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「合理的配慮」実践事例【後半】

皆様こんにちは。mojoで活動している産業医木村です。

もう来週には2024年なのですね!私が子供の頃はおせち料理の手伝いや大掃除をめちゃくちゃさせられておりました。。
我が子たちにもせめて自分の部屋くらいは掃除をするように命じましたが、3人兄弟で片付けの様子が全く違ってみていて大変おもしろいです。

ADHDと診断を受けている長男に至っては、片付けているのか、さらに散らかしているのか。。。ゴミ屋敷の住人。ADHDの人たちには分類分けやファイリングが超絶苦手なのだと思います。そして、何より、ゴミ屋敷の住人であることで本人が困っていないのが大問題なのだと思います。物がすぐなくなっても、ま、いいやの精神。そのポジテイブな性格が今後彼の人生において、吉と出るのか凶と出るのか。。。幸あれと願うばかりです。

最後の前説が、ゴミだ、凶だとネガティブワードが出てしまいましたが、今年も良い一年になるように残りの日々も徳を積んで参ります。

今日は、前回の投稿でお話しした合理的配慮の事例の続きです。今回は、3つご紹介します。合理的配慮の事例は、たくさん知っておいて損は無いので、ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。


合理的配慮事例3:作業スケジュールの見える化

1日の作業スケジュールの見通しが立たないと不安な人や、「次は何をすればいいですか?」と言い出しにくい人もいるのではないでしょうか。その場合、1日のスケジュールを表にして、見える場所に貼ったりポケットに入れたりしておくとよいでしょう。

  • 当事者Kさんの事例
    量販店に就職が決まったKさんは、先の見通しが立たないと落ち着かなくなってしまう特性があります。また、1つの作業にどれくらい時間をかけてよいかも分かりにくいため、1日のスケジュール表があると安心、ということになりました。そこで、入社前の面談時に作業スケジュール表の共有をお願いしたところ、「すでにスタッフ全員分のスケジュール表を作って運用している」との回答が!30分区切りで、誰がどの業務をするかが一目でわかる表が貼り出されていました。 これなら大丈夫、ということで、Kさんは表を見ながら順調に仕事に取り組んでいます。作業が時間内に終わらなそうなときも、事前にスタッフに相談して対処しているそうです。

  • 「作業スケジュールの見える化」のポイントと注意点
    作業スケジュールの見える化は、1日の見通しを立てるためのものです。もしかすると、予定外の仕事が急に発生する場合もあるかもしれません。そのときは、「表に書いていないのでできません」と断らず、なるべく協力する姿勢を見せられるといいですね。


合理的配慮事例4:その日の体調に合わせた業務割り当て

「作業スケジュールの見える化」と反対の考え方になりますが、その日の体調に合わせて無理なく取り組める業務を当日に割り当てるというものです。

  • 当事者Sさんの事例
    足に持病を持つSさんは、学校の用務員として勤務しています。外で清掃や環境整備をするのが主な業務ですが、体調が悪いと立ち仕事が辛くなる事があります。「立っていられないのでは働けない」と、仕事を休むこともしばしば…。そこで、職場の担当者に室内で座ってできる業務を切り出していただき、その日の体調に応じて選べるように合理的配慮がなされました。体調が万全でなくてもできる仕事があることが安心感につながり、Sさんのモチベーションも上がって今まで以上に体調管理をしっかり行うようになりました。

  • 「その日の体調に合わせた業務割り当て」のポイントと注意点
    選べる業務は、あくまでも雇用主が「やってほしい」業務です。「求められていないが得意だからやりたい」「苦手だからほかの業務をさせてほしい」は、企業側のニーズに合わないこともあるためわがままと受け取られかねません。


合理的配慮事例5:クールダウンの時間の確保

コミュニケーションが苦手な人や精神的に疲れやすい人は、「1人になりたい」と思うこともしばしばあるのではないでしょうか。業務の合間などに落ち着ける時間を少しとることは、効率アップやミスを減らすための合理的配慮といえます。

  • 当事者Hさんの事例
    製造業の軽作業に従事するHさんは自閉スペクトラム症をもち、周りにたくさんの人がいる環境が苦手です。普段は薬で和らげていますが、疲れがたまってくると気分がピリピリしてきてしまうのだとか。そのため、「仕事に行けそうにない」と自信を失い、欠勤が続いたことがありました。雇用主へ相談したところ、「1人になりたいときは誰でもあるよね」と理解を示してくださり、つらい時は別の場所で作業してよいと許可がありました。別の部屋が空いている時のみ実施してよいこと、移動する時は担当者に伝えてから持ち場を離れること、分からないことがあれば質問しに戻ること、この3つが条件です。1人になれる時間をもらえたことはもちろん、困り事に理解を示してくれたことに対して、Hさんはとても安心しました。「がんばってみる」と、スモールステップでじっくり仕事に取り組んでいます。

  • 「クールダウンの時間の確保」のポイントと注意点
    一般的に、小休憩をとるなら5分程度と考える場合が多いです。あまりにも小休憩の回数が多い・もしくは長いと、社会人マナーの観点からも好ましくなく、業務見直しのための話し合いが必要になるでしょう。
    また、クールダウン中にスマホを見るのも、あらぬ誤解を受けますので避けましょう。


以上です。

合理的配慮は、障害のある方と職場の状況によって、いかようにも変化します。だからこそ、何よりも、対話を重ね、両者が納得した状態で進めていくことが大切です。どちらか一方が無理をしたり。我慢をすることがないように、より良い職場環境を作る仲間として、お互いに歩み寄る気持ちを大切にしましょう。

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