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清華大の受験って簡単なの?#1 -戦略/書類編-

清華大学1年のももこです。

「外国人にとって、中国の大学への受験は簡単らしい」という声を、最近ネット上でちらほら見かけます。海外大受験の穴場的な立ち位置として語られていることもしばしば。

では、その中国の中でも、最高峰の大学である清華大学の入試はいったいどのようなものなのでしょうか?

清華大学の受験って簡単?
どんな書類が必要?
どんな試験があったの?
中国語のレベルはどれくらいあれば出願できるの?

このnoteでは、これらの疑問に答えていきたいと思います!

私が受け取った清華の合格通知書

このnoteが、清華への出願を考えている受験生の助けになりますように。

そして、
海外大進学を考えている方、
中国留学を考えている方、
そんなこと考えたこともないよ!という方にとっても、
「清華を受験してみようかな?」と考えるきっかけになれば幸いです。

※22年学部入学の外国人入試の受験記です。受験を検討している方は、必ず最新の入試情報をHPでご確認ください。かなり頻繁に受験資格や入試内容が変わっています。

自分について

  • 純ジャパ(中国のバックグラウンドは無し)

  • 出願時点で中国への渡航経験は無し

  • 留学経験あり(高校で1年間アルゼンチンに留学)

  • 19年に公募制推薦入試で上智大学 経済学部 経営学科に入学(清華出願時点で3年生)

  • 海外大受験用の塾通いの経験は無し

  • 清華大学のみ受験(他の国、中国の他の大学は受けていない)

  • 清華出願と同時に中国政府奨学金に申請し合格

清華の有名な"二校門"前にて

ズバリ、簡単なの?

私は、簡単ではないと思いました。
しかし、出願のハードルは低いと思います。

詳しくは、入試内容とともに説明します。

入試内容

外国人入試の内容は、書類審査と総合試験(面接)
学力試験のようなペーパーテストはありませんでした。
総合型選抜(AO入試)に近い入試形態です。

※注意※
中国の高校を卒業した外国人には、中国語でお題を出されて英語で作文を書くという試験も課されたそうです。

よく「中国人と同じ入試を受けたんでしょ?」と言われますが、中国人が受ける入試と外国人用の入試は完全に別物です。
入試内容や倍率を考えると、外国人の方が清華に入りやすいのは間違いありません。

出願可能な状態に到達する、言い換えると、提出書類を用意するのは、かなりハードルが低いと思います。
後ほど詳しく書きますが、諸々の成績の要求基準が無い/低いです。

それでも、「簡単ではない」と感じたのは以下の3点です。

  • 自分のこれまでの経験が重要
    受験しようと思い立ってから、合格に向けて努力できることが限られている。

  • 合格基準が不明
    どういう理由で合格/不合格になるのかが分からない。対策が難しい。

  • 情報が少なすぎる
    試験内容、倍率、合格者の受験記などの情報がネット上で見つからない。

とった戦略

かなりブラックボックスな入試だと思いました。
そこで、私がとった戦略は以下の4つです。

  • 清華及び入試についての情報をかき集める

  • できるだけ提出書類を"強く"する

  • 全てのアピールポイントを、なるべく複数の提出書類内に入れる

  • 清華が私を落とせない理由を作る

どうやったら合格できるかな〜〜🤔

戦略①清華及び入試についての情報をかき集める

当たり前ですが、受験は情報戦です。海外大、総合型選抜入試の形態であれば特にそうだと思います。

清華の入試情報のページ

清華はどんな大学か?どのような授業があるのか?など、大学についての情報。

書類にはどのようなことを書いたか?面接では何を聞かれたか?どのような人が合格しているのか?など、入試内容や合格体験談の情報。

海外大の受験塾には通っていなかった私は、自分の周りで清華大合格者を探し、これらの質問をぶつけていました。

幸運にも、サークルの先輩の紹介で清華大生と繋がることができました。
そして、その方が当時清華の1年生だった子を紹介してくださり、私は彼女から最新の入試について話を聞くことができました。

その後、もう1人清華大合格者を見つけ、結果的に複数の合格体験談を聞くことができました。

私は完全にノーマークでしたが、清華大生YouTuberも複数います!清華での生活や入試についてイメージしやくなるかもしれません。

↓有名なYouTuber

私もInstagramで清華での生活を投稿してるため、ストーリーズのアーカイブなどご覧ください〜!

