育児で仕事から離れた時間、いつか訪問看護の役に立つ?


子育てに専念し家庭人になって初めて[みんなが気にかけている地域のつながりを知る]ことや[仕事をしていたら絶対に見えなかった地域の豊かさを知る]ことを実感する。
A氏は【家庭人となったからこそ気づけた地域の力】で語っているように,家庭人の時期に「技術的熟達者」である看護職特有の価値観やこだわりから一旦自由になって,一市民の暮らしで大切にされているが現しにくいものや地域の力量を実感として体得している。地域の中で一市民としての経験を蓄積し成熟していたことが,視点の広がりや柔軟な省察を可能としたのではないか。
出典 訪問看護の専門性を支える経験についての一考察
―熟練訪問看護師へのインタビューより―


私は、育児期間があるから良い悪いが言いたいのではないです。ただ育児で職場から離れたことがいい方向に向くかもしれないという話です。


私は仕事を辞めて初めて自分の住んでいる地域に友達ができました。

この友達に、小児科はここが評判いいよとか、保育園の状況を教えてもらったりしています。

初めての子育て支援センター利用や公園散歩も一緒に行ってもらいました。

みんな同じように仕事と育児のバランスで悩んでいることも知りました。

また里帰り中に、認知症を持つ近所の方がお家に帰ってこない日があってみんなで探すということもありました。


たしかに、地域の人たちって自分が思ってる以上に、つながれるんだと気付く機会になりました。


これが関連してるのかわかりませんが、最近、

今まであまり読まなかった参考書以外の医療系の本(当事者が書いたようなもの)の内容が、自分のことのように感じるようになりました。

今までは、病気、症状、治療法や看護の内容を勉強するという感じでした。

それが今は、日常の中にある病気…自分だったらどう感じて、どうするだろうか、と自然と考えるようになっています。


これが論文で書かれてるような「視点の広がりや柔軟な省察を可能」にするかは、働いてみないとわかりませんが…そうだといいなと思います。


この論文は2011年に掲載されたもので、訪問看護ができたばかりの頃に訪問看護師になった方の語りからの考察でした。

私が訪問看護を始めた頃の論文です。

今でこそ、新卒訪問看護師プログラムが出来てますが、

私が病院をやめるときは「若くて訪問看護なんて潰れるからやめなさい」と言われるような認識でした。

[人の家を壊すなということを徹底して守る]ことであった。このことに加え近年の医療依存度の高い在宅療養者の家をミニ病室にする流れを危惧し,生活する人に戻すことをデザインするのが訪問看護であるという思い

ここから7年経過。地域の特性にもよるかもしれませんが、少しずつ訪問看護師に求められるものは変わってきているように思います。

24時間点滴を在宅用のポンプで投与している方や医療用麻薬を持続皮下注射している方も件数が増え、

外来で投与した抗がん剤を在宅で抜針する方など書いたらキリがないほどに幅広い医療的ケアが求められることが増えてきました。

そういうケアをする際、

この医療は、その人が送りたい日常に近づくための1つの選択肢。という視点を忘れてなかっただろうか?

「訪問看護師が来ました!」とお家に入っていって、偵察者のような振る舞いで、非日常の空間を作っていなかかっただろうか?

医療をその人の日常につなぐ配慮ができていただろうか?と今、反省しています。

「反省的実践家」として学び続けていることが,熟練訪問看護師としてのA氏の専門性を形成してきたと考えられる。看護基礎教育の中に在宅看護論が位置付けられ10年が経過した現在,訪問看護の基礎的な知識と技術を学んだ訪問看護師が輩出されているが,一市民としての成熟を意識すること,手持ちの知識や技術を省察し修正していく反省的実践家の姿勢を持つことは,時代の要請に応えられる専門性を担保するために重要であると考える。

このnoteに向き合ってる今も、専門性を担保するために重要な時間になるといいです。

そして

医療的ケアのない場所、言語化が難しいところにある訪問看護の専門性の方を少し大きめの声で伝えていけたらなと思っています。


また、狭いエリアの集合研修として、訪問看護に必要な医療的ケアの実習が実機を使ってできたらいいなぁと思います。(在宅用レスピ、PCAポンプなど)潜在看護師も参加できる形で。

私は今まで、まだ上記のような機材に触れたことのない看護師がいたら、業者さんに実機で説明をしてもらう勉強会のセッティングをしていました。

あ、 なるほど!これを計画的にやって他の事業所の方や潜在看護師も来れるように案内すれば良かったのか!ん?また首を絞めてる?


次回は「いつもと変わらないよ」をみる訪問看護

を書きます。



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