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『コンビニ人間』村田沙耶香(著) :: 内容はともかく、著者の文筆力に感心する

ずいぶん前に芥川賞を受賞して話題になったが、今まで手に取ることはなかった。
Kindle Unlimited 対象になっていることに気が付き、サラッと読んでみた。(Kindle換算 168頁)

『コンビニ人間』(コンビニにんげん)は、村田沙耶香による日本の小説作品。『文學界』2016年6月号に掲載、文藝春秋より2016年7月27日に刊行された。第155回(2016年)芥川龍之介賞受賞作。

執筆背景

作者は三島由紀夫賞を筆頭とする幾つかの賞を受賞した作家でありながらコンビニエンスストアで週3回働いており、その経験を活かしたコンビニを舞台にした作品である。受賞後の勤務継続については店長と相談すると述べている。

あらすじ
主人公"古倉恵子"は、三十代半ばであるにもかかわらず、正規の就職をせずに大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けていた。
古倉は子供の頃から変わり者で人間関係は希薄、恋愛経験も皆無だったが、「コンビニで出会う人間の真似」をしたり、妹の助言を聞くことで、大学生になってようやく普通の人間らしく振る舞う方法を身につけた。これまで世間一般の人間の規格から外れていた彼女にとって、これは「初めて私が人間として誕生した瞬間」であった。
古倉は私生活のほとんどを「コンビニでの仕事を円滑に行うため」という基準に従って過ごしつつ、なんとか常人を演じ続けてきた。しかし自身の加齢と、それによる新たな世代の人間との干渉が増えたことにより、そのような生き方は徐々に限界に達しつつあった。
そんな時、古倉は元バイト仲間の白羽という男と再会する。白羽は、就労の動機を婚活だとうそぶき、常連の女性客にストーカーまがいの行為を働いて店を解雇された過去を持っている。
再会した白羽の半ば一方的な頼みにより、二人は奇妙な同居生活を始めることになる。周囲の者達はその状況を勝手に「同棲」と解釈し、古倉を囃し立てる。古倉は若干の戸惑いを感じるも、冷静にそんな彼らを観察し、白羽との関係を「便利なもの」と判断する。
やがて古倉は白羽の要求によりコンビニを辞めて就活を始めることになる。しかし、面接に向かう途中でたまたま立ち寄ったコンビニで、自身の経験から図らずも店の窮地を救った彼女は、コンビニ店員こそが自分の唯一の生きる道であることを強く再認識し、就職との天秤にかけていた白羽との関係を解消し、コンビニに復職することを心に誓うのであった。そしてコンビニで働くということに使命を感じるのであった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コンビニ人間


感想

筋を追う小説ではないので、Wikipediaのあらすじを引用した。
物語の内容は、これ以上でもこれ以下でもない。
出てくる場面はコンビニと、主人公が住む古くて狭いアパート。
 
登場人物もコンビニ店員と主人公の妹、学生時代の友人が少し顔を出すくらい。
物語が動き出すきっかけとなる白羽という男は、たくさん喋るが内容の無い希薄な存在として描写されている。
 
今年に入ってからのインタビューを読むと、著者の幸せの「刷り込み」への違和感が著作のキッカケのようにも読み取れる。

そういうところもあるのかも知れないが(ネットの感想に見られる)、小説に現れるシーンの空気感の表し方(特にコンビニ内)が特徴的で、なかなか真似のできる表現(文章)ではないなと感じた。
 
登場人物になんら思うところはない。
人生の演じ方が不器用な人たちの物語。
 
今年発刊された短編集「丸の内魔法少女ミラクリーナ」が気になるところ。

同じ働く魔法少女とは話が違うのだろうな、と思いつつ気になるので読むことになると思う。


MOH

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