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1月の気になる舞台! 小劇場、フェスティバル、舞踏、人形劇など10作+α

情報を握りしめ、いまかいまかと待ち望む舞台は数知れず。
舞台メディア「エンタステージ」さんのコラムでも何作が紹介しましたが、もっともっと観に行きたいものがある……! コラムでは基本的に各ジャンル1作ずつを取り上げましたので(ストレートプレイ、ミュージカル、2.5次元、ダンス、小劇場、古典、その他)、そこに入れられなかった舞台をいくつか書き連ねたいと思います。これ書くの、観劇事前テンションが上がって好きなんですよね!

<目次>
エンタステージコラムで取り上げたジャンル別作品
▼気になる舞台企画10本

   * * *

▼エンタステージコラムで取り上げたジャンル別作品

まず、1月のおすすめ舞台を、各ジャンル1作品+αを紹介しました。

※公演開催順

■演劇■
『罪と罰』『スケリグ』『出口なし』『暗くなるまで待って』
■ミュージカル■
『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』『音楽活劇 SHIRANAMI』
■2.5次元■
『ミュージカル 刀剣乱舞 〜三百年の子守唄〜』『からくりサーカス』
■劇団■
少年社中『トゥーランドット〜廃墟に眠る少年の夢〜』
■ダンス■
CHAiroiPLIN『TIC-TAC~ハムレット~』、東京ゲゲゲイ
■小劇場■
パラドックス定数『トロンプ・ルイユ』
■古典■
『新春浅草歌舞伎』
■その他■
オペラ『ドン・ジョヴァンニ』

各舞台へのコメントはコラムで書いていますので、以下のリンクからご覧くださいませ。再貼付。(コメントしてない舞台もあります(汗))


▼気になる舞台企画10本

コラムに入らなかった作品から、気になるものを合計10本をピックアップしてみました。演劇7本(※フェスティバルふくむ)/踊り2本/ほか1本。並べてみると小劇場と舞踏に寄ってますね。しかもほぼ関東圏ばかりになっています……もっともっと全国観たいので、情報キャッチ力あげていきたいです!

※公演開催順

■演劇7作/企画■
・『これは演劇ではない』フェスティバル
・ミュージカル『YOSHIKO』
・SPAC『顕れ〜女神イニイエの涙〜』
・早稲田どらま館ショーケース
・こまつ座『どうぶつ会議』
・冬のカーニバルシリーズ
 『マンイストマン ー男は男だー』
・はえぎわ『桜のその薗』
(『スケリグ』『出口なし』について)
■踊り2作■
・笠井叡 迷宮ダンス公演『高岡親王航海記』
・アップデイトダンスシリーズ『ハリー』
■その他1作■
・人形劇『サロメ』


■演劇■

『これは演劇ではない』フェスティバル(6団体)
 1月3日(木)〜20日(日)
 こまばアゴラ劇場

注目したい劇団ばかり!オフィスマウンテン、カゲヤマ気象台、新聞家、青年団リンク キュイ、ヌトミック、モメラス……どこも小劇場界を見れば目に入ってくる団体ばかりですし、私がどこも好きなのは、作品だけでなく、自分の作品や活動を語る言葉を持っているところだなあと思っています。それはつまり、積み上げていこうという試みであり、他者を意識している証明のひとつであり、見知らぬところへ踏み出そうとする態度だと思うからです。

そういえば以前、美術の取材をした時に言われたことを思い出しました。「日本人は自分の作品を、俯瞰した歴史のなかでどの位置に属してどんな価値があるかということをきちんと語らないね。作品のキャプションは大事だよ。自分の作品の価値を自分で作っていくことが活動だ」。絶対的な正解はないにしても、とても説得力のある言葉だなと。話、それましたけれどね。

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ミュージカル『YOSHIKO』
 1月10日(木)〜16日(水)
 紀伊国屋ホール

オリジナルミュージカルって、素敵だなと思うんです。
作曲、歌、踊り、台詞……たくさんの要素がつまったステージ。言葉と音と声の関係って、形にするのにストレートプレイとはまた違う労力が必要だろうなと。演出が文学座の鵜山仁さんというのも注目。先月のシアター風姿花伝『女中たち』での演出はすごかったなあ。大胆さと繊細さ、シンプルさと複雑さを同時に舞台に乗せられる演出家さんなんだなあと、よく脱力してしまうのです、鵜山さんの舞台。ま、まずなにより惹かれたのはたかなししんさんのイラストなんですけどね。
題材は、実在の人気女優、岡田嘉子のものがたり。

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SPAC『顕れ(あらわれ)〜女神イニイエの涙〜』
 1月14日(月・祝)〜2月3日(日)
 静岡芸術劇場

