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水資源に関する記事

今回は、地球の水資源、そして水不足に関係する記事をお伝えします。
この記事を通して、高校地理の基礎事項の復習もしていきましょう。

日本は季節風(モンスーン)の影響を受けるため、比較的水資源に恵まれた国です。
日本に限らず、東・東南・南アジアをはじめ、季節風の影響下にある地域は水資源に恵まれていますね。
よく「東海岸に砂漠なし」などと言われます。
それは、東海岸の多くは季節風の影響下にあり、夏季には湿潤な海風が吹き込むため、降水量が多くなり、結果として乾燥気候になりづらいからです。

しかし、世界を見渡すと人間が利用できる水資源は非常に限られていて、水を巡る争いが起きてきたこともしばしば。
人間が利用できる水はどれくらいあるかというと、記事中にある通り、地球上に存在する水のうち0.01%に過ぎません。
ではここで、水に関する高校地理の基本事項をおさらいしてみます。

陸半球と水半球

地球の2/3は水域なのですが、その分布は実はかなり偏っています。
フランスのナント付近(北緯47度13分、西経1度32分)を中心とした最も陸地面積が多くなる半球を「陸半球」といいます。

Wikipediaより

一方、逆の半球は水域の割合が最も多く、「水半球」と呼ばれます。
おおむねアンティポデス諸島(ニュージーランド南東沖)付近。

Wikipediaより

これを見ると、南半球は多くを水域が占める(陸地が非常に少ない)ことがわかります。
実は、南半球は高緯度帯に南極大陸以外ほぼ陸地がなく、その結果「冷帯(D)気候がほとんどない」という特徴があります。
また、南半球の高緯度帯は陸地や山脈で風が遮られることがないため、暴風が荒れ狂っています。
いわゆる「吠える40°、狂う50°、叫ぶ60°」です、
これも地理の基本事項なので頭に入れておきましょう。

仮想水とは何か

仮想水(バーチャルウォーター)は、私達が直接飲んだり利用している水ではありません。
私達が使う(食べる)ものを作る過程で使われる水のこと。
例えば、米を作る際に使われる農業用水、服を作る際に使われる工業用水などがこれにあたります。

記事中でも触れられていますが、日本の仮想水の輸入は年間800億トンにも上り、これは農業・工業・生活用水の合計(900億トン)に近い数字です。

ちなみに、地理の必須事項としては、農業・工業・生活用水のうちどの利用が最も多いかを押さえておきましょう。
こちらの図を見ると分かりますが、農業用水が全体の7割近くを占めています。
工業用水と生活用水は拮抗していますが、近年は生活用水の方が上回っていますね。

国土交通省ウェブサイトより

記事中では、確かに日本は水資源に恵まれた国ではあるものの、世界全体の水需要は人口増加や産業の発展で増加傾向にあり、特に仮想水の分野で日本が今後、水を十分に調達できない事態になるのではないかと警鐘を鳴らしています。

地下水の利用も盛ん

日本では地下水を大規模に利用する事例はあまり耳にしませんが、世界的に見るとそういった事例はいくつもあります。
巨大な地下水を蓄えている地域が世界にはいくつもあり、その水を利用しているケースは地理でも度々目にします。
例えば

①アメリカ合衆国西部(オガララ帯水層)
センターピボット農法の話でお馴染みですね。
グレートプレーンズの地下に分布し、総面積は450,000km²(日本の国土の約1.2倍)に及びます。
はるか昔から徐々に蓄えられたいわゆる「化石水」の一種。

②オーストラリア(グレートアーテジアン盆地)
大規模な被圧地下水(上下の水を通さない地層から強い圧力を受けている地下水)がある地域で、自噴井が分布。
同地の地下水は塩分濃度が高く、農地の灌漑には向かないため家畜(主に羊)の飼育に使われる。

Wikipediaより

③リビア(サハラ砂漠の地下水)
サハラ砂漠の地下に眠る大規模な化石水が、「リビア大人工河川」として農業や生活用水として用いられています。

Wikipediaより

しかし、乾燥地帯の地下水をくみ上げることは、オアシスの水源への影響、さらに塩害発生のリスクもあり、50年ほどで枯渇するのではないかとも言われています。

利用可能な淡水は減少するのか

また、記事中では温暖化による淡水の減少についても触れています。
その原因として「氷河の融解による海面上昇」が挙げられています。
南極大陸やグリーンランドなどの大陸氷河、大規模な山岳氷河が融解することで海面が上昇するという説ですね。
実際に海水が増えればその分淡水が減るのは間違いないので、この話はその通りだと思います。

一方、そもそも雨の降り方が変わるのでは(つまり、今、水資源に恵まれている地域が干上がったり、逆もあり得る)?
つまり、世界全体で利用できる水資源が減るだけではなく、現在の水資源の偏在性に変化が出る可能性があるということですね。
実際に、異常な気象変化はすでに顕著に起き始めています。

ちなみに現在は、大陸氷河や山岳氷河は減少、北極海の海氷は減少、一方で南極海の海氷は増加しています。
特に海氷の増減は海水温、そして水蒸気量や気流にも変化をもたらし、各地で異常な高温や低温、豪雨や干ばつをもたらしていると言われています。

2018年にはヨーロッパで異常な寒波。

逆に異常な高温

など。

結論としては、利用可能な淡水の総量は減少する。
しかし、どの地域も等しく減少するわけではない。
そして、仮想水を大量に輸入する日本は、この事態の影響を一層強く受ける可能性がある。

ということですね。
私達の日々が、実は非常に繊細な世界のバランスに支えられていることを、改めて認識していくことが大切です。

以上、水資源に関する記事の紹介でした。


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