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栽培植物のリスト 「ココヤシ」の歴史。

今日は8月15日。夏も盛りとなってきました。
今年は花火大会やお祭りなどもだいぶ再開されてきましたね。お盆期間のお出かけも増えてきたように思います。
COVID-19のパンデミック以前は、南国への旅行による成田空港の混雑も風物詩でしたが、そのニュースがあまり出てこない辺り、まだ私達が「日常」を取り戻すには時間がかかりそうです。

さて、南国と言えばこの作物。ココヤシです。
日本でも、中華街でココナツの実を(ストローをさしてココナッツミルクを飲む)売っていたり、ココナツオイルは食品や美容関係でも用いられたりと、意外に馴染みがある作物です。

では、そのココナツはいったいどこから来たのか、見てみましょう。

ココヤシはどこで生まれたのか


ココヤシといえばヤシの一種ですが、地理ではアブラヤシ、ナツメヤシ、ココヤシの3つを習います。
アブラヤシはとココヤシは熱帯、ナツメヤシは乾燥帯に生育します。

ココヤシは原産地が面白い場所。オセアニアの一区分、メラネシアです。
オセアニアでミクロネシア、ポリネシア、メラネシアの区分

Wikipediaより

は地理の必須事項でもあります。
・メラネシアはフィジーやニューカレドニアなど
・ミクロネシアはナウルやキリバスなど
・ポリネシアはサモアやトンガ、ハワイやニュージーランドなど

ちなみに、よく間違う所として「ハワイとニュージーランドはポリネシア」というところ。
特にニュージーランドはメラネシアだと認識してしまうケースがあります。
本題とは関係ありませんが、日本とオーストラリアはあまり経度が変わりません。オーストラリアがかなり東側(ハワイの南くらい)という誤った認識がかなりあるようです。


ココヤシの伝播

メラネシアで栽培化されたココヤシですが、そこから他地域にはかなり古い時代に伝播しました。メラネシアは島嶼部なので、海を渡って伝わったんですね。
インド、さらにアフリカに伝わったのは今から10000年以上前とされています。インドはともかくアフリカへの伝播が古くて驚きです。

古代の人類は意外に優れた航海技術を持っていて、日本でも丸木舟を用いた縄文時代に、黒潮の流れを越えて神津島までたどり着いていた痕跡があります。
それらの航海術の源流は南太平洋やマレーなど、南方にあるとされていて、当然これらの地域の人々は海洋を渡る術に長けていたと言えます。
また、海流などの流れを考えると、東南アジア諸地域へは種は海を漂って伝わったとも考えられそうです。

ちなみに、マダガスカルにマレー系の人々が到達している点もアフリカ地誌の必須事項でした。これらの事実から見ても、実は古い時代の伝播には全く不思議はありませんね。

ちなみに中国南部でも3世紀頃には栽培化されており、東アジア~アフリカ東岸の熱帯地域で広く栽培されていたようです。アフリカより中国への伝播が遥かに遅いんですね。

一方、ギニア湾などアフリカ西部に伝播するのは、喜望峰の航路が開拓された15世紀以降、アメリカ大陸への伝播もそれ以降と、地域によっては割と電波は最近だったりもします。


万能の奇跡の実

ココヤシは非常に有用な作物。
その実からは水分だけではなく、胚乳(コプラ)からは油脂がとれ、さらには繊維や砂糖まで採れる万能ぶり。
コプラはオセアニア島嶼部の国々の主要輸出品の一つですね。
酒も作れ(ヤシ酒)、本当にほどんどなんでも好み1つから作り出せるのですから驚きです。
ココヤシは、資源の限られる小さい島々で、人々の生活を長く支えてきた奇跡の植物と言えそうです。

というわけで、今回はココヤシのお話でした。
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