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"積極的読書"のススメ① 『本を読む本』

−良い本を読みながら眠ってしまうような人は、読む努力をしようという気がないのではなく、努力の仕方を知らないのだ。

『本を読む本』(M.J.アドラー、C.V.ドーレン)より

先輩に勧められたままAmazonでポチって購入し、パラパラと真ん中くらいまで読んでどこかへやってしまう。友人に借りたはいいものの、読み切れずにいつまで経っても本棚に収納している。

こんな事が日常茶飯事だった私にとって、本を読み切れないことは「努力していないから」「時間がないから」だと理由をつけていましたが、とんだ勘違い(というか言い訳)だったようです。

部屋を薄暗くして、コーヒーを淹れ、いざ「読むぞ!」と決意した10分後にはウトウトしてしまう。

こんなエセ意識高い系から脱却し、
読みたい本をちゃんとモノにするには、
どうしたらいいんだ!なにをしたらいいんだ!

こんなクエスチョンに答えてくれるのが、この本です。

様々なノウハウがあるのですが、そのうちのひとつを紹介。
実は、読みながら「4つの質問」を常に意識することが大切だそうです。

それがコレ。

質問①
全体として何に関する本か

質問②
何がどのように詳しく述べられているか
(つまり著者の言いたいことは何か)

質問③
その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か

質問④
それにはどんな意義があるのか


・・・ふーん!(わかってない顔)

わかるようでよくわからないので、もう少し丁寧に解説してみます。

アドラーら(アドラー心理学の人ではないです)によれば読書のレベルは大きく4つに分けられていて、

レベル1:初級読書
その文は何を述べているか?がわかる
(小学生レベル)

レベル2:点検読書
その本は何について書いたものであるか?
がわかる(流し読み等をすればわかる)

レベル3:分析読書
取り組んだ本を完全に自分の血肉と化すまで徹底的に読み抜く

レベル4:シントピカル読書
一冊だけではなく、一つの主題について何冊もの本を相互に関連づけて読み、それらの本にはっきりとは書かれていない主題を発見する

となるようです。
このレベル2以上に達するには、「読み手の側からの問いかけをし、これに自分で答えようとする努力がなくてはならない」といいます。意欲的な読者か、そうでない読者かは、この「問いかけ」をするかどうかによって決まります。逆に「問いかけ」をしようとしない限り、目の前の本はなんにも答えてくれないよ、と言っているのです。

この「問いかけ」をはじめ、著者が「積極的読書」を呼びかけるのには、理由があります。

積極的読書とは、本をいっぱい読もう!ってことではなく、「読む」という行為を能動的に行いましょう、といった意味。

「読む」という行為は、「話す」や「書く」に比べても、受動的な行為として捉えられがちです。

しかし、著者は

−読み手や聞き手は、むしろ野球のキャッチャーに似た役割をもっている。

と表現しています。

コミュニケーションを野球に、ボールを文章に置き換えて考えてみます。投球のコントロールが完璧な書き手もいますが、そればっかりではありません。相手から投げられた文章の意味をしっかり理解するには、受け取る側にも技術が必要だよね、だからその技術をしっかり磨いていきましょうね、と言っているわけです。

では、何故いま「積極的読書」の技術を磨く必要があるのか。

その理由として、メディアによる情報の大洪水の中で生きている私たちは、今こそ書かれているものを「積極的読書」によってきちんと解釈して、自分の頭でモノを考えて判断できるようになんなきゃヤバイよ〜〜!と著者は危惧しているのです。

人々の判断能力が低下している要因として、

−理由の一つは、現代のマス・メディアそのものが、自分の頭でものを考えなくてもよいような仕掛けにできていることである。現代の頭脳はその粋を集めて、情報や意見の知的パッケージを作るという大発明をなしとげた。・・・だがこの知的パッケージがよくできすぎて、自分の判断を下す手間まで省いてくれるので、読者や視聴者はまったく頭を使わなくてもすんでしまう。

ということを挙げています。
1940年のアメリカで刊行された本だそうですが、SNSが普及した現代の日本において、まさにこの批判がぴったり当てはまるなぁ〜と思ったりします。

果たしてTOKIOの山口君は示談金2000万円を支払い脱退すべきなのか、ハッピーメールでやらかしちゃった新潟県知事は辞職すべきなのか、麻生さんが着てる35万のスーツは高いのか、憲法9条は改正すべきなのか、ハリルホジッチ監督の解任は正しかったのか、あれ、ハリルボジッチだっけ、まあいいや・・・

とにかく、この世に存在するあらゆる論争的なテーマに対して、メディアで報道されている見解(SNSで多くの支持を集めている見解)=わたしの意見!正しい意見!という風潮が強すぎる。そんな気がしてる。
これが最近モヤモヤしていること。

この「本を読む本」からのメッセージを大きく捉えれば、書き手の意図をしっかりと受け止め、かつ批判的に読む訓練をしましょう、ということであり、今こそ必要な「メディアリテラシーを獲得するための本」と言い換えることができるかもしれません。

こんな感じで、読み手として一生つかえる「積極的読書」の意義とノウハウがわかりやすく書かれた1冊です!

本をたくさん読む人も、全然読まない人にも、オススメの本だと思います〜!

#本 #読んだ本 #読書忘備録 #本を読む本

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