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歌われなかった海賊へ 【思春期を育てる方へお勧めの本】(軽くネタバレ💦)


「さあ、あなたはどうするの?」

表紙の少女に、
何度も何度も
そう問われる感覚。

戦争という極限の中で、
そして、今現在の
私自身がどう行動するのかを。



1940年代
独裁者ヒトラーによる
ナチス体制下のドイツ。

誰もが知る、恐ろしい独裁体制。
その体制下で、
独自の反戦活動を繰り広げた
若者たちの物語。

主人公は
思春期真っ只中の若者たち。
正義感にあふれ、
ナチスの悪辣(あくらつ)さに、
見て見ぬふりが出来ず
命をかけた行動を起こす。

そんな若者たちに
立ちはだかるのは、
ナチスだけではない。

生き延びる知恵を持った大人たち。
その中には、
やさしく、尊敬を集める人も。

そんな大人たちは、
読者からすれば醜い存在だ。

この本に引き込まれている私に、
表紙の少女が問うてくる。

私の子どもと、
同年代の少女から問われる。

あなたはどうするの?
私たちを助けてくれるよね?

独裁体制に反逆する若者たち。
それは、正しい行動に間違いはない。
だが、加勢したら、
我が身、我が家族の命に関わる。

どうする?
どうすればいい?

自尊心を守るためには、
「私は知らない。
 知らないから何もしない」
それは、紛れもない「悪」。

それが、多くの人の選択。
戦後も、その「悪」を隠して生きる。
自分が犯した「悪」の
罪の意識にさいなまれながら。

でも、そうすることで、
家族から慕われ、
安全に暮らし続けることができる。
慈悲深い、尊敬されるべき人として。

これは、
現代の、いじめ等の構造に似ている。

私も、ドイツの若者達のように
ありたいと思う。
その生き方にあこがれを抱く。
だが、その時、
そんな行動が取れるのか。

取れそうにない。

そんな弱い自分を直視させられる。

読了後、序章を読みたい
衝動にかられ再読した。

一度目に読んだ時には
気が付かなかった、
志を貫いた老人の
深い意味を持つ一言一言。

そして、同調圧力に屈した人の
悲しさが、
タイトルと共に胸を熱くする。

だれもが「知らない」ことにした
「事実」。
小説でしか残すことが
できなかった事実が、
深く心にしみる、
素晴らしい小説だった。


※ この小説は、冒険小説のようなワクワクやさまざまなテーマが包含されています。
他にもいろいろな感情がわきあがる小説です。

本屋大賞受賞など、話題を集めた
「『同志少女よ敵を撃て』程ではない」との意見もありますが、私は、それに引けをとらない、違う切り口の本だと思いました。

もちろん「同志少女よ敵を撃て」も
素晴らしい作品です ↓ ↓ ↓

そして、この本の余韻にひたりたくて、ググっていたら、とても、興味深いクリエイターさんを発見!

広く深く読書をされている。
この小説を、「同調圧力」について書かれた本とかけあわせて、掘り下げていてとても面白い🤔!

私とは異なるとても興味深い感想、分析をされています😆。

そして、私が今まで読んで感動した本も沢山扱われていました✨

と、いうことで、
次の耳読は・・・

こちらに決定! 

さて、拝見しま~~~す。



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