宮城聰さんの演出するSPACの舞台。いつも圧倒的なビジュアルと独特な世界観で、チケット争奪戦になりかねない。しかも今回は、昨年9月にパリで初演した作品を日本でも、ということです。ちなみに作品ができた経緯も全体未聞で、フランス・コリーヌ国立劇場がシーズン開幕作を日本の劇団へ委嘱したのですが、こんなリクエストはこれまでなかった、という(ちょっとコリーヌ国立劇場行ったことないのでピンときませんが……)
宮城さんの演出作品は、日本古典なども多くて(近年『イナバの白兎』を題材にしていました)、それはもうあまりにもぴったりと日本古典なのでしっくりきすぎてしまうのですが。今回はアメリカの現代戯曲。まったく個人の感想ですが、わたしは宮城さんの演出は、他国の文化と融合した時の、鮮やかな違和感との融合が好きです。

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早稲田どらま館ショーケース(3団体)
 1月18日(金)〜21日(月)
 早稲田小劇場どらま館

こちらも、『これは演劇ではない』フェスティバル参加団体同様に、意欲的な若手が3団体参加するショーケース。参加団体のスペースノットブランク、関田育子、ゆうめい。どれも名前をよく耳にするようになりました!この「早稲田どらま館ショーケース」は、2017年からスタートした企画で、若手の優れた舞台芸術団体がそれぞれ30分程度の短編作品の上演を連続しておこないます。選出されたということは、いろんな方が注目しているということだと思うので、今こそ観たいですね。
それに「各団体を観に行くのはちょっとタイヘン……」って思うことはよくあるでしょうから、こういう機会があるととてもありがたいです。気楽にも行きやすいでしょうし、気楽に誰かを誘いやすいですし。
まあ、ただ、なかには、長編だと爆発的に面白いけれど短編になると一気に意味不明になるという団体もあるにはあるので、これがすべてだとは信じたくないですが。一方で時々、長編は気がそがれるけど、短編だとものすごく心地いい!という団体もあるので……やっぱり、ひとつの出会いとしてありがたい企画だなと思います。

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こまつ座『どうぶつ会議』
 1月24日(木)〜2月3日(日)
 新国立劇場 小劇場 THE PIT

こまつ座といえば井上ひさしさん。その作品で再演されるものは戦争もの、なかでも、面白いし楽しいけど泣きすぎて顔面が大変なんですけど……ってものが多い印象です(これ私がかなりの泣き上戸なので、人によっては「いやそんなことないよ?」だとは思うのですが)。
でも今回は!そんな私でも気構えずに楽しめそうだなあという音楽劇!やったー!(いや泣くでしょうけどね!)しかも音楽は国広和毅さん。国広さんの音楽って、なんだか、耳でなく細胞で聴くようでまた聞きたくなります。なんだろうな。
楽器の演奏もあり、小さな子どもから楽しめる、サーカスのどうぶつたちのおはなし。原作はドイツの作家エーリッヒ・ケストナーの同名児童小説。ケストナーといえば『エミールと探偵たち』『飛ぶ教室』『ふたりのロッテ』などの作家です。悲しいことも、切ないことも、たっぷりのユーモアで好きにさせてくれるケストナー作品。しかも動物が題材の音楽劇となれば、その組み合わせだけでもまずはなんだかわくわくします!
栗原類さん、池谷のぶえさんのほか、上山竜治さんや大空ゆうひさんの出演もどうなるのか楽しみです。

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冬のカーニバルシリーズ
『マンイストマン ー男は男だー』

 1月26日(日)〜2月3日(日)
 KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
 その後、2月に松本、長野公演。

演出は串田和美さん、作者はベルトルト・ブレヒト。
……あ、もう、ちょっとなんも考えずにいったん観ますね、といいたくなる組み合わせ(なんのこっちゃ)。内容は、ちょっと抜けた4人の英国軍人のてんやわんや物語。笑いとユーモアのなかでアイデンティティをめぐる物語は、予想もできない方向へ進んでいくーーー
ということなのですが、この舞台、"キャバレースタイル”というのが面白そう。歌、ダンスなどが散りばめられ、S席はお食事付テーブル席、A席はドリンク購入ありと、楽しませようという気がマンマンですね。出演者はフルオーディションらしいのですが、その顔ぶれは「お、この人はどんな姿を見せるんだろう!」と期待高まる俳優さん達。
あと、榎本太郎さんのチラシデザインも素敵です。紙質から立ち上ってくるんですよね、心地よいユーモアとアイデンティティが。

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はえぎわ『桜のその薗~ミワクの鳥が踊る町の山の川の果ての鈴鳴る滝で一人龍を征す~』』
 1月31日(木)~2月6日(水)
 下北沢 ザ・スズナリ

