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シェルブリット(幾原邦彦&永野護)(絶版本)【我々が入手した情報によると、・・・おっと読書紹介かな? 誰か来たようだ】

今回はなんと絶版本です。すいません。
中古でしか手に入りません。
そんなん、あり?
いや、ちょっと理由があって。

少女革命ウテナの   幾原 邦彦
ファイブスター物語の 永野 護
両名が手を組んでなんかやってた小説。

結局のところ普通のSF小説だったのです。2巻までです。

内容について簡単に書くと、
ジーンマイナー  普通の人
ジーンメジャー  遺伝子強化されたエリート
ジーンライナー  宇宙船になった人=超エリート
その三種族によって語られる未来史だけど、
実のところ、主人公の成長を語る成長譚が本筋。
(まあ絶版本なので、詳しくは書きません)

ただこの小説で使われた技法が稀有のものだったので、それが興味深い。

結論からいうと、

主人公が内面の葛藤を乗り越えて、最後の冒険に出かけるところでおしまい。打ち切り!?というくらい中途半端なとこで終わってます。

でも、これで完璧なんだよぉ。

もし主人公の成長譚を書くのであれば、それが物語の主目標であれば、物語の結末までを描く必要はない。むしろ蛇足である。
結末は重要ではない。
重要なのは、主人公の成長というテーマを書ききること。

主人公が最後の冒険に出かける直前で、唐突に終わった物語。
それは主人公が成長という階段を登り切って、大人になったということを示唆している。
後はもう、読者に想像させるしかない。それで充分なのだ。
なにより、成長というテーマにとって結末はむしろ不要であるという、徹底的にドライな取捨選択。
これはもう、印象に残りまくりぃ。
いちばん書きたいこと、テーマに注目してもらうためには、これくらい大胆でも良いのだ。
起承転結の結は必要ではなかった(?)

結局のところ、フィクションとは良くできた嘘なのだ。
でも読者はフィクションを読みたがる。
なぜ?
それは嘘を読みたいからじゃない。

嘘の中に混じる何か重要なメッセージ。
フィクションだけど、もはやフィクションじゃない。
そういう人生のエッセンスを感じたいのだ読者は。
それは読者のリアルな現実に追加できる、追加可能な現実なのだ。
それが成立したとき、その嘘は作品になる。

小説家志望の皆さん、こういう技法はどうでしょうか?

漫画の打ち切りでも打ち切りに見えない印象的な終わり方、ありますよね。
ああいうの好きですよ。

そうです。今回は創作技法についてちょっと書きたかったのでした。

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