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上田久美子先生の宝塚作品を語りたい

朝から牧野真莉愛さんの個別サイン会への緊張ゆえに、上田久美子先生が演出されたオペラをブッチしたことがあります。


お金が勿体ないとか色んな感情はありましたけど、もう無理なんだって。
朝から胸のあたりがおかしかったんですよ。
精神が舞台を楽しめる状態ではなく、ずっと様子がおかしかったんです。

そんな症状も、ラジオを聞くようになって変わりました。
ラジオって処方箋なんですね!
くわしくはこちら↓


そんな輩が語りたい、上田先生の作りし世界を。

今日、3年ぶりくらいに星逢一夜を見返したんですが、めっちゃモブダンスシーンが刺さって、泣きながら見ました。
はあ、好きだわ。
語らせてください。


星逢一夜っていう作品が好き


私の中で神オブ神、上田先生。

宝塚で演出家をされていた方で、すでに劇団を退団されております。
今後も、無事健康に学び過ごしていただき、なんらかの作品を作っていただきたい、この世にもっと作品残してほしいと願っています。


初めて見たのは、大劇場の雪組公演の星逢一夜という日本物のお芝居です。
大阪の友達と見に行ったんですけど、一幕終わって私がダラダラ泣いてるのすっごい笑われた記憶あります。


良質な上田久美子作品の体験が、当時、私の宝塚好きを加速させました。
いつか上田先生が宝塚からいなくなっても、ずっと作品を見に行こうと即決できるくらい、好きだって思いました。

「よかったー」だけではすまされない、観た後も引きずってしまうほど、すさまじく感情をグワングワンに揺さぶってくるお話、キャラクターが新鮮で、面白くって、衝撃で、こんな話、宝塚でやるのかよ!!!!
という挑戦的な姿勢、めちゃくちゃに大好きです。

で、どんな話なのか

山々に囲まれた三日月藩藩主の次男、紀之介(早霧せいな)は、夜ごとに城を抜け出しては星の観測に夢中になる奔放な少年であった。
ある夏の星逢<七夕>の夜、紀之介は村の少女、泉(咲妃みゆ)と、その幼馴染の源太(望海風斗)と出会い、星観の櫓を一緒に組み上げる。
その日以来、三人は夜ごと星探しに夢中になり、身分を超えて友情を育んでゆく。しかし、江戸藩邸に住む紀之介の兄が急死し、紀之介が嫡子として江戸に行くことが決まる。互いへの淡い思いを告げられぬまま、紀之介は旅立って行く。
江戸に到着した紀之介は、名を晴興と改め、三日月藩の正統な後継者となる。少年の才覚を見抜いた将軍吉宗は、晴興を自分付きの御用取次に取り立てる。7年後の星逢の夜、晴興は帰藩した故郷で泉に再会する…。 
作・演出:上田久美子

楽天TV 星逢一夜 あらすじ

えっと、文字より映像で見た方がいいな。
このあらすじ、漢字が多すぎて読みづらい。

ネタバレしないように言うと、1時間半で星が好きな一人の男の子の人生を描いています。
人生って言うと長いんですけど、ほんと無駄な部分が一切ないです。全部必要。
極上の短編マンガと一緒。ワンピースの読み切りとか第一話って読んだことありますか?
少年漫画として最高峰の短編だと思います。
あのクオリティの高さと一緒です。
私の中では。

引き込まれすぎて、ページをめくるワクワクが止まらん感じです。


モブ達の踊りのシーンが素晴らしい


モブシーンを語る前に、ご存知ない方に前提条件をお伝えします。

宝塚って年功序列がバキバキに決まってて、デリケートな時は2番手3番手の男役(トップが近いと思われる方々)とか、ぼやかされたりしますけど、役付きも序列なんです。大体。

トップが主人公、トップ娘役がヒロイン、2番手の男役が主人公のライバルで、そこそこいってる上級生が別格の扱いで重要なポジションとか、各方面に配慮してキャラクターを配置しています。

何が言いたいかって言うと、一般的な舞台や物語のように、自由に登場人物を作れません。

新人からベテランまで、組に所属する組子たちを全員、無理やりにでもステージで使わなければならないという配慮、制約があります。
それが宝塚歌劇団に所属している作家、演出家の方の仕事の一つです。

という制約や配慮が裏でめちゃくちゃある中、上田先生の世界にいる組子と役とキャラのバランスとか、当て書きが当てはまりすぎるというか、役者の芝居力もありますけど、絶妙な配役をするんです。

上田先生は、観察の鬼なんだと思います!