提出書類一覧

ここからは、書類についての戦略です。
まずは提出した書類を確認したいと思います。

(清華が公開している"オンライン提出書類リスト"を日本語に簡単に訳したもの。順番はリストと同じ。太字は後に言及する書類(=重要だと思った書類)。)

(1) 本人及び父母のパスポートの写真ページ
(2) 最終学歴の卒業証明書または卒業見込み証明書(大学在籍中の場合は大学の在学証明書も必要)
(3) 履歴書
(4) 最終学歴の成績証明書(大学在籍中の場合は大学の成績証明書も必要)
(5) HSK(中国語の語学試験)4級以上の成績証明書
(6) SAT/ACT/A-Level/AP/IBなどの試験の成績証明書(未受験の場合は提出不要)
(7) 英語の語学試験(TOEFL/IELSTSなど)の成績証明書
(8) 推薦状2通
(9) 志望理由書
(10) 経済保証人フォーム
(11) 香港/マカオ/台湾出身者または外国の国籍を取得した元中国国籍保持者のみ提出する書類(ここでは割愛)
(12) HSKの成績の提出免除の証明書(母語が中国語の人などが対象)
(13) 自己紹介ビデオ(英語と中国語どちらも使用、3分以内)
(14) 建築作品のポートフォリオ(建築学院出願者のみ対象)
(15) その他の書類(表彰状や他大学の合格証明書など)
(16) 上述の種類以外で、状況によって清華が出願者に求める書類(どういうケースでどのような書類が求められるのかは不明)

全て英語もしくは中国語で提出します。

ややこしいのですが、出願を実際にするとなると、リストに載っている書類以外にも用意する書類/情報が出てきます。(だったら最初からリストに全て載せてほしい…)

  • 課外活動/特技

  • 現在通っている学校の紹介(私は高校と大学両方の紹介文を提出)

などです。

準備する書類が、、多い、、😭

戦略②できるだけ提出書類を"強く"する

一つ一つの書類を最高の状態に仕上げることを目標に作りました。
最も分かりやすい例が成績証明書です。

成績証明書

学校や語学試験は、できるだけ高い成績を取るよう努力しました。

  • 高校
    ここは既に変えられないところ。私の高校の成績は”まぁまぁ”です。。

  • 大学
    これは自信あり!もともと上智在学中に交換留学プログラムに申請していたので、良い成績を取ることは常に意識していました。

  • TOEFL
    自己最高得点で提出(とても良い点数かどうかと言われると微妙なところ…英語圏の大学出願は可能なスコア)

  • HSK
    最高級の6級、7割のスコアで提出(合格ラインは6割)。
    HSKのスコア上げが間違いなく、受験で一番辛かった。。
    7月に6級を初受験、5割取得(不合格)→2ヶ月後に再受験、6割取得(合格)→そのまた2ヶ月後に再受験、7割取得(グラフ参照)

HSK以外は、どれも基準点は決められていません
HSKについても、要求は"4級以上"です。(ただし、1年生の1学期中に5級を取得する必要あり)
4級がどれくらいのレベルかというと、日本人にとってはそこまで高いレベルではないと思います。

理由は主に2つ。
・スピーキング試験が無い
・日本人なら直ぐに覚えられる漢字/単語が多い
本筋ではないため割愛しますが、きっと多くの日本人中国語学習者は「HSK4級で清華に出願できるの!?」という反応をすると思います。

しかし、"基準点が無い"は、言い換えると、
点数が高ければ高いほど評価されるということだと私は思います。
(基準点が決められているHSKも同じだと思います)

そのため、できるだけ高い点数を取るよう努力しました。

勉強するのみ!!!

