松尾模糊

私的に物書き始めました。

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最近の記事

ブンゲイファイトクラブ タイセン∞ (非公式)

    • 詩人の朝

      ボクは一片の言葉を紡ぐ ジリジリと照りつける太陽が 紡ぎ出した言の葉を 日焼けさせた 日曜の朝 #詩 #サンデーモーニング #夏

      • こちらで、小説を二作上げました。 https://note.mu/kngmts/m/m63ac10a05373

        • 雨に洗われる景色

           エミール=オーギュスト・シャルティエと言うと、日本では知名度が低いかもしれないが『幸福論(アラン)』と言えば、ご存知の方も多いのではないだろうか。彼は教職に赴く傍ら、地方紙のコラムに“アラン”というペンネームで短いエッセイ式のコラムを寄稿。これが「わかりやすい」と評判となり、一躍時の人となったそうだ。そんな彼の言葉で雨の多い、この梅雨の季節になると思い出す一節がある。 ――今これを書いてる時、雨が降っている。瓦に雨の音がして、無数の雨樋が切れ目なく歌っている。空気が洗われ

        ブンゲイファイトクラブ タイセン∞ (非公式)

          spotify

          https://open.spotify.com/user/22gyiyjn5afxjsfuzzjkqsyiq/playlist/4SKbWiMWNT4tWq9pBZRV6F?si=iP_TOZs0SRWrXyX_ng5eWw 僕は学生の頃、まだ容量の少なかったiPodにどのアーティストのどのアルバムを入れるか選ぶ時間が結構好きでした。 今ではspotifyやapple musicで聴き放題ですが、量が膨大過ぎてあの頃よりも音楽を聴かなくなった気がします。 アメリカのど

          緑のたぬきと赤いきつね

          たぬきが化ける時に木の葉を使うというのは、現在においてポスト・トゥルースだ。今はもっぱら人間が山に捨てるゴミ、中でもコンビニやスーパーなどから持って来る白いビニール袋を使う。大量に破棄されるゴミを有効に使う再利用、人間が大好きな“エコロジー”ってやつだ。木の葉は放っておいてもやがて土に還るが、プラスチック製のビニール袋はいつまでたってもビニール袋のままだ。おまけに栄養素にもならないのだから本当の意味でのゴミだと言える。だが、我々がそれを変身の際に利用することで初めて有効に活用

          緑のたぬきと赤いきつね

          鏡の中の水

          鏡の中に写る 自分の顔が 歪んで見えたのは 幻覚か 歪んでいないと 思い込んでいただけか 光の屈折かなにか 喉の渇きを 感じる 今はそれを潤すために 鏡の前から離れて ペットボトルの口から 流れ出る水が 体の細胞に沁み渡る それだけが確かなこと

          鏡の中の水

          夢カクテル

          繁華街を抜け、まだLEDも設置されていない蛍光灯の並ぶ路地に面した急な階段を下ると、そんな寂れた景色には不釣り合いである重厚な鉄製の扉がある。扉に着いた取手に手をかけ、力を入れて奥に押して開ける。 中には屈強な男が二人、黒いスーツ姿で立っている。会員証を提示し、両手を挙げると、男の一人が念入りにボディーチェックを行う。それが終わると、もう一人が電子カードをかざし、更に奥の自動ドアが開く。 「いらっしゃいませ」 入り口右手のバーカウンターから、チョッキに蝶ネクタイを締めた

          夢カクテル

          花火

          陽射しが眩しくて下ろしていた、フリーストップ式のロールカーテンを再び上げると、傾いた陽射しはオレンジを搾りかけたような色に染まり、こちらに別人の様な顔を向ける。車窓から覗く夕陽の下には、時を経ても変わらない沿線の街並みが続く。生命が存続できない環境である太陽が、生き生きとその表情を変え、幾千の人びとが息衝くこの街が何十年も変わらず、死んだ様に横たわっているのは、何だか皮肉だなと僕は思った。そんな捻くれた考えをするのは、僕が祖父の葬式で帰郷しているせいかもしれないが。 黒

