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『青の炎』貴志祐介著

運動も勉強もできる高校生が完全犯罪を目指す。
高校生とは思えない慎重さと行動力を兼ね備え、着実に準備を進めていく。

しかし、人間個人の力には限界がある。どれだけ慎重に準備していても、想定外のことも起こるし、緊張から思いがけないミスをすることもある。そのようなミスが起こることを想定して準備をする、というほどの老練さはまだない。

そして、才能があるからこそ、傍から見るとギャンブルに近い選択をして破局への道を進んでしまう。

この本から、ビジネスパーソンに必要な教訓を得ることができる。
どんな完璧主義者でもボロがでること。
自分より何かが上の人・・体の大きさが上、立場が上、裕福度が上、などの要素が原因となり緊張すること。
大事を成す前に身震いが起き、何とか自分を奮い立たせて実行する必要があること。

主人公にとって完全犯罪だと思われた現場を見たベテラン検視官は、最初の検証でおかしいことに気付いた。
通常の仕事でさえ気を配る範囲は多岐に渡る。すべてに完璧にするのは困難。だから優秀なビジネスパーソンは全てを自分でやるのではなく、他人に任せなければならないことを知っている。

この本は主人公の恋心や学園生活の様子を描く青春小説でもあり、甘酸っぱい読後感を持つ。それでもビジネスパーソンが気付きを得ることができる読む価値のある小説。


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