※注意※
書類審査に通ったら面接試験があります。HSKにスピーキングのセクションが無くても、中国語が全く話せないという状態では面接は突破できないでしょう。(面接については次回のnoteに詳しく書きます。)
また、合格したとしてもHSK4級レベルでは清華の授業についていけないと思います。今後のためにも、中国語力はできるだけ高めることをお勧めします。6級を取得した

戦略③全てのアピールポイントを、なるべく複数の提出書類内に入れる

自分のこれまでの経験や考えていることを書く"自分をアピールできる”書類は、
履歴書、志望理由書、自己紹介ビデオ、課外活動/特技などです。

自分がアピールしたい要素を書き出し、それらを全て、なるべく複数の書類に取り入れるように書類を作成しました。

理由は2つあります。

  1. スタッフが私の全ての書類に目を通すか分からない
    アドミッションオフィス(大学内の入試・広報業務を統括する部署)にどれくらいの人数がいるかは不明です。複数のスタッフで書類を確認するとは思いますが、彼ら全員が私の全ての書類に目を通すかどうかは分かりません。たとえ全てを見なくても、私のアピールポイントを知ってもらえるようにしたいと思いました。

  2. ”〇〇の子”と覚えてもらいたい
    スタッフも人間なので、たくさんいる出願者全員を覚えるのは難しいでしょう。印象を残すために、同じアピールポイントをあらゆる書類の中に入れ、"〇〇の子"と覚えてもらいたいと思いました。

私を覚えて〜〜!

私がアピールしたかった要素は、
・語学勉強が好きなこと(英語/中国語/スペイン語)
・高校でのアルゼンチン留学
・インターン経験(社名、業界、業務内容など)
・サークル活動(活動内容など)
・学外の勉強会への参加
・清華への交換留学が決まっていたが2年連続中止になってしまったこと(それでも清華で学ぶことが諦めらなかったという清華への愛!)
・大学での学業優秀賞の受賞
・スポーツ経験
などでした。

まず取り掛かったのは志望理由書です。

志望理由書

「清華大学での学習計画、志望理由及び将来のキャリアについてを英語もしくは中国語で800語以内で説明せよ」

これが要求内容でした。

3つのテーマを合わせて800語以内に収めるとなると、一つ一つはあまり詳しく書けません。
それぞれの核となる主張を決め、それを説明する中にアピールポイントを入れました。
例えば、清華大学を志望する理由の一つの"理念に共感したから"という主張では、サークル活動を例に挙げて説明しました。

履歴書/課外活動/特技

履歴書の形式は自由です。アピールしたい要素をできるだけ全て入れました。

課外活動は、3年以内の活動と制限されていました。
特技は、そのレベル(○級など)を書く指示があったため、客観的事実が証明できるもののみ記載しました。

自己紹介ビデオ

形式は自由ですが、中国語と英語どちらも使う必要があります。

私は、自分の長所/短所/趣味について話しました。
それらの説明に、他の書類では触れられなかったアピールポイントや、自分が最も強調したい点を入れて原稿を作りました。

少しでも自分が清華大学に合う人物であると伝えたかったため、自分の長所の中で清華大学そして第一志望の学部の理念とリンクするものを探しました。
(細かすぎて清華側はそんな工夫をしているとは全く気づいていないと思います笑 でも、それくらい清華が好きだとアピールしたかった!)

私は3分間ずっとカメラに向かって喋り、内容に合わせて編集で写真を入れるという形式でしたが、清華に合格した他の人に聞くと、ビデオの内容や編集度合いは人によって全く違いました。

"清華に知ってほしい自分"を紹介できるビデオであれば、なんでも良いかと思います。

原稿の暗記が大変で何回も撮り直した😭

戦略④清華が私を落とせない理由を作る

明確な合格基準が分からない中でできる最大限の努力は「清華が自分を不合格にできない理由を作る」ことだと思います。

私は、推薦状2通のうち1通を、清華大学と繋がりがある方に書いていただきました。

推薦状

中国に限らず、海外大の出願で必須となる書類が推薦状です。
内容ももちろん大事ですが、"どなたに書いていただくか"が非常に重要だと思います。

推薦状の書き手については何も縛りはなかったため、比較的自由に準備することができました。

私は1通を上智で所属していたゼミの教授にお願いし、そして、自分の周りで清華に関係のある方を探し、その方にもう1通の推薦状を書いていただきました。

もちろん、推薦状だけ強ければ合格できるというわけではないと思います。
あくまでも、他の書類を最高の状態に仕上げることが大前提です。

[小ネタ]自分が考える "中国ウケしそうな証明写真"を撮って、受験に使用しました(笑)
友人曰く「35歳に見える」とのこと😂

書類審査に通ったら次は面接試験!
面接については次のnoteに書きます!

何か不明な点や聞きたいことなどがあれば、私のInstagramのメッセージまで気軽にご連絡ください。
お答えできる範囲で答えます!




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