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20歳、自分の声を見つけた

私は場面緘黙症の症状がある。「声が小さい」と言われ続けてきた。みんながそんなに言うと、洗脳かのように、私の声はより一層、小さくなっていった。振り絞って出した声はとても高くて、「どっから声出してんだww」と笑われたり。自分の声が嫌いで、だんだん、自分の声が分からなくなった。自分は人見知りなんじゃないし、おとなしい子でもない。ただ、声が出なくて声が嫌いなんだ。いつか、楽しく、みんなみたいに、普通に話したい。

20歳の夏、私はひとり、秋田へ旅に出た。秋田県で行われる、ずっと前から行きたかった「秋田キャラバンミュージックフェス」に参加するために。そして、この旅は私の世界を変えた。

フェスに行く道中、色んな人たちと話した。
「はい、お願いします。」こんな何ともない一言も、私にとっては振り絞って出した、大きな一言だった。

人生初めての音楽フェス。私の心の中で何か引っかかっていたものがスッとなくなった気がした。何も考えずに心の底から楽しんでいる自分がいた。

今までは自分の周りの人間、みんなが怪物のように怖い存在だった。みんな自分のことを嫌いなんだろう。そう思っていた。でも、フェスでみんなで揺れて、手をはたいて、笑って、自分と同じ想いをもった人たちがいることを知った。

人間みんな怪物じゃないんだ。人間と人間のやり取りなんて、軽いものなんだ。

心が軽くなった。

色んな人と出会って、たくさんの人たちに助けられた。
「ありがとうございます。」この一言を心の底から伝えたい、と思った。
何度も「ありがとうございます。」と言った。

何の準備もなく、言葉がでた。

言葉が頭を介せず口から出ていた。

私は20歳にして、自分の声を見つけた。

この声が好きだし、これが自分だと思える。
まだ、相変わらず、大勢の人の前では声が潰されたりするし発言できない。この前、自分の中でとても嬉しいことがあった。
学校のプレゼン。前回はみんなの前で、盛大に失敗した。声が震えたし、のど潰してとっても高い声だったし、緊張マックスだった。恥ずかしすぎた。
この前のプレゼンでは、声が震えることもなく、のどからでる声ではなく、自分から出る声だった。何事も無く、一番良い発表だったと思う。
やればできるんだ、自信がついた。

今思えば、あれは声探しの旅だったのかもしれない。

今、声がでないあなたへ。
大丈夫。いつか、あなたの声を見つけることができる。
そのためには、とにかく人とふれあうこと。たくさん声だして、たくさん傷つく。とてもつらいけど、それは決して無駄じゃない。声を出したいんだという強い夢があれば変われる。
上から目線なことは言えません。まだ大きな声はでないし、大勢の前では発言できない。でも、頑張る人はあなただけじゃない。私も頑張ります。私は、どちらかというと負けず嫌いで、場面緘黙症だからという言葉には極力頼りたくないんです。できる、できる、できる、みんなにできるんだから自分にもできる。こう思って這い上がります。きっと、みんな何かしらハンデを持って生きていると思います。人生は長いから、息絶えるときまでに自分を好きになれるように、日々、0.1ミリずつレベルアップできればいいと思っています。

無理せず、ちょっとずつ、できるから大丈夫。