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20代オンナが地元の友人と話したときのしがらみ日記

久しぶりに疲れた。
理由は簡単で、出産を控えた地元の友人と話をして、世の「ふつう」にあてられたからだ。

会話の端々に潜む・男女規範 とか ・性別二元論 とか ・間違った親子感(子は親のために存在するものみたいな) とかにいちいちウッってなってしまい本当につかれた…。

しがらみにとらわれやすい私は、年齢と性別に付随する「ふつう」をクリアしており、そしてそれを無意識化に「当然」と思っている人間と会うと勝手ながら疲れてしまう。

今回は、話の全てが「いずれ出産をする私」に向けられており、それがなによりつらかった。会話のなかで定期的に「まあ結婚もするかはわかんないけどね」などと相槌をうつのだが、「ふつう」の世界で生きている人間にはそれが謙遜に見えていて、「でも子供すきでしょう?」などと返される。

確かに子どもは嫌いではない。ただ、子どもをもつことへの責任感、子どもを一緒に育てたいと思えるパートナーはつくれるのか、子どもをつくることのできるパートナーではない可能性etc. が一瞬で私の脳内にわきあがり、口をつぐんでしまう。胸のあたりが苦しくなった。

何より苦しいのが、相手にとってこれは「無難な話題」だということだ。きっと職場でも友人とでも当たり前のようにカレシやら結婚やらの話をして、子育てとそれに伴う困難の話をしているんだろう。

ただ私にとってはそうではなかった。

パンセクシュアルで、実家に稼業があって、兄弟がいなくて、ジェンダー規範にも違和感がある私にとっては、「恋愛」も「結婚」も「意識したとたん脳内を占める重大なテーマ」なのだ。
そして最近の私は当然のようにそれを知っていてくれる人間としか会話をしていなかった。そのつけが一機に訪れて、しんどい、と思った。

私はセクシュアリティを常にオープンにしていない。
でも隠してもいない。

SNSでもセクシュアルマイノリティに関する研究や活動については発信しており、顔出しでも活動をしている。だが、大々的なカミングアウトはしない。要は、「察してくれ」と思っているのだ。

その一番の対象が地元の友人だ。
たぶん地元が一番、察している人間は察しているけれど、知識はない、そんな状態で。
地元の友人は、狭いコミュニティで生きている人間も多く、あんまりそういったテーマへのアンテナは高くない。1年に多くて2回飲むくらいの相手に啓蒙をするわけにもいかず、年々結婚やら出産やらが身近になればなるほどそのコミュニティにいづらくなってきている状態だ。

疎遠になっても仕方ないのかな、とも思う一方で、わたしは昔からずっと「わたし」なのに、オトナになって「ふつう」に乗っかれなかったことで友人やひとつのコミュニティを失おうとしている。
これが、マイノリティがマイノリティたるゆえんなのだなと自覚すると、涙が出てくる。

話した友人には何の罪もない。悪気もない。
それを知っているから余計に疲れたし、しんどかった。

いまのわたしは地元から、イエから、そういったものから離れてやっと良好な精神を保っているから、いきなり世の中の「ふつう」を見せつけられて疲れたんだと思う。
もうすぐ生まれる孫を両親が楽しみにしているとか、そういう話を聞いて、「親に申し訳ない」という感情が何度も浮かんでは消えている。
(これは私が15の時に親へのカミングアウトを悩んだときに身近な大人に「自分が同性愛者だったらどうする?」と聞いたときの回答でもあった)

いますぐ子どもを産みたいとも思っていないし、
この人の子どもを産みたいと思う相手もいないし、
この人と子どもを育てたいと思う相手もいない。
それは悪いことではないはずなのに、罪悪感が湧き上がってくる。

いまはいろんな言葉が自分のなかにささっていてしんどいから
それを抜くために好きな本やら漫画やら入れたけどしばらく刺さりそう。

こんなこと本当に書きたくないけど、30代になったらどんな気持ちになるのか想像ができない。20半ばで数人の友人が結婚しだしたくらいでこんなにしんどい。

打ちながら気づいたけどこれ、私の根っこのしがらみ、
セクシュアリティでも性役割分担でもなく、「イエ」と「親子」の問題かもしれないな。

いずれにせよ、とりあえず私はまだ自分の心身の健康を考えてハッピーにひとりで生きていく予定だ。
そしてすごく悲しいけど、結婚と子どもの話をマジョリティ規範のままでしか話さない相手との距離感は考えつつ、ただ心に余裕ができただ自分にできる発信の形は考えたいと思う。うまれてくる子どもがどんな子かもわからないから、発信は常にしておきたい。

いつかしがらみから解放された私がこの文章を読み直して、あのときはこうだったな~と思えるようになりますように。
あと、もしこの文章にたどり着いた人がいたら、自分の周囲にもこっそりこう思っている人がいることを想像してみてくれますように。


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