男性フェミニストにできること、やるべきこと

突き詰めると、「他の男性に対する啓発」「防波堤」だと思う。

他の男性に対する啓発


女性やマイノリティは男性に比べて弱い立場に置かれており、女性やマイノリティが声を上げても男性は聞く耳を持たなかったり、逆に攻撃してくる場合も多い。
他方で、男性が男性に向けて啓発したり、声を上げるのならば、比較的聞き入れられる可能性が高い。それはすなわち、フェミニズムを通じた社会の変革がよりスピーディーに進む可能性を意味する。
政治家や組織のリーダー、意思決定層の多くを占めるのが男性であるからこそ、男性がフェミニストとして他の男性に啓発する効果は非常に大きいだろう。

また、これは特権を持つ側である男性にとってのノブレス・オブリージュのような側面も持っている。
自らの特権を、差別などの形で非特権側を踏むことで特権をより特権たらしめるのではなく、非特権側たる女性やマイノリティに連帯し、差別に反対し、他の特権側たる男性に啓発することで、特権を「適切に」活かしていると考えることができる。

特権を行使するのではなく特権を活かして還元し、より公平で差別ない世界を目指す。
特権は、特権を持つ側にとっては自動ドアのようなもので気づかないかもしれないが、非特権側はドアが開かないので嫌でも存在を意識せざるを得ない。
その特権を、自動ドアをなくすためにこそ使うべきだと思う。

よく言われることに「部活で先輩から受けてきた体罰やしごきを後輩に受け継ぐ人になるか、自分の代で止めて後輩を尊重して接するようになるか」がある。
私は、後者のようなタイプになりたいし、それが責務だと思う。

そしてこれは、性差別の根源である家父長制の核である「性役割分業」からの脱却でもある。
女性が男性含め皆に啓発する構図は、いわば女性がケアの要員となっているようなものである。そうではなく、男性も男性に対するケアをしていこうじゃないか。
これこそが性役割からの脱却につながり、やがては「男は仕事、女は家事育児」という旧態依然とした性役割分業の撲滅につながるはずだ。

他の男性に対する啓発の具体的な内容は多岐にわたる。私の経験や見聞きした事例、知見などから述べていく。

まずはTwitterで発信すること。経験上、これは女性にとって勇気づけられたり心強さを感じるようだが、一方で男性には十分に行き届かなかったりかえって反発されたりすることも多い。草の根レベルなので効果面では弱い。
ただ、従来フェミニズムに関する事例でアンチ側に徹することが多かったような男性が声を上げることは、決して小さくない意義を持つから、過剰にならない範囲で(少なくとも3日に1回程度)声を上げていくべきだろう。

次に、リアルの場で啓発すること。たとえば団体に属して学校で性教育の授業をするのがこれに該当する。
いまだに「大事なことでも、女性が言っている場合は軽く見る」男性は少なくなく、これがジェンダーやフェミニズムに対する理解の妨げになっている。
男性が言うことで、そうした層にも聞き入れられる可能性が高まる。

女性が言うと「どうせ大げさだろ」「感情的に言ってるだけだろ」と見くびるような層も、男性が言うことで啓発の効果が期待できるかもしれないのだ。
繰り返しにになるが、それだけ男性が啓発することの意味は大きいと思う。

経験上感じるのは、反発の意思が強く粘り強いアンチフェミ層の啓発を試みるより、フェミニズムそのものにあまり関心のないノンポリ層や、「ジェンダーやフェミニズムってなんだろう」と少し興味を持っているような層に向けて発信・啓発した方が効果的で、将来的にも有益ではないのかということ。
味方を増やすことで、味方を多数派にし、将来的には数の論理と世論の変化でアンチフェミ層を転向させる効果があるのではないか、という考えである。彼らは世論に比較的弱いと考えられるため、世論が変化することは大きな意味があるのではないか。

昨年までは、Twitter上での活動に終始し、リアルでの活動を怠ってしまった。今年からは、リアルで積極的に活動し、他の男性への啓発もしっかり行っていく

防波堤

フェミニストは、女性を蔑視する層や、その活動や考え方をよく思わない層から攻撃に晒されることが多い。こうしたとき、彼らの攻撃を食い止める役割が期待される。

先述した内容と一部重複するが、こうした層には特に女性が言うよりも男性が言う方が効果が大きい。彼らも男性から指摘されることは想定外だったりすることもあるようだ。

たとえば女性のフェミニスト自身がその防波堤になろうとしても、多忙で難しかったり、最悪の場合は性暴力の被害に遭う可能性もある。

男性のフェミニストが防波堤になることで、攻撃する者に対して「男がみなアンチフェミだと思うなよ」という強い牽制効果を与えることができ、より効果的である。
先述した内容でもあるが、従来の性役割分業におけるケア役割を女性に押し付けるのではなく、男性自身が率先することで、性役割分業からの脱却も期待できるのだ。

これは昨年までも比較的実行していたし、一部はリアルでも実行していたが、防波堤の役割にばかり終始していても肝心のインプットや(アンチフェミ層でない)他の男性に対する啓発がなおざりになってしまう。
そのため、これは自分や自分が所属する団体および団体に属する個人が攻撃に晒された場合などに限定するなど、ほどほどに留めようと考えている。

私も一人の男性フェミニストとして、2024年はリアルで行動する。ネットだけでは不十分だ。
自分の力を発揮してみせる。


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