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サンスーシの女(1982年)【母に映画紹介を語って見せて。あなたの声が聴きたいの】

ドイツの名女優、ロミ・シュナイダーの結果的遺作となった作品。
この映画を撮った直後くらいに急死してしまいます。

しかも悪い話はまだあり、
この映画を撮る少し前に、一人息子さんを亡くされています。

だから、作中のレストランで少年と語らうシーンは、
涙が出すぎて、なんどもリテイクを繰り返したそうです。

この人の名前をつかった賞があるくらいで大女優の方です。
もともとは「皇妃エリザベート」のヒロイン役をやって、
かわいいアイドルとして有名女優になり、
そこから実力派女優に苦難の転向をした人であったそうです。

アイドルが実力派に認められるまで苦労があり、
そもそも「アイドルはアイドルのままでいればいい」
という枠から飛び出るために、ドイツからフランスの映画に出演するようになっていきました。認められたのは後年のことです。

******

さて、映画のあらすじですが、
とあるユダヤ人弁護士が暴力はいけないといいつつ、
(難民保護団体の会長か何かをしてらっしゃる)

パラグアイの大使を暗殺してしまいます。
パラグアイ大使は元ナチス外交官で、
弁護士とは因縁があります。

その因縁とは・・・
で、話が30年代に飛び、迫害で両親を亡くした子を引き取った、反体制のドイツ人夫妻がいました。
彼らは新聞を経営してたんですけど、弾圧は厳しく、パリに脱出しようとします。
ただ夫の方は捕まってしまい、妻と少年だけがパリにやってきます。
この少年は先述に述べた引き取られた養子ですね。
ですから本当にユダヤ人なのは少年だけで、両親はリベラル系ドイツ人です。

なんですが、パリの生活は、経済的にはなんとかなりますが、決して満足な生活ではなく、夫が行方不明の母は、だんだんと精神のバランスを壊していきます。
母は生活のためにキャバレーで歌手をやるようになるのですが、
(芸は身を助く)
そんなパリの母を密かに岡惚れしていたのが、件のドイツ外交官となります。そういう因縁です。

そんな感じで、
一方で現代においては、
少年が成長した姿であるユダヤ人弁護士がなぜ凶行に及んだかという裁判が、繰り広げられています。
ふたつの時代が、かわるがわる出てくるタイプの映画ですね。
こんな感じでパラレルに脚本が進んでいきます。

そしてサンスーシとは、
ベルリンのサンスーシ宮殿ではなく、
パリのサンスーシカフェになります。
まあ、ベルリンから逃げてきた人が居ついていたカフェだから、
こういう名前なのかもしれませんが。

サンスーシカフェは、ドイツから逃げてきた人が、集まって来る場所です。
当然ながら母もそのコミュニュティに属して、行方不明の父の状況を探っていたのでした。
そして、もうひとり母に惚れてしまうフランス人の男性が出てきます。
彼は列車の中で、ゲシュタポに捕まる直前の父に会って、最後の言付けを託されただけの通りすがりです。
しかし、まあ、母はイイ女なのです。
もちろんこのフランス人男性は紳士ですよ。

*****

と、そんな感じの映画です。
はっきり言うと、そこまで名作って感じはしませんでした。
やはり82年の映画。
ただこの作品を名作に引き上げたのは、
最後の2秒間の後書きなのではないでしょうか?

そしてロミ・シュナイダーのあまりにも劇的すぎる人生が、おそらくこの映画の最大のアピールポイントにもなったと思われます。
それが無ければ、ここまで知られた作品ではなかったのかも?
悪い映画ではないですが。

と思うのは、私がこの時代の空気を良く知らないからでもあります。
まだファミコンとかに熱中してた時代だったので。
当時の空気をご存じの皆さんには、どう思われるでしょうか?

今回も古い映画なので直接の動画はなし。
ただロミ―シュナイダー映画祭が去年あったのでその動画があります。

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