とはいえ、他の作品よりモブ役が多い星逢一夜で絶妙って思うのは、教育係の鈴虫ですかね。
三日月藩で城から抜け出すのを許し、見守り、江戸に行って、孤独な晴興のそばに鈴虫がずっといてくれたんだなと思うとグッと来る。


踊りからめちゃくちゃに伝わってくる


星逢一夜は、正直主役級の3人以外モブです。
教育係の鈴虫、母上、父上、公方様、貴姫様、ちょび康などの蛍村人など、役に名前がある方々のキャラクターの役割は明確です。
主人公の物語のために重要な方々です。
でも、出演時間はかなり短いです。

そんな中、役名のないモブの方々大活躍のダンスのシーンで、主人公たちの心情であったり、運命を表現しており、ダンスで伝わるってすっげーなと感じました。
表現が素晴らしいです。


モブ中のモブ、その他大勢の方々にも、良質なアニメのOPとEDのような超重要な役割があり、ステージ上で表現されています。

最初のシーン、泉と晴興がおとなになって再開するシーン、さらに10年後、源太と晴興が再開するシーンもモブの方々の踊り、素晴らしいよ。

だって見てて、めちゃくちゃにつらいですもん。
なんか、当時より、今になって刺さるというか、これはわたくしが、ハロプロを履修したせいかもしれない。



彼ら彼女たちのお気持ち、ああ本当はこうしたい、でも、できない、空の上に光り輝く星たちと、地上にいる自分たちの対比や比喩が、わかりやすい。
立場上の複雑なお気持ちと本心、もう戻れない自分の道…などが伝わってきて、最強に心を刺してきます。

源太の優しさと覚悟、晴興の本心を殺しまくる選択、泉の建前と本心、よくわかってしまうので感情移入し、涙ぽたぽたです。


宝塚には、ハズレ作品が割とある

これも前提条件です。
割とっていうのは、個人的な遭遇率です。

一般的にバレてないと思いますが、宝塚ってつまらない話や、わけのわからないショー、ツッコミどころが多すぎて脚本どうなってんの!?演じるジェンヌさんの芝居心でなんとか見られるっていう作品がありまして…私が知っているだけでも、いくつもあります。

演出家の先生の芸風がわかってくると、サイトー先生はまた要素を詰め込みすぎてるな、など。大介先生はまた男役に女装させたか…
とか、演出家の先生「あるある」が増えてゆきます。

ハロヲタでもあると思いますけど、この作曲家でこの編曲、いいね!安心!って思うみたいなものです。

上田先生の作品は、外さない


私の中では、100発100中、常に大当たり。
期待しかない。
この時代のここをお話に選ぶのね!と、時代のチョイスがぶっ飛びすぎてて最高です。
お話も、ただの悲恋などと安易にカテゴライズしたくないほど、オリジナルが過ぎてるところも魅力。

さらに、一度ショーの演出もやったんですが、当時、他の界隈のヲタもざわついて月組へ落ちていました。
攻めまくってて、定石を踏まえながらもアレンジするというか、これは新しいなって誰もが思える新鮮さがありました。
ショーだけど、話がわかるしキャラも立ってて、エンタメです。
上田先生のやりたいことって、面白くて、めっちゃかっこいいなって感じました。

で、わたしの一番好きな上田先生の作品は、金色の砂漠です!



王族の子が生まれた時、異性の特別な奴隷をつけて育てる。
そして身の回りのことを一切引受させる…
っていう架空の国の設定があり、このしきたりがめちゃくちゃキーになっております。


冷静に、現代の感覚からすると、意味分かんないですよね。
なんで異性をつけんの?って。
主人公も、外国から来た王子もは?なんで?って作中で聞くんですよ、でも、「そういうしきたりだからだ」と言われて片付けられるんです。

しきたりの効力、強すぎるな。


しきたりなら仕方ない

ってなるわけないんですけど、このドリームはそういう設定なんでヨロシク!っていうの、作中でやるの、めっちゃ頭いい。
もう、つっこめない。


しきたり、いい言葉です。
同人誌で作者の都合のいいドリームを実現させるための無茶な設定をたくさん見てきたので、しきたりって言われたら納得です。

答えを用意してくれる。
アンサーはしきたり。

やばいな、しきたりの話だけでずっと話していられます。
金色の砂漠はまた別で語ります。

▼追記 語った。途中ですが…





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