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ライオンのおやつ/小川糸 (著)

ライオンのおやつと言う小説を読みました。自分の経験とリンクしてよく泣けました。


人が死ぬときはなんと感じるのだろうか?

この小説がよく描けていると思う部分は人の死の瞬間です。作者も経験したことないはずなのに、亡くなる人の心の中が描かれており、それがかなりのリアリティを感じます。作品内で死ぬ瞬間はオーガズムだと表現されている。新しい考え方だった。自分が最期を迎えるときこんな感じなのだろうか?

末期がんの主人公

主人公は30代前半女性だが、末期がんで余命宣告をされている。家庭も複雑と言う背景もあり、一人でホスピスで過ごすことを決意する。昨年母親が同じように末期がんで亡くなったためその時のことを思い出す。

ライオンの家

ホスピスは瀬戸内にあるレモン島のライオンの家。マドンナという女性が経営されている。食事やセラピーと環境が整っている。本当にこんな素敵なホスピスがあったら私も気になる。そのライオンの家では日曜日におやつの時間がある。そこで出てくるおやつは居住者が投稿して希望を出す。希望と同時にそのおやつとのエピソードも投稿する。

食べ物と人生

食と人生は繋がるものだと感じる。印象的な出来事とそれにまつわる食べ物、そのストーリーが素敵でした。

残酷にも迫り来る時間

ホスピスで過ごす主人公にも容赦無くタイムリミットは迫ってくる。日に日に体調が悪くなる、身体が痛くなる。この辺りが母親の闘病を思い出した。主人公はほのかな恋などもあり、生きたいという思いと抗えないという辛さが交錯する、辛い。

死ぬことは必ずしもバットエンドではないはず

読み終えた後、私は今余命宣告をされたらどうするだろうかとぼんやり考えた。できれば主人公のように知らない自然豊かな土地で整った環境で過ごしたいかもしれない。
また、死ぬ時に嫌だ嫌だと思って迎えるのだろうか。できれば良い人生だったなと思って迎えたい。
明るい話ではないですが、暗い気持ちにもならない素敵なお話でした。


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読書感想文

拙い文章にありがとうございます!!精進します。