          AIペン

          “ 文字を書く ”という行為が人類の歴史から消えて久しい。インターネットと電子端末の発達により、二世紀に中国で発明され、十五世紀の活版印刷技術の発明によってヨーロッパから世界に拡散した紙媒体は、減退の一途を辿った。現在のweb上の日本語辞典にも、字は“ 書く ”ものではなく、“ 打つ ”ものと記されている。何世紀も前から、作家だって原稿は四百字詰め原稿用紙に直接、万年筆で書いてなどいなかったし、とある芥川賞作家の原稿はフロッピーディスクに残されているわけだ。フロッ

          カーレース

          「カズが勝つには百年早いな。」 というのが親父の口癖だった。何をやるにしても、親父は手を抜くことを知らない人だった。オレを産んですぐ亡くなった母親に代わり、男手ひとつで子育てをする気負いもあったのかもしれない。そのくせ、小学校に上がったばかりの息子に勝ったことを得意げな表情で自慢する。 「今日で俺の百連勝だな、やっぱり・・・」 「カズが勝つには百年早いな、でしょ?」 オレはコントローラーを床に放り投げ、不貞腐れながら言った。 「・・・そうだ(笑)」 親父の百勝無敗

          カーレース

          欲望テロ

          西暦2XXX年、フランスにムスリム政権が誕生し南ヨーロッパから中東アジア、アフリカ北部に経済的共栄圏が築かれた。何十年も前からムスリムの総人口は既にカソリックの総人口を超え、先進国を支配していた、カソリック的倫理観はムスリムのそれが代わり、一夫多妻制が先進国の主流となり、ヒジャブが女性ファッションの定番となり、歓楽街のバーやパブでは酒に代わり、シーシャが振る舞われ、豚が家畜として扱われることはなくなった。 音楽も街から消えた。シャリーアは、今でも楔のように快楽の誘惑に惹

          火星系

          「火星系は地球から出て行けぇ!」 「汚れた空気を持ち込むなぁ!」 「宇宙ゴミはブラックホールに吸い込まれろぉ!」 繁華街の大通りを” 火星系に死を” 、” 宇宙党は火星系の犬” などと書かれたプラカードを片手に、拡声器で様々な罵声を叫びながら、ぞろぞろと人々が行進している。私はその様子を横目で見ながら、自身も五年前は彼らと同じように、あの行列の中にいたことを思い出していた。ーー地球では医療の発達による平均寿命の高齢化と、新興国の急激な出生率の増加により、右肩上が

          サンタクロース2.0

          最近は温暖化、温暖化、と言ってるのに、冬はブリザード吹き荒れる日がやけに多くないか?そんな一人問答をしながら、赤いナイトキャップを被り、伸びた白ひげを摩りながら老人は外に出た。外は大きな雪が降り、北風が吹き荒れる、酷く凍える荒天だった。老人は去年の同じ頃、某日本企業から発売された、赤いウルトラライトダウンジャケットのXLサイズの前チャックを、首元までしっかり締めた。少し離れた物置シェルターの、シャッターの電子ロック一年振りに開ける。 「えーと、暗証番号、何だったっけ?最

          サンタクロース2.0

          私が密かに敬愛する灰谷魚さんの作品を、浜田みえいさんが朗読する、otone vo.1幻想キッチンに先日行って参りました。みえいさんとゲストの中山潤子さんの声のキャラが対象的で、とても良かったです。しかし、あの熱々のティーを入れてくれたのがあの魚さんだったとは!#幻想キッチン

          私が密かに敬愛する灰谷魚さんの作品を、浜田みえいさんが朗読する、otone vo.1幻想キッチンに先日行って参りました。みえいさんとゲストの中山潤子さんの声のキャラが対象的で、とても良かったです。しかし、あの熱々のティーを入れてくれたのがあの魚さんだったとは!#幻想キッチン

          夜のワールド

          「何だよ、まだいじめられてんのか?」 突然聞こえた大人の男性の声に、吾朗は身体を震わせて、真っ暗で何も見えないリビングを見回した。 「こっちだよ、どこ見てんだ?」 吾朗は真夜中にいつも観察している、ブルーライトで微かに照らされた水槽を再び見た。父親に強請って飼ってもらったオレンジ色に白のブチの入った、カクレイワノミ(アニメーション映画で大人気になったあの魚だ)がこちらを真正面に捉えて話している? 「え?」 そんな訳がない、これは夢か?そう思い、吾朗は思わず声を漏らし

          夜のワールド