近年、活動の場が目に見えて広がっていらっしゃるノゾエ征爾さんの劇団公演。もう20周年なんですね。劇団にとって約2年半ぶりとなる新作です。「解散しない集団が作る、解散にまつわる物語です」。ということで、『劇団』という継続する集団がどういう作品を創り、どういう『解散』を目の前に描くのか……。
というのも、最近の演劇界、一時期プロデュース公演ばかりだったのが「劇団、って増えたよね」とこの数ヶ月でまとめて何度か耳にしました。数を数えたわけじゃないので本当に増えてるのかはわからないんですけども、こう立て続けに言われると、気になります。それって、もしも数が増えてなかったとしても、『劇団』というものを意識している人は確実にいるってことですから。集団やコミュニティというものに注目してみても、気になる話題です。

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あと、エンタステージコラムでもタイトルだけは挙げましたが、浜中文一さん主演の『スケリグ』と、白井晃さん演出の『出口なし』も押さえておきたいです。この2作品は出演者・スタッフの名前を見るだけでも、クオリティの高い作品が観れるんだろうなと、なんだか勝手な自信がわいてくる2作です。


■踊り■

笠井叡 迷宮ダンス公演
『高岡親王航海記』

 1月24日(木)~27日(日)
 世田谷パブリックシアター

澁澤龍彦(作家)×笠井叡(舞踏家・振付家)の組み合わせといえば、いろんなところで目にしてきました。実際に澁澤さんの生前に交流のあったお二人。これまで笠井さんは、澁澤さんが訳したマルキド・サド作品を上演してきたのです。
それが今回、ついに遺作を新作ダンス作品として立ち上げることになりました。平城天皇の皇子・高丘親王の天竺への旅を描いた傑作。高丘親王の最期と、澁澤さん自身の闘病を重ねた作品。バク、オオアリクイ、白猿、犬頭男など奇怪奇想な動物たちが登場する幻想文学……ああ、どんな世界となるのだろう。想像だけで足場が崩れる思いです。
ダンサーもそうそうたる顔ぶれで、配役も興味深い。高丘親王を笠井さんが、父帝の愛妾・藤原薬子を黒田育世さん(BATIK)が、ほか、近藤良平さん(コンドルズ)、笠井瑞丈さん、植村なおかさん……などなど、ダイナミックで重く深い身体を見せる面々の共演に、心が高ぶります!フゥ!

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アップデイトダンスシリーズ
『ハリー』小説ソラリスより
 1月27日(日)~2月4日(月)
 荻窪 カラス・アパラタス B2ホール

勅使河原三郎さんのダンスシリーズ。
『ハリー』は2015年3月にパリ シャンゼリゼ劇場から勅使川原さんが創作を委託された新作オペラ『ソラリス』を発表したのにあたり、佐東利穂子がオペラと同じ主役ヒロインの「ハリー」を踊りました。たぶんその再演なんだと思います。(ネット上に情報がまだ出てないので、これから出るでしょう)
勅使河原さんの作品だということも「観たい」動機のひとつなのですが、ダンスという身体表現で“物語を踊る”ということは、観ていて刺激的なのです。思考と身体の対話、という感じで。しかも『ソラリス』ってSFですし(映画『惑星ソラリス』でご存知の方も多いと思います)、SF×ダンスという題材だけでも、脳の奥が刺激されるような、想像力の伝播。うう、「ソラリス」「SF」「ダンス」という3ワードから自分が連想するものと、実際に踊る人の間にはどんな違いがあるのだろうという、発見の旅が始まる気もしています。
ちなみにアップデイトダンスシリーズは、5〜13日は新作『冬に咲く花』を踊っています。


■その他■

人形劇『サロメ』
 1月19日(土)~20日(日)
 東京文化会館 小ホール

たいらじょうさんの人形の美しさは、もう、一目見れば惚れる人は惚れると思うのですが。今回オスカー・ワイルド原作の『サロメ』ということで、より人形の美が際立つのではないかなぁと思っています。
人形って、表情がかわらないからこそ観る人の想像でどれほどでも脳内幻想世界が広がっていくのが魅力。人形浄瑠璃の艶やかさも、まさにそうですね。もちろん人形操演者の技術あってこそですが。
で、サロメといえば恋と残虐の物語。色仕掛けと恋情の果て、銀の盆に斬り落とした首を乗せるシーンは有名です。世界で多くの俳優が演じてきたサロメ。人形だからこそ、そこにどれほどの恋を、愛を、情を、血を、美を、哀しみを、いや何を、見るのか。人形演技の美しさもさることながら、想像力の深淵を浮遊する体験をも期待したいです。


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いやもう、こんなに挙げてはみても、身体はひとつなんですけどね。なんですよ。なんですけども、想像するだけでもめちゃくちゃ楽しいじゃないですか。デートだって前の日に「あ〜なに着ようかな〜なにしようかな〜なんて言おうかな〜明日はちょっと一歩踏み込んでみようかな!?」とか妄想してるのが超楽しいし、遠足の前の日は眠れないし、マラソンの前の日はどうサボろうかシュミレーションするし(スミマセン!)、そんな感じで、妄想ご馳走さまです。

今年も良い観劇の年になりますように。

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