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Edgewood Aveは歴史の宝庫

Edgewood Aveでのストリートスナップは、晴天よりも、むしろ曇天や小雨が降るくらいが丁度良いです。

元々ここは南北戦争直後に開発が始まり、成功した裕福な人たちが集まっていた場所でした。しかし、1950年代に裕福な人は郊外に移り住み、人種隔離政策も相まって一気に衰退し危険なエリアになりました。同時に、この地域は公民権運動の指導者になったマーティン・ルーサー・キング牧師の活動拠点の一つになりました。黒人にとって、彼らの権利、つまりCivil Rights Act (公民権法 1964)を掴み取ったアイコニックな場所の一つなのです。

今は再開発が始まり、魅力的な地域として再注目されています。ただ、私は再開発された場所ではなく、再開発が及んでいない場所に魅力を感じています。そこを曇天や小雨が降るくらいの曖昧な天気の中で、あえてフィルムカメラで切り撮ると、1950年代にタイムスリップしたのではないかと錯覚します。当時の厳しくも熱い時代に寄り添う気持ちになるのです。フィルムが持つ独特な粒状感は、時間の感覚を麻痺させる効果があるのではないでしょうか。

鳥は自由の象徴として描かれている。
様々な人物のグラフィティが描かれている。
路面には「BLACK LIVES MATTER」の文字が描かれている。

ジム・クロウ法など人種隔離政策の中で、Barber Shopは黒人が稼ぐ職業として人気でした。その名残で、この地域には今でも沢山のBarber Shopがあります。Barber Shopは、黒人の自立と権利の象徴であり、バリカンは彼らの武器なのでしょう。

上の写真は、黒人女性で初めて億万長者になったMadame CJ Walkerの美容道具。黒人特有の髪質を徹底的に研究し、より美的で魅力的なヘアースタイルを提供しました。それにより、米国の市民社会の一員として強烈にアピールしました。

美容台の上にあえて掲げている「COLORED WOMAN ONLY(有色人種女性専用)」は、人種隔離政策に対するカウンターです。

Madame CJ Walker Boutique MuseumのRicci de Forest氏は、とても気さくな人で、この地域の歴史を丁寧に教えてくれました。このミュージアムの2階は、初めて黒人がオーナーになったラジオ局があり、そこからマーティン・ルーサー・キング牧師は情報発信をしていました。背景にあるレコードは、そのラジオ局で使っていたR&Dを中心とした大量のブラックミュージックです。

ラジオ局にあったマイクで、彼らは権利を勝ち取ったのです。

カメラ:LEICA MP 0.72
フィルム:ILFORD HP5+
レンズ:Summilux-M 50mm f/1.4 ASPH (Black-Chrome Edition)
現像液:Kodak HC-110 希釈率H
停止液:水
定着液:TF-4 ARCHIVAL RAPID FIXER
水洗:水
水滴防止剤:Kodak Photo Flo 200
スキャナー:Plustek OpticFilm 8200i SE
スキャンソフト:SilverFast SE Plus 9 (RAW)
出力:Adobe Lightroom Classic

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