栽培植物のリスト 「サトイモ」の歴史
さて、今回は芋シリーズということで、ジャガイモに引き続いてサトイモについて触れていきたいと思います。
サトイモを用いる料理と言えば、山形県で有名な芋煮ですね。実際、山形のサトイモ消費は全国トップです。
日本で流通するイモたち
私達がよく目にするイモと言えば、
アンデス高地原産、冷涼な気候を好むジャガイモ
中央アメリカ原産、高温にも耐えるサツマイモ
インド北部原産、高温と多雨を好むサトイモ
の3種類です。
イモと呼ばれる植物の共通点として、塊根(栄養を蓄えて肥大化した根の部分)を食するものという点があります。
地下で成長するため、厳しい気候にも耐えうること、そしてやせ地でも育つため、地域によっては人々の生活を支える主食格の作物として重宝されていました。
サトイモという呼び名は日本だけ
サトイモは、他国では「タロイモ」と呼ばれています。
地理でも、熱帯地域で栽培されるイモ類として
キャッサバ(タピオカの原料でもあります)
タロイモ(サトイモと同類)
ヤムイモ(ヤマイモ(山芋)と同類)
の3種がよく挙げられます。
原産地はインド北部と考えられています。
マレー人の移動と共に東南アジア、オセアニア、アフリカに広まり、主食として栽培されました。
ちなみに、地理の話で、マレー人の移動と共にアフリカに伝わったという話に関連してマダガスカルを取り上げるケースが多いですね。
マダガスカル島はアフリカ大陸の東の海上、インド洋に位置する島です。
マレー系の人々が貿易風に乗りインド洋を横断、マダガスカル島に定住するようになったと考えられており、言語系統もマレー系となっています。
食文化もマレー系の影響を色濃く受けていて、アフリカ地誌の重要項目ですね。
閑話休題。「里」芋とは
さて、ところで何故サトイモ(里芋)と呼ばれるようになったかという話ですが、それはサトイモの栽培史に関連があります。
サトイモは日本に自生していたイモではなく、縄文後期くらい(稲作と同時期か少し前くらい)に伝来したと考えられています。
そのため、当初から野生のものを採集していたのではなく、集落で栽培していました。
当時、日本には在来のイモであるヤマイモがありました。
ヤマイモは山に自生するイモなので「山芋」
サトイモは里で栽培されるイモなので「里芋」
と呼称されるようになったと言われています。
なお、サトイモはかつて、「家芋」と呼ばれていた時期もあるようです。
日本で最も馴染みがあるイモ
サトイモは、ジャガイモやサツマイモよりはるか以前に日本に伝来し栽培化されているため、かなり古くからその名が見られます。
親芋から子芋へと次々に増えていくため、一族繫栄を願う祭事には欠かせない作物だったようです。実際、現在でもハレの日の料理にはサトイモが使われるケースが多いですよね。
というわけで、簡単にサトイモについて触れてみました。
皆さんのご参考になれば幸いです!
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