白朮びやくじゆつ

花 夏より秋の末まで咲。
春はるより 生しやうず。葉ははこはくさゝらあり。鋸歯のこぎりちいさく、一枚まい葉は有。三つ葉は有。花 白しろく、亦また、桜さくら色いろ有。臺うてなに 小ちいさき 魚骨うをのほね のごとくなり。葉のとりまきあり。長たけ一二尺ばかり。一名を をけら ともいふ。

銀銭花ぎんせんくは

朝露てうろ草さうともいふ。
はなのかたち かうそのごとく、花は 秋葵かうぞより 小ちいさし。色、しろ、青、き、うるみ色、花底そこ 黒べにのきほひあり。

葉、五つ出で、三つで有。葉のきれ、西瓜すいかの葉に似にたり。長一二尺ばかり、えだもあり。朝あしたにひらき、ゆふべにしぼむ。その 次つぎなるはな、又、朝にひらく。秋葵かうその類也。又、金銭花きんせんくはに似にたり。六七月まではなさく。

※ 「かうそ」は、コウゾのことと思われます。楮こうぞ。
※ 「黒べに」は、黒紅くろべに。黒味がかった赤色。
※ 「きほひ」は、競きほひ でしょうか。

蘭菊草らんぎくさう

七月より八月まで花
葉、布袋ほていきくに似て、うすくひろし。さき 尖とがり、ふちのまはり きれあり。葉の間にだん／＼くるまにさく。はなに、むらさき、しろ、二種しゆあり。

いちはつ

花に、紫、白、二色有。葉、日扇ひあふぎに似にたり。二月末すえ、花あり。

馬藺ばりん

花のかたち、あやめのごとし。|色《いろ、うすむらさき、葉、あやめに似て、すこしほそし。三四五月まではなあり。

一りん草

兎葵とき　二月はな有。
花葉ともに、梅花ばいくは草さうに似て、小こぶり也。しのだち一りんづゝはなさく。夏雪なつゆき草さうともいふ。此、少すこし大ぶりなるを 一花いつくは草さうといふ。梅花ばいくは草とは、はなのつきやうにちがひあり。

あやめ

■蓀　　[■は艹+溪]
三四月花有。

花に白あり、紫有。ねずみ色あり。咲わけあり。白に紫のうつり 少すこし有 花也。蜀錦しよくきんあやめといふ。又、色紫にて、六えうあり。また、をきなあやめ といふは、紫しろに、あをのうつりあり。筋すじ入いりあやめあり。葉に白すじいる。

※ 「■蓀」は、渓蓀あやめ。
※ 「蜀錦しよくきん」は、蜀江しょっこうの錦にしき。京都・西陣などで 蜀江文しょっこうもん を模して織り出した錦のこと。
※ 「六えう」は、六葉ろくえふのことと思われます。六葉ろくよう。

春はる透すかし百合ゆり

夏なつすかしよりはすこし色つよく、かのこ 少すくなし。まるみ 艶つやあり。たちのびること二三尺、はなのいろ黄あかく、紅のくま有。花びら 六枚まい、しべ 六本ほん、さきに 米こめ有。色むらさきなり。

百合ひやくがう 有あり　二三種さんしゆ　一。一名いちめい ﾊ　𣞀香たんかう。
百合ひやくがう 子み  可べし　二烹に  或あるひは  蒸むして 食くらふ　一　レ之これを。
益ます　レ氣きを。
一名いちめいは、百合ひやくがう。
子み 可べし　レ食くらふ。
花はな 遅をそきこと  一月いちけつ  不ず　二甚はなはだ香かうばから　一。
一名 ﾊ、虎皮こひ 百合ひやくがう  能よく  殺ころす　レ人ひとを、不ず　レ可べから　レ食くらふ。
都波とは 不ざる　レ知しら　二 耕 稼かうかを　一土と多をゝし　二百合ひやくがう　一。
取とりて 　二其その根ねを　一 以もつて 爲す　レ糧かてと。

※ 「かのこ」は、鹿かの子こ。 鹿の子百合の鱗茎は、ユリ根として食用にされます。
※ 「都波とは」は、ツワブキの別称。都波つわ。

筆者注　●は解読できなかった文字を意味しています。
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