 作品論とか

CGは良かった… 原作はこちら(新装版は全12冊 1〜3冊まで Kindle Unlimited) 映画の感想冒頭に書いたとおり、CGは良かったと思う。 ただ、主人公アリータの気持ちの動きや感情の揺れが画面上からは読み取れなかった。   圧倒的な強さが前提なので、どんな敵が向かってきても戦いは無双に終わり、その設定に既視感を感じ「何なのかな?」と思い、思い出した。 異世界系の無双転生。   アリータは失われた数百年前の技術で作られたサイボーグ。 主人公が時代を経て生まれ変

『ラーゲリより愛を込めて』 シベリア抑留実話に基づいた映画/世界は不条理に満ちている(感想文のない映画感想文)

Amazonプライムに来ているのは分かっていたが、実話が元となっていることを知り、観るかどうか迷っていた。 シベリア抑留から帰国した叔父(私の母と年の離れた兄)から子供の頃話を聞き、内容は途切れ途切れだが、今も心に残っている。 その後、叔父一家は個人的な事情で離れた場所へ引っ越し、私が実家を離れていた学生時代に亡くなったと、数年経ってから聞かされた。 映画の配役は、メディアでよく知られている方々 感想noteで『ラーゲリより愛を込めて』を検索するとたくさんの記事が出てく

年初めに「バグダッド・カフェ(Out of Rosenheim)」/大人向けファンタジー

内容を知らない方は、主題歌 “ Calling You ” が有名過ぎて、物悲しい話ではないかと勘違いしそう(MOHがそうだった😅)。 ところどころに、コメディ要素を挟んだTVドラマ的な映画だと思う。 見終わるとハッピーエンディング。 内容は(設定を詰めていない)ファンタジー。 ロケに使われたお店は実在し、映画公開後に店の名前を Bagdad Cafe に変えたらしい。 感想「名作映画」らしいので、note内で検索すると多くの感想が読める。 主人公と女主人との関係、カフ