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エイリアン9(著:富沢やすし:1998年連載開始の全3巻)【家に帰るまでがマンガ感想、じゃなかった、エイリアン対策部です。それではみなさんまた明日!】

問題:
九つの点が正方形状に並んでいます。
一筆書きですべての点を通過してみてください。

答え:枠の外に出ろ。

というわけで、枠の外に飛び出しているSFマンガ(アニメ化もされた)です。

今更ですが、前世紀の作品だったんですね。
意外と古かった。
私が読んだのはマンガ版で、アニメ版は良く知りません。
まあでも内容は同じでしょう(当然だ。いや割と当然じゃないかも)

世界観としては、人類と共生する型のエイリアン(宿主を求めて地球にやってくる)が日常的におり、
特に小学生の段階からエイリアンに慣れてもらうのが、学校の授業として組み込まれている世界です。
その過程で関係ないエイリアンを対策してもらうわけですね。
まあ危険なことがあっても、共生型エイリアンがどうとでもしてくれるので、大体安全です。

世にカルト映画というのがありますが、
あれを日本のマンガ枠で探すと、これは入って来るかと思われます。

アイデアとストーリーが、トリッキーです。
この作者さんの作品はおしなべてそうなのですが、強いクセがあります。
まず(少女)が出てくること。
しかもその少女が、少女少女してます。ロリです。
しかしながらエロには向かわず、替わりにSF的な異質さをブレンドしていきます。
だいたい超展開です。
このずれ方、感覚、それ自体がすでにSFなのです。
常識にとらわれてはいけない。
異質さこそが世界の実相なのだ。ふんぐるい。
そして一応はハッピーエンドを目指しては行きます。
人間であり続けることが幸せなんて誰が決めたのさ。
そんなSFのハッピーエンドを、一般人がどう認識するか分からないところがあります。
ただそれでも本作で納得するのは、日常に回帰していくから。

この人の作品の中ではこの「エイリアン9」が最も評価が高い気がします。
少なくとも私はそう思ってます。
なぜならば、テンポがすごく秀逸だから。

「エイリアン9」本編はわずか3巻ですが、しかしバランスよく、必要な部分はすべて入っています。
なんとなく緩い構成に見せて、実は恐ろしく無駄のない構成です。
長いことは必ずしも良いことではありません。
短く秀逸にまとめる方が、腕を求められるのです。

ラストのさらっとした日常に回帰するために、すべて逆算して緻密に設計され尽くしているかのようです。
ビッグバンを逆転させて一点に宇宙が収縮していくような物語構成。
灰羽連盟もそんなこと言われてましたが、評価の高い作品はそんな構成が多いです。
作家としては意識して作れたわけではないのかもしれませんけど。

ただ公式続編を含めなければですが。
(続編は余計なことやった感が強いので、パスをオススメします)
これは3巻で完成されすぎているので、続編を作ってはいけなかったのだ・・・

いや、この完成度の高さよ。
こんなマンガは稀にしか見かけません。

普段は通らない道を通って、同じ場所に帰る。
それも人類がいまだかつて通ったことのない前人未到の帰り道。
それは冒険なのです。

追記:調べてみたら更に続編らしいのがまだあるようなんですが、私が読んだことのないものについては語れません。なむなむ。

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