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組織から不正を指示されたとしたら、ちゃんと刺すつもりでいよう

いろんな企業の不正が明るみになってきています。それを叩くことは簡単です。簡単なんですが、自分がその企業の中でスタッフとして働いていたとして、不正を強いられたときに、断ることなんてできるのだろうかと身震いしています。

念のため言っておきますが、幸い私は今の職場でそのようなことを指示されたことはありません。指示されていもいません。(必死)

でも、いつか状況や立場がかわって、不正を行ったり容認することを強いられることになったとしたら、自分はどうするだろうかと自問自答しています。自問自答した時に、即座に「不正をしない」と言える状態こそが正常なのだろうと思いますが、めちゃめちゃ難しいんじゃないかと感じています。組織内の権力勾配がある方からそう言われたら。本当にお世話になった方やこれから関係性を続けたい方からそう言われたとしたら。どうやって断ることができるのだろうかと悩んでしまいます。

上司の立場だとすると、自分が不正をしろと命令したとして、部下はそれを止めてくれる状況だろうか、とも考えます。「それ、おかしいですよ」と言ってくれる人がいない状況でない場合は、危険な状態であろうと思っています。常に「それ間違ってますよ」と言ってくれる人を側に置くというのは、自分自身にとってチャレンジなようでいて、実は安全だったりするのではないでしょうか。

一番怖いのは、不正を行うことが文化になっているときです。社会規範や法律、ルールを無視して不正をしはじめた人はおそらく良心の呵責や「おかしい」という思いを持っていたのかもしれませんが、やがてそれが当たり前になって、周囲の人は思考停止で従って、組織の裏ルール(しかも正規のルールよりも強力に縛るルール)になって、新しく組織に入る人はさも当然かのうようにそれを行う教育を受けていく。

それが正しいと思い込んで業務に勤しんでいたら、ある日突然まくられて、血祭りにあげられることもあるかもしれません。

ということで、そんな不正から身を守るためにできることがひとつ。私は顧客や患者さんに、自分が日々行っていることを堂々とすべて見せられるだろうか、と常に自問自答しておくことです。それがすなわち、顧客(患者)中心の考え方であり、重要な倫理観・モラルです。

もし、見せられないことがあるとしたら、それはちゃんと組織を刺しておかなければなりません。なぜ刺しておかないといけないかというと、組織に所属するということは、組織にも刺される可能性もあるからです。不正を指示されて仕方なく従ってやっていたら、いつのまにか不正をやっていたのはお前の意志だったと言われて、トカゲの尻尾切りに合う可能性は往々にしてあります。ですから、組織に所属した時点で、見せられないことがあったらちゃんと組織を是正する責任が発生すると思っています。もちろん、是正する方法はちゃんと選択しなければなりません。いきなりSNSとか、そういう治外法権的な手段をとると、しっかり揉めてかえって酷いことになりますよね。

刺せる証拠を揃えたうえで、信頼できる先輩や上司からまずは相談することをおすすめします。刺すまでもなく、ちゃんと自浄作用が働き、是正されればそれで良いのです。しかし、自浄作用が発揮されない職場であるならば、組織に存在する内部通報システムや外部の弁護士などを使用することをおすすめします。

また、組織へ依存せず、適切な距離を保っておくという点も重要です。この組織にしがみつかないといけないという状況は、不正を断り切れない状況に自分を追い込んでいます。

もしも組織に不正を指示されたら、ちゃんと刺すつもりでいましょう。不正を叩くことは簡単ですが、自分がそれを指示されていたら断れるだろうかというのは、すべての人が考えておいたほうが良いと思います。スマホやテレビの向こうで叩かれているあの人は、もしかしたらわたしやあなただったかもしれません。

ちゃんと顧客(患者)の方に顔向けができるように、粛々と自分の持ち場で頑張っていきましょう。

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